第二十四話 龍の仕事
用事が終わり鞄を取りに生徒会室に行くとみんなが待っていた
「・・まだいたのか?」
「そりゃ待つって言ったし」
「俺、これから用事があるんだけど」
「俺らも付いてくよ」
・・困ったな・・・
なるべく知られたくないんだけどな・・・
プルルルルルル・・・
「・・俺だ・・・あぁ。・・・あぁ、わかった。急ぐ。じゃ」
「・・何今のやり取り」
「用事だって言ってんじゃん」
「用事って何?」
「・・・俺はもう行くから。早く帰れよ」
俺の対象になっちまうからな・・・
「じゃ!」
ダダダッ!
「は、速い・・・」
「あのスピード・・・見たことねぇ・・・」
「・・・なんだろう・・・何か隠してる・・・」
とある銀行の前
「・・よぉ」
「おぅ、来たか。半年ぶりだな。実は、今回は立て篭もりなんだよ」
「立て篭もり・・・あの銀行か」
「あぁ。犯人は銀行から金を奪ったが警察が来たとたんシャッターを閉めて立て篭もりやがった」
・・・金を奪ったか・・窃盗罪・・・
かすかに血の臭いがするな・・・傷害罪の疑い・・・
「こりゃ刑務所に何年入る事やら・・・」
「行けるか?」
「あぁ。俺しかできねぇだろ?」
「そうだな。・・・よし、行けっ!」
『あー、あー・・・犯人に告ぐ。さっさと出てこい。こないとこっちから乗り込む。そして人質を解放しろ。今ならまだ刑は軽くしてやる』
「ちっ!誰が出てくか!クソボケ!」
『・・・・交渉決裂。貴様らはこれから公開処刑だ』
「おい!メガホンを投げるな!」
・・・敵の位置、把握完了
五人か・・・少ないな
「俺の相棒たちは?」
「ここに」
「あぁ、サンキュー・・・」
受け取ったのは無数のパチンコ玉と木刀二本だ
これは俺の仕事で必要な俺の相棒だ
「まず俺が・・・」
・・・・・・・・・
「よし・・・てめぇら!覚悟しやがれ!!」
パチン!
指でパチンコ玉を弾いた
まるで弾丸だ
「ガッ!」
「何だ!どうした!」
パチン!パチン!パチン!パチン!
「イッ!」
「ダーーッ!」
パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!・・・・
パチンコ玉を使いシャッターに人が入れる入り口を作った
まず俺はシャッターに入り口を作る、そしたら
「大命中。見事狙い道理の手に当たったぜ」
「だ、誰だてめぇ!」
「俺は警察庁刑事局特務攻撃部隊長、火炎龍だ!!」
※これはフィクションであり実際はこんな部隊なんぞねぇからな!
「何!?」
その入り口を使って人質を逃がせ
「皆さんここから出てください」
「あ、くそ・・人質が・・・」
あとは俺に任せろ
「てめぇらは知ってるか?舞う斬撃をよ」
構えながら訊ねた
「し、知るかぁー!!」
「斬撃の台風・・・『斬り切り舞い』!!」
「ぎゃーーーーーーー!!」
「相変わらず・・・」
犯人はまるで台風に巻き込まれたように空を舞った
「じゃあ後始末よろしく」
「あぁ、やっとくよ」
その言葉を聞いてその場を去った
「た、ただいま・・・」
・・な、なんだ・・・
体が・・ダルい・・・
すげぇ・・疲れた・・・
「おかえり、今家庭科部の人たちが・・・どうしたの?」
「わりぃ・・ちょっと・・寝る・・・起こすな・・・」
そう言って部屋に戻って行った
「どうした?龍が戻ってきたのだろ?」
「・・部屋に戻っちゃった・・・ひどく疲れてるみたい」
「・・・そうか・・・」
「晩御飯になったら起きると思います・・・」
・・・あの疲れえよう・・・
近い内に何か起こる・・・
「う・・うぅ・・・」
『やめろ!親父ぃ!!やめろーーーー!』
『黙れ!』
『ぐふッ・・・』
『龍・・龍―――――!!』
「ぐぁ・・は・・・はぁ・・はぁ・・・」
夢・・・
いや・・夢にしては現実に近い・・・
「なんだったんだ・・・」
「ん?おぉ、起きたか」
「・・家庭科部・・・何で・・?」
「いや顧問の代理をするからにはお前の腕も知っておかねば」
俺からは一言も言って無いが
いつの間にか俺は代理になっていたのか?
「・・じゃあ飯作っから。三十分待っとけ」
「三十分?七人分を三十分で作るのか」
「てかリクエストはあるのか?」
「・・聞かなきゃよかった・・・」
ハンバーグ、スパゲッティ、ラーメン、チャーハン、カレー、チキンライス・・・
見事にばらばら・・・
「やるっきゃないな」
まずはハンバーグとカレーのルーだ
三十分後
「・・三十分経ったな」
「あ、本当だ」
「そうだな、っと出来たぞ」
頭と両腕で抱えて持ってきたぞ
「本当か・・?」
「ほらよ」
「・・冷凍食品・・でもなさそうだ・・」
冷凍なんか生まれて一度も使った事ねぇよ
「・・ま、冷める前に食べようや」
「そうだね」
「いただきま~す♪」
同時に声を上げ食べ始めた
「・・・それで、腕を確かめに来たんだろ?どうだ?味は」
「・・うまい・・・」
「ほんと・・・あんな短時間で作ったとは思えない・・・」
「コツとかでもあるんですか?」
コツ・・・
コツねぇ・・・
「コツはねぇな・・・・俺はさ、料理は食材の味を活かし、調味料の味を活かし、そして・・何より食べてもらう人の事を思い喜んでもらえるよう、楽しく作ることが大事だと思うんだ」
「・・食べてもらう人の事を考えて・・・確かにそうですね。愛情は最高の隠し味ですもんね」
「まぁ、そんなところか」
「ところで・・今日は部活のあと、何かあったの?」
「ん?あぁ、電話があって現場に向かって立て篭もりを天誅したんだ」
「・・警察ごっこ?」
俺がそんなんするように見えるのか・・・?
「俺は列記とした警察だ。警察庁刑事局特務攻撃部隊長、火炎龍ってのが俺だ」
「・・瑠奈は知ってるの?」
「うん。知ってるよ」
「じゃあまさか・・・」
瑠奈も警察だと思ってんのか
こいつ・・・
「こいつは違う。警察じゃない」
「わたしのお母さんは警察だけどね」
「どういう関係なの・・・」
俺は俺と優睹さんの出会いを話した
「で、その力を優睹さんや警察庁長官たちに認められて特務攻撃部隊に入れてもらったんだ。でも、正式に部隊に入ったのは高校に入ってからだけどな」
「・・部隊長になったのは何で?」
「ランク決めの乱闘で全員の骨折って動けなくして一番になったから」
「ら、乱闘って・・・」
そりゃぁ・・・
警察内で乱闘だもんな・・・
「もともと部隊には荒っぽいのばっかなんだよ。それに特務でやってるから不良だったり暴力団の長だったり、そういうのが多いんだ」
「なるほど・・普段は民間人を装って、仕事のときだけ警察なんだね」
「ま、そんなとこだ」
何も現場だけじゃねぇが・・・
簡単に言やーそうだな
「だけどなぜ普段から暴力を振るってるんだ?」
「俺は常に暴力を解禁されてるからだ」
「俺は?」
そりゃ他の隊員だったら警察でもムショに入れられるような事するからな
あいつら限度無いから・・・
「隊員をムショに入れないためだ」
「な、なるほど・・・」
「じゃ、お前らもうそろそろ帰れよ、って言っても帰らないか」
「え、何でわかったの・・?」
・・バッグ丸見えだし・・・
と思いながらテーブルの下を指す
「ば、バレてた?」
「足に当たるし食事持ってきた時だった見えてたよ」
「あちゃー・・・」
なにが、あちゃーか・・・
俺の許可ももらわず・・・
「もう今から帰れと言っても無駄だろう。風呂も沸けてるし部屋も布団もある。俺はてめぇらを襲わねぇ。大丈夫だ。泊まりな」
本当だろうな、と言わんばかりの目で瑠奈とルルを見てやがる
俺って本当に信用無いのな・・・
「本当だよ。寝るのも早いし起きたら朝ご飯を作ってる。パジャマが乱れた形跡も無いし」
「そ、そうか。なら安心しよう」
な、何かひでぇな・・・
「とりあえずまだ寝ないだろ?デザートでも食うか?」
「それにとっても親切」
「もらう!」
「はいよ」
第二十四話 終