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第十七章 引越しとお客さん

櫻井宅前

「って・・・重い箱そんないっぱい持って・・重くないの?」

「大丈夫大丈夫。俺はぜんぜん重くないから。二人はその軽いやつもってけ」

「うん・・・」

「・・ん?今何時だ?」

「え?今・・もうすぐ一時だよ」

「何!?そんな時間か!?瑠奈!テレビ借りるぞ!!」

「え、あ、うん・・・どうしたの?」

そう言ってる間に龍は櫻井宅のテレビを見ていた

「・・ゴルフ?ってマスターズ!?」

「おぅ!俺の親戚のおっちゃんが出んだよ」

「へぇ、龍の親戚って有名人なんだ」

「火炎君の親戚はみんな有名人ばかりだから」

そうでもないけど・・・

「そうなんだ。で、誰が龍の親戚?」

猿翔(えんしょう)火兎(ひと)だよ。ほら、この人」

「・・この人、猿翔(さるとび)火兎(ひうさぎ)じゃないの?」

「違う!猿翔(えんしょう)火兎(ひと)だ!」

読み間違える人ばっかりなんだよ・・・

それにローマ字で名前書いてあるし


「ふぅ・・四位入賞か」

おじさんの番号はっと

「・・・・・あ、もしもし?おじさん?俺、龍だよ。あぁ、テレビ見た。四位入賞おめでとう。今度家に来てよ。パーティーするからさ。まぁ、友達も一緒になるけどね。・・・うん、じゃあ、また今度。来る時は連絡してね。じゃ」

ピッ・・・

「じゃ、続きでもするか」

「あ、うん」


「それにしてもすごいよね」

「何が?」

「だって親戚が有名人なんて友達(ひと)そうそういないもん」

「そうかぁ?気付いてないだけで実はあの有名人(ひと)が親戚って事もあるんだぜ?」

「ふぅん」

たぶんな

櫻井って実は櫻井翔の遠い親戚だったりして

「でも何で名字も違う有名人が親戚だって分かるの?」

「・・・・・俺の一族、火炎一族にはある特別な繋がりがあるんだ」

「つながり?」

「あぁ。その繋がりでその者が一族の一人だという証明になるんだ」

「その繋がりって何?」

「・・・それは秘密だ。火炎に繋がりし者にのみ知ることを許される事だからな」

「そっか・・・」

・・それは赤い瞳に(ドラゴン)の炎の事だ

火炎一族の者が炎を使う時、その時に目が赤く輝く

だが関係のない櫻井には言えないな

「・・あれ?龍じゃん。久しぶり」

「・・・・・・誰だお前」

「あらら・・・忘れちゃったか・・・」

「ジョーダンだ。雷迅(らいじん)だろ?お前」

「あぁ。そうだよ」

こいつは雷迅霧壱(きりひと)

小さい頃からの一番古い友だ

「何年ぶりだろうな」

「あぁ・・・十年ぶりくらいかな」

「・・・・・そうか・・そう、だったな」

「ん?どうした?」

「ぁ、いや、何でもない」

・・・?

少し様子が変だな・・・

俺変な事言ったか・・?

「あ、そうだ。俺ちょっと用事があるんだった!じゃあな龍!」

「お、おぉ!・・・・・・・」

「・・ねぇ龍。どうしたの?」

「あ、あぁ、いや・・・あいつもっと前から知ってるような気がするんだけど・・・」

・・・思い出せねぇ・・・!

「・・・・・?」

「・・ぁ、ごめん。じゃあ帰るか」

「うん・・」


「ただい・・ま゛!?」

ドアを開けた瞬間小さな子供が跳び付いた

「りゅう(にぃ)!おかえり!」

「おぉ、剛毅(ごうき)!久しぶり」

「やぁ、龍。久しぶり」

嘉穂(かほ)。久しぶりだな」

二人は中学二年生の火遁(かとん)嘉穂里(かおり)と小学三年生の弟の剛毅

火炎一族で最も若い二人(チーム)

剛毅は自分に炎をまとい動物の姿に変身する事が出来る

そして嘉穂は炎で様々な生き物を造りそれを操って戦う

さらに二人は実の動物の心の声が聞こえ、心で会話も出来る動物のスペシャリストでもある

「ところで、今日は何か俺に様が?」

「いや、用なんて無いけどね。たまには顔出しておこうと思ってさ」

・・・ちがうな

「ふぅん。目当ては飯か」

「!ち、ちがっ・・!」

「まぁ、気にしなさんな。今家(そっち)に誰もいないんだろ?」

「・・・ま、まぁ・・・」

そんで外食もいいけど俺ん家ならただで飯が食えると・・・

「ま、何にせよ俺も客人はうれしいしね。ずっと一人だったからな・・・」

「・・・な、なんか、ゴメン」

「嘉穂の気にすることじゃねぇさ。それよりさっ、何食いたい?」

「・・・スパゲッティ・・♪」


そうして龍は昼食を作った

「はい、おまたせ」

「うーん♪やっぱ龍の料理はおいしそうだね♪」

「そうか、ってお前何年ぶりか分かってんのか?」

約二年ぶりのくせに覚えてるのかよ

「まぁまぁ。気にしないで」

・・まぁいいか


「ところでさ。二人ともどうやって家に入ったんだ?」

「どうって・・合鍵で」

俺二人に合鍵なんて作ったっけ・・?

「うん。ずっと前に」

「そうか・・・」

何でだっけ・・・

「確か七年前くらいで私が七歳の時でこの子が一歳の時に。親が事故にあって亡くなったその葬儀でさ。私、ずっと泣いてたんだ」


『おかあさん・・・おとうさーーん・・・・わーーーん!』


「その時龍が来て泣き止むまでずっと一緒に居てくれて・・・」


『・・大丈夫だよ。嘉穂ちゃん。俺がついててあげるから・・・』


「唯一心配してくれて私たちのために代わりに育ててくれる人も見つけてくれて」


『すいません。この二人をお願いします。狼焔(ろうえん)獅牙(しが)さん』


「それで別れる時にこの鍵をくれたんだよ」


『寂しくなって泣きたくなったらまた家に来な』


「また来なって」

あぁ・・そんな事もあったな

「しかしあん時はよく見つかったよな火炎一族で育ててくれる人」

「そうだねぇ」

「でも七年前って言うと龍も小学生だよね。それでよく育ててくれる人見つけたよね」

「・・・それはごもっともな意見だな櫻井」

確かに何でか・・・

「ま、俺は小学生でもしっかりしてたからな。それにその狼焔さんは前に不良に絡まれてるとこを助けたことがあるから顔見知りだったし」

「まさかその恩返しに私たちを育ててるんじゃ・・・」

「いや違うよ

二人はね、子供がほしかったんだよ。でも不幸なことに二人には子供が出来なくて。本当に嬉しかったんだろうね。たまに電話したら必ず「ありがとう」って言われて」

「そうだったんだ・・・」

「二人はお前らを本当の我が子として今まで育ててきた。しかる時は叱り、ほめる時は褒めるってしてたろ?」

「・・うん」


「じゃあ、またな。剛毅、俺が作った料理はどうだった?」

「うん。おいしかった!」

そっか!

「・・・ねぇ、龍。本当は何で私がここに来たか分かる?」

・・・・・

「・・本当はね、龍に会いに来たんだよ。龍、言ってくれたよね、悲しくなったら来なって」

「あぁ」

「それでね、来たんだよ・・・」

・・泣きたい時は我慢するなよ

「・・うっ・・うぅ・・・ごめんね・・・」

「・・・・・」

ありがとう、だろ・・?

「・・うん・・・ありがとう・・・・・・・」


「・・ごめんね、今日は・・・・・ありがとう・・・」

「あぁ。また来いよな」

「うん。今度は普通に遊びに来るよ」

・・待っててやる

いつでも遊びに来い

平日以外ならな

「うん。じゃあね」

「バイバイ。りゅう(にぃ)

「またな!」

龍は二人の影が見えなくなるのを確認して家に入った

「・・どうした?お前ら」

「龍、モテモテだね」

「モテモテ?」

「うん。絶対あの子、龍の事好きだよ」

・・・ふぅん

「ねぇ、龍は好きな人いないの?」

「何だよ唐突に」

「いいから。で、いるの?」

・・・・からかってみるか!

「俺が好きなのはルルだって言ったら?」

「え・・!?」

ボッ!っとルルの顔が燃えたように真っ赤になった

「ほんとに!?」

「もちろん。・・冗談だ。知ってるだろ?俺は恋愛感情を捨てたんだ」

「・・・ねぇ、何でそれだけ捨てたの?」

「・・・・・・・俺の両親が亡くなった時とてつもなく深い悲しみに陥って・・もうあんな思いしたくいから・・・」

「龍・・・」

・・・・父さん・・母さん・・・

「まぁ、悲しげに言ったらそうなるけど実際は双名(ふたつな)を持っちまったからなんだけどな」

「あ、ぶっちゃけた・・・」

「ちょっと幻滅(げんめつ)だな・・・」

・・・・・それでいいんだよ・・・

俺はドラゴンだからな・・・

「さて!デザートといくか?」

「うん!」

「食べる!」

「今日はちょっと時間掛かっから少し我慢しとけよ」

「「はーい!」」


第十七章 終

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