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第十四話 爆弾男

「お?お客さんでもいるのかい?龍君」

「あ、うん。紹介するよ。二人とも」

二人には一応かくれてもらっていた

「おぉ?これまたかわいい子だね」

「ハハハッ♪こっちは竹内菜美、俺の友達。それと桜ルル、従妹だよ。おじさんは面識(めんしき)が無いかもな。二人とも、こっちは俺のおじさん、火炎爆朱(ばくしゅ)、レストランVulcan Sol(ヴァルカンソル)料理長(シェフ)、そして店主(オーナー)だ」

「はじめまして」

「はい、よろしく」

軽っ!

「じゃあ龍君、キッチン、借りていいかい?夕食(ディナー)でも作るよ。今日は中華だ」

「あ、じゃあ俺も手伝うよ」

「・・そうだね、久しぶりだし、料理の腕、見てあげるよ」


「にしても荷物多いなぁ。何があるんだ?」

「食料をいろんなとこから調達してきたんだ。龍君に御裾分けしようと思ってね」

「ありがとう!」

「ところで・・・誰なんだい?あのルルちゃんって。桜って事は桜一族の者だよね」

「あぁ、今回のカギだ」

「彼女が・・・で、従妹って言う設定なのはみんなにばれないためか」

ばれないため・・・

「まぁ、そういう事だ・・おじさんは調子どう?魔物退治は」

「うん・・まぁまぁ、かな。最近は手ごわくなってきてね」

「・・でも楽勝、だろ?」

「まぁね。あんな奴ら僕の爆弾にかかればどうって事無いよ」

おじさんは火炎一族の中では遠距離攻撃を得意とし、(トラップ)も御手の物

敵の行動を先読みし、攻撃を仕掛ける罠職人(トラップマスター)

「でも爆弾もほどほどにしないと身が持たないよ」

「まぁ確かにね。失敗してたまに自滅しちゃうよ」

・・よし、完成

「おじさん、味、みてくれよ」

「お?かに玉だね?どれどれ・・・・・うん、上達したね、龍君。これならレストランでも出せそうだ」

「俺だってずっと一人で暮らして料理は特訓してるからな」

味は自身ある!

「んー・・でもちょっとかたいかな」

「かたいかぁ・・・また特訓だ」

「うん。あ、そうだ。龍君にこれもあげようと思ったんだけど・・・」

ごそごそ・・・

「何?」

「あれー?・・あ、あったあった。これだよ」

「これは・・・」

おじさんが俺に渡した物は七冊ものノートだった

そこには『レストランVulcan Sol(ヴァルカンソル) レシピ帳』と書いてあった

「い、いいの!?これ、大事なものじゃ・・・」

「いいのいいの。本来は龍君の物だし僕はもう全部暗記してるからね」

「あ、ありがとう。じゃあもらっておくよ」

「うん。さて、もうできる頃かな」


「おなか空いたぁ・・・」

「まぁ、ルルちゃん。もう少しで出来るって」

「・・・・・ねぇ、竹内さんって龍の事好きなの?」

「え?何で?」

「だって、龍と話してるとき、ずっと楽しそうだもん」

「うーん・・私は、好きとかそう言うんじゃ無いんだな。なんて言うんだろう・・龍の笑顔には、そう、人を和ませるような、人を自然と笑顔にするようなそんな感じがあるんだ」

「・・なるほどね・・確かにそんな気がする」


「・・・これだけじゃたりねぇかな・・?」

「うーん・・確かに・・・」

主食がチャーハンでおかずがかに玉、餃子(ぎょうざ)、中華スープだけってのは・・・

「何か二、三品足そう、おじさん。これじゃ俺が(・・)たりねぇ!」

「そうだね。今からだと・・二十分でつくろうか。レディー二人が待ってる」


「ところで・・竹内さんって龍に助けてもらったことあるんでしょ?何回くらい?」

「うーん・・小学校の頃に十七回、中学の頃に九回、高校は、今までだと十回くらいかな」

「・・・そ、そんなに!?」

「まぁ、私のお父さんが有名なIT会社の社長でね。身代金(みのしろきん)目当てでよく誘拐されそうになるの」

「・・そう言えばさっき龍が『お嬢様』って・・・」

よし・・出来たぞ・・・

晩飯・・・

「うん。私は竹内財閥、竹内秀一(ひでかず)の一人娘なの」

「・・・すごい・・・」

「だからお前は誘拐されるんだよ。親に文句でも言ってやれ」

「龍」

「お待ちどうさん。飯出来たぞ」

「おいしそう!」

グゥ〜〜・・・

「腹減った〜・・・」

「だろうね、龍君は今日、結構食べるもんね」

「どういう事?」

「俺ぁ年に一回、八月二日に飯を尋常じゃないほど食うんだ」

グゥ〜〜・・・

「・・な、何で!?」

「あー・・・・話すのめんどい・・・」

「え!?」

「わかった・・食いながら話す・・・いただきます!」

ばくばくむしゃむしゃ・・・

「あれぁ親が死んで俺はずっと町で暴れまわってた」

「話違うじゃん」

「まぁ聞け。気性が荒く老若男女(ろうにゃくなんにょ)問わず殴り蹴り、

まるで怒った猛獣のようにな。

それから誰も俺に近寄ってこず、孤独の日々。

それで俺は山に行ったんだ、なぜだかは忘れちまったがな。

しかしそこは大して食える物が無くてな、本気で俺は死ぬと思った。

でも俺は感情を捨てていて死ぬと思っていても死への恐怖が無かった。

だから死んでもいいと思った。

そして死を予感してから二ヶ月、俺の腹の虫が限界を超した時、

それが今日、八月二日なんだ」

グゥーーーー・・・

「足りねぇ・・・」

「え?それで?どうなったの?」

「・・そっちが気になるか・・・そのあと俺は山で食えそうな動物を探して殺して食って生き延びた。そしたらいきなり警察署に連行。そして日雀(ひがら)家に引き取られ感情を戻した。めでたしめでたし」

「へぇー。龍君、野獣(やじゅう)殺して一日を過ごしたの。すごいね。味はどうだった?」

「くそ不味かった。あんなもん二度と食いたくねぇ」

「だろうね。焼いても野獣の味は最低だよ」

確かに・・最低だった・・・

自分の墨になった初の卵焼きより不味かった・・・

「爆朱さんも野獣を食べた事があるんですか?」

「うん。今まで食べたのは・・ガチョウ十羽、ワニ四匹、象二頭、サメ三匹、トラ二頭、カジキ一匹、ライオン三頭、鹿二匹、イノシシ四頭、トカゲ二十匹、など等・・・いろいろと。合計は百匹あまりかな」

「そ、そんなに・・・」

すっげーーー!

「何が一番うまかった?」

「うーん・・どれもいまいちだったけど・・ワニの焼肉かな。あれはまぁまぁおいしかったよ」

「・・・俺も食いてぇ!」

「じゃあ今食べる?ちょうど何となくワニを丸ごと二匹持ってきたんだ」

「おぉ!食う食う!!」

やった!

タタタタタタタ・・・

ジューーーー・・・


ばくばくがつがつばくばくむしゃむしゃがつがつばくばく・・・

「・・龍ってこんなに食べる人なんだね・・・」

「かに玉一皿、ラーメン五杯、チャーハン四杯、北京(ペキン)ダック丸ごと一匹、餃子二十個、シュウマイ十六個、中華スープ十八杯、そして・・ワニ丸ごと一匹・・・」

「む?何か言ったか?」

「ううん・・なんでも・・・」

(しめ)て約三十人前・・・」

「はぁ食った食った・・ごちそうさん」

満足満足

「た、食べちゃった・・・」

「いやぁ、食えるっていいな!はははッ!」

プルルルルル・・・

「はい、もしもし・・あ、坂野か。どうした?・・何!?櫻井が行方不明!?」


第十四話 終

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