第十二話 友とランチ
「・・・どうしよう・・・告白しちゃった・・・」
zzz・・・
「は、恥ずかしい・・・どう声をかけよう・・・龍の顔見ただけで私が赤くなりそう・・・」
・・zzz・・・
「・・そういえば龍の寝顔って見たこと無いなぁ、私が起こしに行くといっつも先に起きてるし・・・どんなんだろう・・想像つかないなぁ・・・」
zzz・・・
「スゥー・・ハァー・・・よし!・・龍!おはよう」
「・・んー・・・zzz・・・」
「・・・龍!朝だよッ!」
「んー・・もう少し・・・」
「・・龍って低血圧なのかな・・・ほら!起きて!」
zzz・・・
「朝だよ!起きて!龍!」
「もう少しって・・・」
「龍!龍!起きて!」
ブチッ!
「もう少しって言ってんだろ!!寝かせろよゴラァ!!こっちは疲れてんだよ!!あぁ!?」
「・・・・ご、ごめんなさい・・・」
「・・ぁ・・俺こそごめん・・その、いきなり怒鳴ったりして・・・」
「・・・・・・・・・」
ルルは静かに泣きそうになっていく
「・・言っておくべきだったな。俺、寝起きが悪くて時々何も考えずに怒鳴ったりしちまうんだ・・本当にごめん」
「・・・うぅ・・ひっ・・ふっ・・うっ・・・」
「・・・・・ルル・・ごめんな・・・こっち来い」
ルルは首を振った
・・起こられると思ってんのか・・?
「・・もう怒っちゃいねぇよ・・・ほら、来い」
この時の龍の顔は今まで見たことも無いとても優しい顔でした
「・・・・・・」
ルルは少しずつ龍に近づいていった
そしてルルがすぐ近くに来たら龍は彼女を抱き寄せた
「へっ・・?」
「・・ごめんな・・俺のせいで・・・でも俺、お前の泣き顔は見たくねぇ・・・」
俺はルルの笑った顔が好きで・・・
だから、お前の泣いた顔を見たくないからお前を護るって決めたのに・・・
「ごめんな・・・」
「・・・私こそ、うっ、ごめんね・・・」
「ルルは謝る必要は無いよ、悪いのは俺だ」
「でも・・でも・・・」
「いいから・・・そのまま・・・気持ちが治まるまで泣きな・・・」
「・・ひっ・・うっ・・うぅ・・・うわーーーーん・・・」
「・・・・・どうだ?」
「・・うん・・ごめんね・・・」
「それはもう言うな・・・着替えるから、先に下に行っとけ」
「うん・・・」
パタン・・・
「・・龍・・・」
「うん?」
「・・なんでもない・・・」
「・・?」
何で呼ばれたんだ・・?
「・・あんなやさしい顔・・見たこと無いな・・・」
ルルは怒っていないと言い、そばに来るように言った時の龍の顔を思い出した
「・・・・ふふっ♪やっぱり龍の事好きだな・・・」
「・・・ふ、ぁー・・・」
「眠いの?」
「んー・・つまらねぇなと思って・・・」
「そう言えば最近、なんか平和だね。魔物とか現れないし・・・」
・・魔物・・・
魔神・・・
イフリートの言った言葉・・・
『お前に真なるドラゴンの力は使えん・・・』
真なるドラゴンの力、か・・・
「なんだろうな・・真なる力って・・・」
「ん?何か言った?」
「いや・・何も・・・」
プルルルル・・・
ガチャ
「もしもし」
「おぅ、炎」
「何だ、函崎か・・どうした?」
「何だとは何だ、何だとは・・それよりさ、今日、お前んち行ってもいいか?」
「・・何で?」
「いや、何か暇だからさ」
家は暇つぶしのためにあるのか・・・!?
「どうせ親がいなくて昼飯どうしようとかだろが」
「ばれたか?」
「やっぱり・・・メンバーは?」
「俺と中山と竹内だ。もしかしていいのか?」
・・なんか面倒くせぇメンバーだ・・・
「あぁ、いいよ。昨日海に行かせてもらったお礼だ」
「サンキュー!」
プツ・・ツー・・ツー・・ツー・・・
ガチャ
「函崎君、なんて?」
「これからうちに来る。お前は俺の従妹だからな、設定として」
「わかってるよ。それより、ご飯の準備しなくていいの?」
「あいつらの好みをしらねぇからな・・嫌いな物だったら絶対残すからな・・・」
それから一時間後
ピーンポーン
「はーい」
「おぅ!」
「こんにちわ、龍君」
「久しぶり」
昨日あったけどな・・・
「いらっしゃ・・あ?」
「どうした?」
・・ん?・・・
一、二、三・・四?
「何で四人いるんだ?」
「あぁ、そうだそうだ。さっきな先輩と会ってな、お前んちに行くって言ったら着いてきたんだ」
「おっす!」
「な!?ことり!?」
「こら!先輩をつける!」
この人は日雀ことり
俺たちの先輩だ
そして俺にとってはただの友達みたいなもんだけど
「別にいいじゃん。校内じゃあるまいし」
「私はあんたよりも年上よ!だから先輩をつける!」
「あっそ・・・で、そんな年上のことり先輩がどうしてここに?」
「火炎ってさ料理うまくなったんだってね。それにあんたこれから昼ご飯でしょ?だからご馳走してもらおうと思ってね」
「火炎って呼ぶな!・・お前の親は?」
「出かけてる」
・・・こいつもか・・・
「てか、年上のくせに料理できないのか?」
「出来ないわけじゃないわよ」
「じゃあ自分で作れよ」
「で、でも一人じゃ美味しい物もちょっと、じゃない?それに料理って面倒だし・・・」
それが本音か!?
「はいはい、作れないのね・・・」
「違うって・・・」
「どっちでもいいけど、食うなら入れ。飯つくっから」
「おっじゃましまーす!」
「はいはい・・・」
俺は四人をリビングに案内した
「あ、こんにちわ」
「ルルちゃん」
「こんにちわ、ルルちゃん」
「・・火炎、この子誰?」
そっか、ことりはしらねぇな
「じゃあ紹介するか。こいつは桜ルル。俺の従妹だ。ルル、こっちは日雀ことり、俺の友達にて先輩」
「よろしくね、ルルちゃん」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
礼儀よすぎだ・・・
「・・俺、炎の家初めて来たぞ・・・」
「あ、私たちもだよ」
「そっか、俺友達とか呼ばないからな・・・ん?じゃあ何でここにたどり着けたんだ?俺、住所教えてねぇぞ」
「あぁ、うん。日雀先輩に案内してもらった」
・・なら納得だ
ことりは家に来たことあったからな
「それより昼飯は何だ?腹減った・・・」
「まだ決めてない。みんなの好みしらねぇし。何がいい?」
「私、焼きそば」
「私はチキンライス」
「俺、チャーハンな」
「私はスパゲッティね」
みんな遠慮しねぇなぁ・・・
「ルルは?」
「私は何でもいいよ」
「ルルちゃん、遠慮しなくていいのよ」
「お前が言うな、ことり!てかお前らは遠慮しろ!」
「いいじゃん。お前料理作んの早いんだからさ」
「・・・一時間半以内には作り終わる。待ってろ」
約三十分後・・・
「チキンライスとチャーハン出来た」
「は、早い・・・」
「どうやって作ったんだ、二つも・・・」
「同時進行」
「マジかよ・・・」
早くしねぇとパスタと麺がのびる!
タタタタタ・・・
「同時・・ありえねぇだろ・・・」
「何で?」
「だってほらこのチャーハン見ろよ・・米一粒一粒に卵がからまって黄金米になってる・・しかも米がパラパラになってるんだぞ・・・プロ並みだ・・・」
「す、すごい・・・」
「おまけにチャーハンには中華スープ、チキンライスにはコンソメスープしかも手作りのだ」
「・・・火炎って一人で店を出せるんじゃ・・・」
「そしたらすげぇ儲かるな・・・」
約三十分後・・・
「焼きそばとスパゲッティ」
「これも同時進行か?」
「あぁ」
「マジかよ・・・」
やべっ!
魚と卵がこげる!
タタタタタ・・・
「すごい・・スパゲッティのソースもちゃんと手作りで出来てる・・・」
「・・カルボナーラだな・・・」
「うん・・・ちゃんと半熟卵もそえてあるよ・・・」
「マジですげぇな・・・しかもサラダ付き・・・」
「焼きそばはオレンジがついてる・・・」
「こんなのやる暇あるのか?この時間内で・・・」
約二十分後・・・
「俺の飯とルルの飯出来たぞ」
「二人は?」
「ルルはオムライス。ポテトサラダ付きだ。好きだったろ?」
「うん。ありがとう」
「で、俺は焼き魚定食」
「和風だなぁ・・・」
「気分だ気分」
今日は和風な気分なんだ
「じゃあいただきます」
みな一口ずつ食べた
「・・・おい、炎・・・」
「ん?どした。口に合わなかったか?」
「いや・・これ何分で作ったんだ・・?」
何分・・・!?
「さぁな。チキンライスと同時進行したから三十分かかったけどチャーハンだけなら十五分もあれば作れる」
「その短時間でこんなうまいもん作れんのか・・?」
「何だ、口に合ったのか。紛らわしい・・・」
「でも本当においしいよね、龍君の料理って」
「そりゃどうも」
「本当・・料理教えてもらおうかなぁ・・・」
・・本音か?
今のは本音か?
本音が出たのか?
今のはマジで本音なのか!?
「・・・それにしてもよくこんなに上達したよね。これも私が料理を教えてあげたおかげだ」
話題変えた・・・
「ちげぇよ。料理ってのが何かってのはことりから聞いたが料理は独断で学んだ」
「昔は卵焼きもこげこげだったのにねぇ・・・」
また話題変えやがったこいつ!
今のはちょっとカチンと来たぞ、コノヤロウ!
「あん時の火炎は逆らわないでかわいかったのにねぇ・・・」
「うるせぇ!」
何がかわいかったのにねぇ、だ!
うぜぇ!
「どういう事?何で先輩が知ってるの?」
「あぁ。昔、俺の親が死んでしばらくたったあとこいつの家においてもらってたんだ」
「何で?」
「何でって・・そりゃ俺はまだガキだったからな、一人じゃ危ないだろ?何かと」
ま、俺ドラゴンだから平気だけどね・・・
「でも、何で先輩の家だったんだ?」
「・・何でって言われてもなぁ・・・当時、俺は荒れてて外に出た時は誰これかまわず殴って蹴ってな。そりゃあひどい小学生だったんだ。それでよく警察の世話になったんだ。」
「小学生ながら警察の世話になったの!?」
小学生の頃だって事は気にしないんだ・・・
「それでその荒れが治まって警察は俺を誰かに引き取ってもらおうとした。
だがその暴力さで誰も引き取ってくれなかったんだ。
でも家の近所の日雀さんは俺の事情をよく知っていた。
それと家から近かった事で引き取られることになったんだ。
ことりの弟として、家族として・・・」
「へぇー・・・」
「でもそれから一年くらいでこっちに戻ったけどな!はははっ!」
「そこ笑うとこじゃないだろ・・・」
そうかな・・・
自分の事だし、いいじゃん
「あん時、あんた私の事お姉ちゃんって呼んでたよね」
「んー・・あー・・そうだったかもな」
「覚えてないんだ・・・まぁ、別にいいけど」
・・まぁ・・はっきりと覚えてるんだけどね・・・
「そんな事よりさ、このあと何する?」
「何って?」
「例えば・・トランプとかさ」
「トランプか・・・いいね、やろうやろう」
「うち、トランプ無いぞ」
「無いの!?」
何で無いと驚くんだ・・・
「何となくそんな気がして持ってきたけど・・・」
「函崎君すごい」
「じゃあみんなで楽しんどけ」
「龍君はやらないの?」
「あぁ、ちょっとな」
俺は席を立ち、キッチンに向かった
「・・・じゃあ何するか」
約四十分後・・・
「お待たせ」
「お?何だ?その皿の上にあるやつ」
見てわからねぇか、函崎は・・・
「プチケーキだ」
「ケーキ!?」
「やったぁ!」
「デザートにどうかと思ってな。全部違う物だ」
約十八種類
考えるのが大変だった・・・
「一人三種類ずつな」
それからあっという間に四時間と言う時間が過ぎた
「ん?あ!私そろそろ帰らないと!」
「お、俺もだ!やべぇ!」
「みんな帰るの?」
「うん。もうすぐでお母さんたちが帰ってくる」
みんな仕事で、か
「私は明後日まで帰ってこないけどね」
「何で?」
「今日は二人が結婚して二十周年だから二泊三日で夫婦で旅行に行くって」
二十周年でって・・・
「じゃあ竹内今日と明日どうすんだ?」
「うーん・・どうしよう・・・・・龍」
「ん?」
「今日泊めて」
「何で?中山んちは?」
「みんな親に迷惑かけちゃうじゃん」
んでうちは親がいないからってか?
「・・まぁ、いいか。ルルがいいならな」
「え?私は全然いいよ。泊まってって♪」
「やった♪」
「じゃあ竹内さんは泊まっていくんだね?」
「はい」
「じゃ、俺らは帰るわ。またなぁ〜」
そう言い残し函崎たちは自宅へ帰った
第十二話 終