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第十一章 海へ行こう!後編

「すみません。乗せてもらっちゃって・・・」

海に行く当日

俺たちは函崎の母親に車に乗せてもらい海へ向かっていた

「いいのよ。火炎君のおかげで智晴が不良からまともな道を歩むようになったんだから」

「か、母さん!その事は言うなよ!」

「そうだったの?不良って・・・」

「あぁ。函崎(こいつ)な中学の時俺に喧嘩を挑んできたんだ。俺が一発KOして勝ったけどな」

「炎も話してんじゃねぇ!!」

「ハハハッ」

・・そう言えば俺に負けた次の日弟子にしてくれとか言われたような・・・

「あ、もう海に着いたよ♪」

駐車場に車を止め

「じゃ、場所とってくるからみんなは着替えて遊んでらっしゃい」

「母さんサンキュー」


「・・・遅いな女子は」

「まぁ男子は海パンはいてくれば服脱ぐだけでいいからね」

「でも女子だって着てくれば服脱ぐだけでいいじゃん」

「女子は色々と大変なんだろ」

「色々って何だよ」

なんか口論始まった・・・

「お、来たぞ。おーい」

「あ、みんな早い」

「女子と違って手間が無いからな」

「今のちょっとひどい」

そうか?

「ま、いいじゃん。海入ろうぜ」

「うん」

俺たちは準備体操を済まして海に走った

「うほッ!冷てー!」

「気持ちいい」

「・・よっ!」

ざぶん!

海って気持ちいいな

久しぶりだ・・・

「ぷはッ」

でも俺には冷たすぎかな

「龍君」

「ん?櫻井に朝原・・どうしたんだ?それ」

二人はバナナボートに乗っていた

「あそこのレンタルショップで借りたの」

「一時間だけどね」

「へぇー」

そう言えば俺もガキの時に乗せてもらってたなぁ・・・

『わーい!早い早い!』

・・・・・

「ねぇ!龍君ってば!」

「ん?な、何?」

「もう!聞いて無かったの?」

「悪い。考え事してた。で、何?」

「龍君もこれ乗らない?」

・・・俺もそんな年じゃねぇしな

「俺はいいよ。第一、それに乗っても動かす物か人がいなけりゃ浮いてるだけだぞ?」

「それもそうだね。うーん・・どうしよう・・・」

「・・じゃあ龍君が引っ張ってよ。引っ張る用の紐みたいのがあるから」

「わかった」

・・これか?

リュックみたいだな・・・

「じゃ、動かすぞ」

「うん」

「・・それッ!」

俺は出来るだけ猛スピードで泳いだ

「すごい!ボートに引っ張られてるみたい!」

「気持ちいい!」

「振り落とされるなよ!」

俺はさらに龍尾(りゅうび)を回転させスピードアップした

「キャーーッ!」

「すごーい!」


「はい終わり」

「楽しかったね!」

「うん!すごかったよ龍君」

「疲れた・・・」

結構体力の消費が・・・

「じゃあそろそろお昼にしようか」

「あ、はい」

函崎さんに押さえてもらった場所まで案内してもらった

そして函崎さんが弁当を取り出した

「・・・ほら!」

「おぉ」

「さすが母さん。うまそ!」

すげぇ・・・

「たくさん食べていいよ」

「いただきます!」

「・・うん、うまい!」

「おいしいです、函崎さん」

「そうかい。ありがとう」


「なぁ何する?」

「何しようか・・・」

「ん?あれ?炎?炎か!?久しぶりだな!」

「あ?誰だ?」

この人って・・・

「先輩?」

「おぅ!元気してたか?」

「先輩!久しぶりですね!」

「相変わらずお前は男子の友達は少ねぇのか?」

「はい・・ここにいる二人だけっすね」

「ま、お前らしくていいか!ハハハッ!」

先輩も相変わらず明るいなぁ

「おい、炎。この人誰だよ。紹介しろ」

「あ、そうだったな。この人は小学校の時二つ上だった谷田(たにだ)圭吾(けいご)先輩。俺が学校で独りの時よくしてくれた人だよ」

「よろしくなっ!」

「それにしても何でここにいるんですか?」

「あぁ。俺ここのライフセーバーになったんだよ」

「ライフセーバー!?」

海での命を救う言わば海の救助隊に!?

「おぅ!」

「そういえば先輩の夢ってライフセーバーになる事でしたね」

「あぁ、夢が叶ってよかったよ」

「ここは何か起きたりしないんですか?」

「うん。ここにはサメとか危険な生物は滅多に来ないからね」

滅多にって事は一応来るんだ・・・

「まぁ人の少ない時ばかりだけど!」

「キャーーーーーーーッ!」

「!!」

女性の悲鳴!

あっちか!

「どうしました?」

美智子(みちこ)が・・私の子が海に!」

「助っ・・けて・・・」

あの子か!

!!

「サメだー!」

「あの子を襲おうとしてるぞ!」

「!先輩!助けに行かないんですか!?」

「・・・・」

「・・チッ!」

ダッ!

「龍君!?」

ざぶん!

「ッ・・・ッ・・・ッ・・・ッ・・・」

俺はクロールで泳いだ

「だめだ!間に合わない!」

・・・いや!龍尾!

ギュン!

「は、早い!」

「・・ぅおりゃ!」

バキッ!

俺はその勢いでサメに蹴りを喰らわせた

「さ、お兄ちゃんにつかまって」

「・・・うん・・・」

ギュン!


「はぁはぁ・・・」

「美智子!美智子!」

「ママ、ママぁ!」

「よかった・・本当によかった・・・・あの。ありがとうございました!」

「いえ・・・」

それよりも・・・

「炎。すごかったぞ。お前もライフセーバーに入るか?」

「おい。何で助けなかった」

「ぁ?」

「何で助けようとしなかった!」

ライフセーバーは海で人命救助をする人の事じゃねぇのか!!

「あれでは間に合わなかったからだ」

「何!?」

「サメのスピードと人のスピードを考えてみろ。サメのほうが速い。もし俺が行ったとしても間に合・・・」

バキッ!!

「・・ッ!何しやがる!!」

「てめぇは人の命を何だと思ってる!!かけがえの無い命だぞ!!人の命を見捨ててんじゃねぇぞ!!それもこんな小さな子の命を!!それでもライフセーバーか!!!」

「・・・・・」

「あんたはもうあの時の先輩なんかじゃない。今はもう・・人殺しと変わらねぇよ」


「龍君」

「ん?」

「いいの?あんな・・・」

「いいんだ」

あいつはもうあの時の先輩じゃないんだ

「・・あの時の先輩じゃないってどういう意味だ?」

「・・・・俺がガキの時親を亡くしてしばらく感情を消し暴れてた時があった。その時みんな俺から逃げてるなか先輩だけが俺と向き合ってくれたんだ。先輩は俺に『感情を持て。お前は強い。だが罪無き人たちを殴ってはいけない。でも感情を持ち悪い人だけを殴ればいい』ってな。あの時の先輩は優しくて頼れる人だったんだ・・・」

あの人があんなに変わるなんて・・・

「そうだったのか・・・・それで・・・」

「よぉ、お前ら」

「!!・・・あんたら誰だ」

「俺らはここのライフセーバー」

「お前らよくも俺らのかわいい後輩を殴ってくれたな」

・・こいつら・・・

「勝負だ」

「勝負?」

「あぁお前らが勝ったら俺らはひく。ただしお前らが負けたら」

「その女たちをいただく」

「きゃッ!!」

「お前らが不参加したら俺らが不戦勝だぜ」

こいつら!!!

「・・参加しない訳にはいかないな」

「あぁ・・・ルールは!!」

「ルールは簡単。泳いであそこの離れ島をまわってこっちに早く戻ってきたほうが勝ち」

「全部で三回、勝負をする。三回やって勝ち点の多かったほうが勝ちだ」

・・めんどくせぇ

が!

「てめぇらに負けるわけにはいかねぇ!!」

「おぅよ!」

「じゃあスタートだ」


「一回戦は川平vs.坂野」

「お前は体育会系ではないな。楽勝だ」

「絶対勝つ!!」

「よーい・・スタート!」

ざぶん!

「へッ!ライフセーバーにしては遅いな!」

「フフッ」

「?」

「こいつか・・・」

「!!・・なッ!何だこいつら。う・・うわぁーーーーーッ!」

!!何だ今のは!!

「おっ。川平じゃん」

「そんな・・・」

「坂野のほうが速かったのに・・・」

・・今のは悲鳴だった・・・

こいつら何かしてる!!

「へへッ!楽勝楽勝」

「じゃあ二回戦」


「二回戦は山地(やまち)vs.函崎」

「おい函崎」

「何だよ炎」

「あいつら何かしてる。気をつけろ」

「わかった。大丈夫だよ」

・・・こいつら・・何してる・・・

「よーい・・スタート!」

ざぶん!

「・・・もう少しで坂野の消えた場所・・・!!」

「へへッ。悪いねぇ」

「アーーーーーーーーーッ!!」

また!!

「ね、ねぇ・・函崎君は?」

「あーあ。これでこっちの二勝」

「まだやるか?」

「・・あぁ!」


「三回戦野田vs.火炎」

「俺に勝てるかな?」

「てめぇらのした事。この目ではっきりと見させてもらうぞ」

「よーい・・スタート!」

ざぶん!

・・龍尾は出来ねぇな

ずるはいけねぇ

「二人がいなくなったのはここか・・・!!」

「へへッ」

「てめぇら・・・!!」

「お前はここで終われ!!」

・・・!!

「へッ!さっきの速さはもう出ずか」

「・・・炎君?」

「じゃ、一緒に来てもらおうか」

「や、やめて・・・」

「おい、待てよ・・・」

「!!」

「お前ら・・・ばてたんじゃ・・・」

「あいつらしくじったな!」

・・・言ったな

「こいつらなら逆にボコしてやった」

「な・・・」

「しかしよくこんな弱い奴ら使ったよな」

「あぁ。炎のおかげでこいつらの攻撃がまるでガキのようだったぜ」

さっきの悲鳴はこいつらってわけだな

しかし・・・

「おい・・お前ら・・・」

「な、何だよ」

「てめぇらはこんな事して恥ずかしくねぇのか」

「あ?」

!!!

「恥ずかしくねぇのか!!勝負事だったらせこい事しないで正々堂々と戦え!!」

「何言ってんだ。勝負事だからせこい事するんじゃねぇか」

「何!!」

「勝負なてな勝てばいいんだよ勝てば」

こいつらは!!!

「最低だ」

「あ?何だって?」

「てめぇら人間として最低だ!こんな事してまで勝ちを優先するか。最悪だな」

「んだとてめぇ!」

「勝負をしたいのなら正々堂々と・・拳を使え。喧嘩だ」

「ほぉ。いいだろう。なら早速・・スタートだ!!」

「ぬるい」

パシッ!

ドン!!

「ッ!てめぇ!!」

「ただ・・喧嘩じゃ俺には勝てねぇ」

「ハッ!ほざけ!!」

「俺をしらねぇみたいだな」

龍眼

「!!その眼は・・・」

「黄色い眼・・確か炎とか龍とかって・・・まさか!」

「数多くの暴力団を壊滅させたと言うあの火炎龍!?」

「・・まちがいねぇ・・この眼は確かにそいつの物だ・・・」

わかったようだな

「ひ、ヒィィ!!」

「待て!!」

「はい!」

「てめぇらのした罪を償え」

「はい!申し訳ございませんでした!どうか許してください!!」

・・ふん・・・

「炎!」

「・・なんだ」

「俺お前に殴られて目が覚めた。確かに俺のやってた事は悪い事だった」

「・・わかってくれましたか」

よかった・・・!

「お前ら!!」

「はいぃ!」

「今日からこの谷田圭吾がここのリーダーの存在になる。この人に従え。わかったな!!」

「はいぃ!!谷田様何なりと!!」

これでよしかな

「じゃあ先輩。あとは頼みます。こいつらがまた悪さをしたら電話してください。今度は病院送りになるかもしれないけどな!!」

「すみませんでした!もうしません!!」

「ありがとうな。炎」


「それにしてもお前暴力団を潰したって本当か?」

「・・あぁ。約二十だ」

「二十も・・・」

「みんなそれぞれ悪い事をしてた集団だ。問題は無い」

ちょっとはあったけど

「いつの話なんだ?」

「えぇと・・・小六から中三かな」

「小六から・・・どんな小学生だよ・・・」

みんな弱かったなぁ・・・


「それじゃあそろそろ帰ろうかね」

「炎。乗れよ」

「・・いや。俺は夕日眺めながら歩いて帰るよ」

「そうか・・・じゃな」

「あぁ、また」

さてと・・・って

「ルル。お前も残ったのか?」

「うん。私も夕日を見たくて」

「・・そっか。帰ろうぜ」

「うん!」


「それにしても綺麗な夕日だな」

「そ、そだね」

絶景だ

「・・・ね、ねぇ龍」

「ん?」

「こ、こっち向いて」

「何?」

チュッ

「・・!?」

「・・・・・」

「い、今、な、何した!?」

「・・・キス・・・」

「・・・・・」

「・・いやだった?」

「・・・別にいやじゃない・・・」

・・・なんだこの感情・・・

なんか久しぶりな・・・

「龍」

「な、何?」

「・・・・・」

人を呼んどきながら無言・・・

「スゥー・・ふぅ・・・」

深呼吸って・・・

・・表情が変わった

いつもの明るい表情に・・・

「大好きだよっ!龍♪」

「!!」

ドクン、ドクン、ドクン・・・

な、何だ!?これ・・・

この気持ち・・・


・・・この笑顔を・・・

俺は・・・・知ってる・・・・?


第十一章 終

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