異世界になにもない状態で放り出されて、最初に待つのはお金の調達である
この異世界に降り立って一時間、主人公(笑)こと桜井健斗は安定した収入を得るためにまずギルドに加入することを目標に、カーナビを頼りに最初の街へと向かっていた。そんな我らが主人公は………
「つかれた・・・」
(いくらなんでも疲れるのが早すぎませんか?)
ご覧の通り、早速疲れ果てていた
まあ、原因は分かっているのですが、教えたところで今はどうしようもないので黙ってておきます
「いくらなんでも体力が尽き果てるのが早すぎる……、流石に帰宅部生活はまずかったか」
あ、これは私だけの原因ではなかったようですね。そいえばケントは運動部にも所属せず、帰ってもひたすらゲームとアニメ、もしくは寝てばっかりの人でしたからね。ちなみに勉強はテスト1週間前にやるわいいものの、結局周りの誘惑に負けて結果は中間ぐらいの順位になる人なのです
「なんとかならないのか?カミサマ」
(いや、あなたの運動不足が原因なのに力を貸すと思いますか?)
ケントには自力で強くなってもらうしかないですね。まあ、そのための祝福なんですけどね
さて、そろそろ私視点で話しているのも疲れてきましたね……。そろそろケントの中に戻ります
「って、あれ?今カミサマ俺の中から出なかった?」
(なんの話ですか?そしてその前にモヤシの体力をどうにかなりませんか?)
「クッソ……、事実だから否定できねえ……」
疲れて倒れたときに自分の中から何かが抜け落ちた感覚があったが、少ししたらスポっと、その抜け落ちた何かかがまた入ってきた。例えるならジ○ンガだ。積み立てられた木の棒の長くなりから一本だけ抜いてまた上に積み重ねていくゲームなのだが、さっきは抜いた棒をまた入れ直したイメージだ
とりあえず、自分を鍛え直すことはいいとしといて………。これ、日没前に村か街のどちらかに到着できるのか?
「カーナビ、あとどのくらいでつく?」
(あと少しです。もうすぐ見えてくるのではないですか?モヤシさん)
とうとう名前を呼ばなくなったのは気にしないで、疲れきった体に鞭を入れ、気合いで起きる(転生してから半日もたっていません)
(まあ、流石にここで死んでもらっては困るので多少の援助はしますよ)
「お、助かる」
カミサマがよく分からない言葉を呟くと同時に、体の疲労が取れ、力が湧いてくるのを感じる。それと同時に若干の気だるさを感じるのが、不思議だが
「カミサマ……、なんで元気になると同時に気だるさが来るのですか?」
(それはあなたの魔力を消費してバフをかけましたし)
「……ちなみに、俺の魔力ってどのくらいありますか?」
(わりと大量にありますよ?ただ、慣れてないから体がまだ戸惑っているのです)
あー、なるほど
元気になると同時に気だるさが襲ってくるという初めての感覚を不思議に思うけど、その前に魔力はたくさんあるのかー。これは俺が大魔法師の才能があるのでは?
(ないです)
「……デスヨネー」
世の中そんなに甘くなかった。
カミサマに聞いた話だと、魔力の保持量と魔法を使えるという才能は別物らしい。某勇者ゲームで例えるなら、下級魔法は割りと高威力で放てるけど、中級以上の魔法は使えない(しかも、どんなに頑張っても最高級レベル程度しか威力が上がらない)。
まぁ、そんだけ使えれば問題ないだろう
そんなこんなで、軽くなった体で走っていくと…
(村ですね)
「村だな」
以下にもゲームに出てきそうな典型的な村が見えてくる
今日は彼処を拠点とし、この世界の情報を集めていきたい
村の前まで着いたのはいいけど、俺この世界の通貨持ってないけどどうしよう……?