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ひふみトリオ / 時は過ぎ去り

 そこからは、部活に入っていない正一と源二のいつもの行動に三波がくっつくようになった。帰りによるところも、ファミレス、古本屋、レンタルビデオ店などに加えて、服屋やアクセサリーショップ、ゲームセンターなど、バリエーションが増えていった。

 源二のお調子は相変わらずだ。しかし、ちょくちょく三波のフォローが入るようになってからと言うもの、正一から突っ込みの一撃をもらう回数は明らかに減っていた。

「これで今度のテストは成績アップしてるに違いねえ!」と意気込んでいた実力テストでは、今まで通り完膚なきまでに叩きのめされてヘコむ始末になったのだが。

 三波は気立ての優しい人で、いつも二人のフォローに回っていた。そのくせ、学校のことや、自分が「やりたい」と決めたことにはとことん集中して、逆に二人にお世話になることもしばしばだった。

 修学旅行の班決めの時なんか、基本的に班=同じ宿泊部屋となるため、男女混合は禁止されているのだが、長い間三波が「二人と一緒の班になる!」と言って聞かず、問題になりかけたほどだ。

 その時は正一が機転を利かせて「別班になって、一緒のスケジュールにすれば問題はない」と説き伏せたことで、なんとか収まった。

 正一は当初、このひふみトリオにあまり乗り気ではなかった。

 なんでかと言われると、それは前話参照の通りだ。何のことはない。興味がなかった。

 源二と一緒にいるのは、波長が合うからであって、三波もそうであると限らない以上、トリオとして一緒に行動することに、意味を見出だせなかったのだ。

 しかし、そんな彼も変わっていった。三波のことを知るうちに、波長が合うと感じるときがあった。一緒に行動していくうちに、これも悪くないと、思ってきた。

 いつしかトリオでいることが当然であると考えるほどに、正一もこの空間が好きになっていた。


 そうして、三人がかけがえのない時間を過ごしていく内、あの時が訪れる。

 三人の耳に、「あの噂」が入ってくるときが。

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