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修正・四

「よし、あいつらからは離れれたな」

 教室のある三階へと続く階段の踊り場の手すりに荷物を預けながら、源二は手を放して壁にもたれ掛かった。

「なんか、ごめんな」

 正一は自分の耳を疑った。

 源二の口から、信じられない言葉が漏れたからだ。

「原因を作ったのは俺だ。あそこでやらせるべきじゃなかった。すまん」

 いつもやりたい放題やっている源二が、自分の犯したことで謝ることなんて、ここ最近一度もなかった。

 そんな源二が謝るということは、源二も責任を感じて......。

「ただ」

 ......ん?

「あそこであれはないわ。ただでさえ目につくってわかるんだからさっさとやんなきゃそりゃ目立つし、やりすぎは重いし、相手のこと考えてないし、それに」

「もうやめろ!」

 謝罪から一変。マシンガンのように打ち出されるダメ出しの言葉に、正一は死ぬ寸前で待ったをかけた。今や正一の精神は、風穴だらけになっている。

「やめますよ~」

 両手を上に伸ばしてあくびをしながら、何の緊張もなくそう言った。気が済んだ、のだろうか。

「んじゃ、いこうぜ」

 待機状態から起動し、階段に片足をかけながら、源二は促してきた。

 胸に雲が渦巻くのを感じながらも、正一は源二に従った。

「考えすぎねえ方がいい」

「へ?」

 ボソッと呟かれた言葉を、正一は聞き返す。

「考えすぎてたら、自分も相手もやりにくいだけだ」

「......」

 返事こそしなかったが、正一の耳はしっかり源二の言葉を咀嚼していた。足は上へと進んでゆく。

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