表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/34

修正・三

 気づくと、顔に汗が吹き出すのがわかった。

 顔だけじゃない。背中や体のそこかしこから、嫌に冷たい汗が流れる感覚が伝わってきた。

「じゃ、じゃあね」

 三波は顔を伏せて走り去ってしまった。

 追おうとしたが、足が動かなかった。張り付いて剥がれないとでも言うように。

 意識が落ち着いてくると、周りからの声がだんだんと耳に入ってきた。

「何だったのあれ?」「嫌がらせ?」「あれ転校生だろ」「何やってんだよあいつ」

 次々に、四方八方から言葉が刺さった。

 異が破裂しそうになってくる。

 胃液が逆流してきそうな感覚に襲われる。

 だめだ。こらえろ!

 必死に我慢していた正一の視界に、ふっと何かが映りこんだ。

「いった!」

 映りこんだそれは、認識を凌駕する勢いで視界の全てを奪った。

 一瞬頭が真っ白になった。後ろに倒れそうになったところを踏ん張って視界を元に戻すと、拳をこちらに向けて静止している源二がそこに佇んでいた。

 正一が文句を言おうとすると、すかさず早歩きで近づき、今度は痛々しい音が響くくらいの勢いで頭にげんこつを食らわせた。

「いてえっつってんだ! なんだ! なんのつもりだ!」

 負けじと正一が大声をあげると、源二は腕をつかんで歩き出した。

「ここでこれ以上いてもお前の変な噂がたつだけだ。はやく逃げるぞ」

「......」

 源氏の目は、至って真剣だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ