哀れな男 絵仏師良秀…②
夢灯
「あっしは、低い身でして、学がない。
ですから、言葉のあやってもんがありやす。ご了承くだせぇ。」
そういうと、夢灯はまた話し始めた…
絵仏師良秀…②
中は寒々しく…何も無い。
ただ、男は目の前にいる娘に悶々としながら畳の上に座っている。
娘は小さな声で男と話し始めた…
どのぐらいたったであろうか。
明るかった外は暗くなり、月が趣深く輝いている。
男はただ無心に娘の身体を舐めまわすように見ていた。
娘は小さな声で訪ねた…
「私を覚えて下さっていたのですか。」
男は答えた。
「我、1度たりとも忘れず」
娘は微笑みながら
「私は貴方を迎えに参ったのです。」
男は月に照らされた、娘の顔を眺めながら
「我、…共に…」
娘は嘲笑ぎみに笑い
「いいえ、迎えに来るのは、貴方の過去でございます。」
男は、なんのことかわからなかった。
娘は不思議がっている男を見て腹が立ったのか男の顔をハサミで切ろうとした。
これには男も慌てて屋敷の中で逃げ回り…
人、1人が入れる箱に逃げ込んだ。
それを確認した娘は……
鬼の様な笑みを浮かべながら
箱に火をつけた…
箱から哀れな鳴き声となにかが燃える音。
しばらくすると1段と大きな鳴き声が聞こえ、異臭を放ち始めた………
翌朝、墓地の住職がある墓の前で黒焦げになった何かを見つけた。
その話はたちまち広がり…
「有名な絵仏師が子の墓場で見つかったと言うが…これいかに…」
「それとも、子のたたりだろうか…」
「やはり、天才は違う…」
などなど、良秀の絵はますます称賛されたそうな。
なんと哀れな男よ。
死ぬその間際まで…
自分の妻の顔を忘れるなど……
この哀れな男の名は
「良秀」
そう、宇治拾遺物語で有名な
「絵仏師良秀」
である。
ヒヒヒ…女ってぇのはしたたかで…
怖いねぇ…
人間ってのは、殆どが死ぬことで評価されたり…
死んだ事で美化されたりするもんでぇ…
まぁ…人間単体にやぁ…価値はねぇこった…
それはともかく…
哀れな男にゃ…ふさわしい末路ってぇもんだ。
まぁ、仮に、あっしが死ぬ時はもっとひでぇ末路だろうがねぇ…ヒヒッ
ゲホッゲホッ…
まぁ、今回はこのあたりでお開きにしましょうや…
また、おあいしやしょうね…
さて、この話が本当かを確かめる術はもうなし。
読んで下さりありがとうございます…
聞き手
「おい、語り屋…お前…キャラ…崩壊してるぞ。口調定まってないぞ。」
夢灯
「ヘヘッ馬鹿なもんで許してくだせぇな…」
聞き手
「お前の話なんざ聞きたかねーが、つぎの話も用意してろよ。」
夢灯
「ヘヘッ…もちろん。あっしの生きがいはこれだけでさぁ…」
良かったら、次回も見に来てくださいね!
夢灯
「よろしゅうおねげぇします。」