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黒鬼-くろおに-   作者: 106
16/19

『黒木の行方』

「…出て来た」

ヴェルファイアの車内、後部座席でタブレットを眺める尾川は呆れた様子で呟いた。

「今度は?」

問いかけるフレッドも同様に呆れ顔だ。

「セン北から中山方面」

「またか…」

かれこれ二時間近く、この調子だった。

「どうなってる?東山田から中山方面に、行って、戻って、行って、戻って、また行って……、クロキのヤツ何してんだ?」


グリーンラインは基本的に地下鉄だが、センター北駅、センター南駅、川和町駅の周辺では線路が地上に出てくる。


フレッドはケータイを確認した。

「あぁ、もう…、チバちゃんから怒りのメール多数…。なぁ、オガワァ…、GPSさぁ…」

「……これ、バレてますね」

尾川が溜め息混じりに呟いた途端、運転席のフレッドは後部座席を振り返り大声を上げた。

「ほーらー!!だから言っただろ!!やっぱバレてたんだって!!」

「いや、本当ならバレるはずはないんすけど…、この様子だとバレてるかな…って」

「だぁからバレてんだろ!?もう、そう言えよチバちゃん達にさぁ!二人も、ずっと行ったり来たりしてんだぜ!?」

尾川は縮こまり、首を横に振った。

「俺、無理。フレッドが言ってくださいよ」

「俺も嫌だよ!チバちゃんがどんなにキレるか…!」

言葉を遮るようにフレッドの手の中のケータイが鳴った。

着信画面を見ると『チバちゃん♪』と表示されている。

フレッドは尾川の方を見た。タブレットのみに視線を注ぎ、無関係を装っている。

フレッドは恐る恐る通話ボタンを押して、ケータイを耳に近づけた。


『……黒木は?』


「あのぉ、そのことなんだけどぉ……、どうもGPSのこと…クロキくんにバレちゃっ…」

『はあ"あ"ぁっ!!?』

フレッドは即座にケータイを耳元から離した。

『いつからですか!?』

「え…っと…、いつだろ?ねぇ、いつかな、オガワくん!」

フレッドは通話をスピーカーに切り替えて尾川に向けた。

「えっ!?」

尾川は目を見開いて飛び上がった。

『いつからバレてたんですか!?いつバレてるって気づいたんですか!?』

「あ…、いや…、俺は…、そう!俺は今、気づいたとこ!フレッドは最初から気づいてたっぽいけど」

「はぁ!?おい!オガワ、てめぇ…!」

フレッドは凄い剣幕で後部座席の方へ身を乗り出した。

『オマリーさん』

千羽が低く呼び掛けると、フレッドは縮こまりながら運転席に戻った。

「はい…」

フレッドがうなだれながら小さく返事をすると、電話のスピーカーから漏れる溢れんばかりの怒りを抑えた千羽の声が車内に響いた。

『黒木はどこですか?』

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