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ごみ問題

作者: 宮本司

「もー。また、渡辺さんね。『燃えないゴミの日は木曜日だ』ってこの前教えたばかりなのに」

 山田(主婦、45歳)はマンションのゴミ置き場に自分のゴミ袋を置くと、代わりに空き缶がいっぱいに入った不燃ごみの袋を手に取り、隣の部屋の渡辺家へと向かった。渡辺家は2週間前このマンションへ越してきた、父親と高校生の娘の2人家族だ。

ピンポーン。

「はい」

 娘の声がインターフォンに応答した。

「渡辺さん。隣の山田ですけど、今日燃えないゴミ出したでしょ?今日は燃えるゴミの日ですよ。『燃えないゴミは燃えないゴミの日』に出してください」

 山田がインターフォンに向かってまくしたてていると、高校生の娘が申し訳なさそうな顔をしてドアを開けた。

「すみません。引っ越したばかりでよくわからなくて」

 山田はぶっきらぼうに不燃ごみの袋を娘につき返すと「今度から気をつけてくださいね」と言い残し、自分の部屋へと帰ろうとした。

 しかし、予想外にも娘に引き止められた。

「山田さん。すみません。ゴミの出し方のことでもうひとつ教えてほしいんですけど」

そういうと、娘は部屋の中に山田を招き入れた。

「これなんですけど、何のごみの日に出せばいいですか?『生ゴミの日』ですかそれとも『粗大ゴミの日』ですか?」

 娘が指さした先には、全身メッタ刺しにされた父親の死体があった。

「昨日成績のことで怒られて包丁で刺しちゃったんですけど、死体の処理のことまで考えてなくて……」

ふぅー。

 山田は大きくため息をついた。最近の子は何にもわかっていないのだから。

そして山田は答えた。

「父は 『父の日』に出すに決まっているでしょう」


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