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12ページ目

大分間を空けてしまいました……。深く反省します。


-ウィルステラレタ-




それがココの名前らしい。

この砂漠とやらに出来た“オアシス”という水が湧いたところからを中心に“ジャングル”というものが出来、オアシスの周辺に“集落”をつくった、と《エメルナ》が教えてくれた。




ココの“ニンゲン”はオアシスから水を引いてその水を使って生きているという。

“水を使って”というのがどういうことかはよく分からないがおそらくは飲むということなのだろう。

水無くては生き物は生きていけないからな。私は何故か平気だが。




またこの“家”というものがある。これはなかなか興味深い。

なんでもその一つひとつにそれぞれの縄張りというか陣地のようなものを示しているようで、勝手に入ると如何に同じ生物の同じ仲間であろうと許さないらしい。




どうしてそんなことを、と私が《エメルナ》に聞くと《エメルナ》は『だって中には食糧とか貴重品とか人に見られたくないものとかあるもの、勝手に取られたら困るでしょ?』と教えてくれた。




まぁ、とにかく勝手に入るのはいけないことなのは分かった。一言言って“許可”を貰えば入っても問題は無いらしい。




それにこの家というもの、なかなかに色んな用途に使える。


例えば先程のように自分の物や食糧を蓄える場所として使うことも出来れば、雨風や日照りから身を守ってくれる。


さらには自分の陣地内なので敵の心配などせずに寝ることも出来る。

もしも敵が現れても身を隠すのに使うのもうってつけだ。




また家にも種類というものがあり、木で造ったものと“土”で造ったものの二つがココにある。

しかもその二つはオアシスの周りは土の家が、ジャングル近くでは木の家がありハッキリとした区切りがあるように見える。




どうしてこのように二分されているのかを《エメルナ》に聞いてみるとそれぞれの家は近くにある物を材料にして造ったからであるという。

外に木の家があることで“熱帯”であるウィルステラレタの集落全体に風が通しやすくて助かっている、と。




ふむ。

よく分からない。




======




『ここが町長の家よ』




そうして私が案内された“町長の家”とやらは果たしてオアシスの上に浮かぶ家であった。




『……言っておくけど“町長の家”っていう名前じゃないからね?』




ん?どういうことだ?




『今はいいわ。中には入りましょう』




そうして《エメルナ》は《ダイナナ》と共に町長の家のある大きな穴から入っていった。

あとで教えてもらったがこの穴は“玄関”というものらしい。

それにしてもこの町長の家……何かに似ている。




『どうしたの?入らないの?』




しばらくすると中から《エメルナ》に呼ばれ、慌てて私は中へと入った。




「ーーーーーーーー?」


『はい、そうです町長』




中に入ると《ダイナナ》と何やら小さい生き物が話をしているところだった。




『この方がウィルステラレタの町長、《ガーネッタ》様よ』




《エメルナ》がそう教えてくれた。

すると《ガーネッタサマ(・・)》は私の方へ顔を向けた。




その時私は胸に強い衝撃を受けた。

何故かは分からない。でもこの感じは前も私はした気がする。




「ーーーーーーーー?」




《ガーネッタサマ(・・)》が何やら私に話し掛けていた。しかし言葉が分からないのでそれが何を意味するかは知らない。




『町長、その者は心を読む(まじな)いが使えます。話すならばそちらで』


『おぉ、そうか。すまんすまん』




すると私の頭にまた別の誰かの声が響いた。




『いやはや、長らく生きていた人生でよもや心を読む呪い師と出会えるとは思っておらんかったからのう』




その声に合わせるように《ガーネッタサマ(・・)》顔を上下に揺らした。




『ワシがココの町長である《ガーネッタ》だ。よろし……どうした?』




? 何がだ?




『ノ、《ノルウェー》!?』




《エメルナ》も何故か大きな声を私に響かせてくる。一体どうしたというのだ?




『おぬし……泣いておるぞ?』




え?




そう指摘され、私は自身の顔の目の部分に手を当ててみるとほんのり柔らかい熱のようなものが手に付いた気がした。




涙だった。




おかしい。確か涙は苦しい時や痛い時に出すものであり、今は苦しくもなければ痛くも無いというのに。

私はそのまま《ガーネッタサマ(・・)》を見た。

そして私はすぐに何故自分が泣いているのか分かった。




《ガーネッタサマ(・・)》の姿は全身の色が土と同じでところどころに木のような模様があり、そして体が小さい。

私は以前これと同じ状態の生き物を知っている。




あの消えた森で出会ったあの生き物とその子、《ヌシ》だ。

あの生き物も、《ヌシ》もあの時こんな風になっていた。




ということはもちろん《ガーネッタサマ(・・)》ももうすぐ………。




その先のものが出てくることもなく、私は代わりにその想いを《ガーネッタサマ(・・)》の両の手を強く握ることで表した。

泣きながら。




『……………………』


『……………………』


『……………………』




誰も何も言ってこなかった。




======




《ガーネッタサマ(・・)》は別に今すぐ死ぬということは無いらしい。

確かに見た目は年老い、弱々しく枯れ木のような身体をしているがしかし、その生命力は並のものではないものを感じる。




私の勘違いに《ガーネッタサマ(・・)》は大きな声を出し、《ダイナナ》と《エメルナ》は顔の色を少し変えていた。




ちなみに《ガーネッタサマ(・・)》の“サマ”は別に名前ではなく自分より偉い相手や尊敬する相手に付けるものらしい。

よって町長の名前は《ガーネッタ》と私は知った。




そのことに《エメルナ》は深く息を吐いて頭に手をつけ、《ガーネッタ》はまた大きな声を出して手を叩いた。




後で聞くと《ガーネッタ》がしていることは“笑う”という行為らしい。




は、は、は、は、は。




ふむ。

よく分からない。




======




『さて、《ノルウェー》よ』




《ガーネッタ》は鋭い目で私を見る。




『まずお前の居住の件であるが…これは認めよう。お前のウィルステラレタの居住はこのウィルステラレタの町長《ガーネッタ》がオアシスの神の元に保証しよう』




…………………?




『つまりここにいていいってことよ』




《エメルナ》が教えてくれた。

あぁ、そういうことか。




『ただここにいるには三つの条件を守ってもらう』




“条件”?何だそれは?




『まず一つ目』




と、《ガーネッタ》は“条件”とは一体どういう意味かは教えずに話を進めた。

まぁいい。後で《エメルナ》に教えてもらうとしよう。




『まずお前がここに住む間はお前は《ダイ》の預かりとなる。故にお前には《ダイ》の仕事を手伝ってもらうこととす』




“仕事”?何だそれは?




『二つ目』




また説明無く《ガーネッタ》は話を進める。




『《ノルウェー》、お前には毎日我々と共にオアシスの神への“水祷の儀”に参加してもらう』




“水祷の儀”?




『三つ目』




………………………………………………………………………。




『町長…宜しいですか?』




《ダイナナ》が何やら町長の耳辺りに顔を近づけ、話し掛けている。




『むっ!?……記憶が無いとは聞いていたがよもや言語の意味まで分からないというのか?それは厄介だのう……』




《ガーネッタ》の顔が大きく変わる。




『はい。なのでおそらく《ノルウェー》には町長が言った今の言語の半分も理解出来ていないと思われます』


『そうか……それはすまないことをした。すまぬ《ノルウェー》よ。この通りだ』




と、何故か《ガーネッタ》は私に頭の上を見せてきた。

なので撫で──。




『撫でるな』




「ガシッ」と《ダイナナ》に手を掴まれた。

…なんだか怖いので止めることにする。




『怖いのはあなたの方よ…。《ノルウェー》』







『フォッフォッフォ………。ともかく先の二つは後で二人のどちらかに聞きなさい。三つ目』




と、《ガーネッタ》は笑い、そして言った。




『この町に居る間…《ノルウェー》おぬしのその心を読む(まじな)いは我らだけの秘密とする』




………?




『つまり私達以外にこの心を読む、というかあなたは声を頭に響かせてると言っていたわね?とにかくそれをしないでほしいということよ』




と、《エメルナ》が教えてくれた。

なるほど、そういうことか。




………。




………………………。




え?



次は2/17投稿予定です。マジでゴメンなさい。

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