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アイリス大賞4

 そして、部屋に案内されてカバンは扉近くの床に降ろされる。

 寮の部屋と似たような、女子にしてはあっさりとした、物の少ない部屋。

 ただ、リヴィールが帰って来るからか、花が花瓶に飾られていた。

「リヴィール様、いえ、今は違いましたね」

 えっ、今…何を言われた?

「あの、今何て言いましたか、よく聞こえなくて…」

 まさか、知ってる?知られている?

 心臓がどきどきしている。

「ああ、ご心配なく、リヴィール様からは伺っておりますので、貴方が男性であることは知っております」

 えっ?え、え?どういうこと?

「あの、執事さんそれっていったい…?」

「私は執事ですが、ちょっと特殊な執事なのです。

 ちなみにリヴ様とお呼びしてよろしいのでしょうか」

「あ…それはリヴィールとの区別でそう呼んでいるだけで俺の名前じゃあないんだ」

「なるほど、では本当の名前はどんなですか?

 お聞きしても?」

「ああ、俺の名前…なんだったかな…。

 思い出せなくて分からないんだ。

 だから、リヴでいいや」

 うん、思い出せないのは確かだから、まぁ慣れた名前だしなぁ…。

「なるほど…、分かりました。リヴ様」

 分かったというように、銀の髪が揺れてちかりと光った。

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