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転生したら美少女騎士で百合ハーレムにいた。  作者: 碧月 紅
第三章 騎士戦前夜祭
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 アイリーンとリーズにリヴィーが簡単に負けるのは許さないとばかりに特訓だと、朝練に昼練に夕練と、毎日くたくたになるまで身体を動かしていた日々も漸く終り、騎士戦の前夜祭だからと特訓が休みになった。

「で、前夜祭って何?」

食堂で食後の紅茶を飲みながら目の前に座るアイリーンに訊ねる。

「そうですわね、一種のお祭だと思えばよろしいのですわ。

 後で一緒に回ってみますか?」

 いや、だからそれでは説明になってないんですが──アイリーンさん。

「お祭の一種って、もっと細かく頼む」

 やれやれと言った顔で持っていたティーカップを机に置いて、俺の顔をじっと見つめる。

「お菓子の出店とか、武器の出店とかありますわね。

 街から業者や店が出張してますの。

 生徒有志での店もいくつかありますわ、そうね──魔術師のちょっとした小物や何かもありますわ、人気のあるのが通称【ホレ薬】の砂糖菓子とかね」

「ちょっと待てよ、ホレ薬ってヤバくないのか?」

 くすくすとティーカップを持ち上げてアイリーンが笑う。

「所詮は学生の作ったものですからね、効果も短時間だし、効力も好感度をちょっと上げる程度の物ですわ」

 ああ、恋のお守りみたいなもんかな、と納得してこくこくと頷く。

「それに、もどかしい関係にちょっと後押し──みたいな?」

 くすりと笑んだままで、俺を見るその目がちょっと怪しい光を帯びる。

「もどかしいって何だよそれ」

「手を繋ぐくらいの関係からキスにとか?」

 綺麗な緑の瞳が近づいて来て、その瞳に見惚れていると、目の前僅かな場所にアイリーンの顔があった。

「ね、リヴィーにそれを使ってみても構わなくて?」

 目の前で綺麗に微笑んで軽くウインクされて、心臓がドキンと跳ねた。

「えっ、えええええっ?」

 驚く俺を面白そうに目を細めて見つめるアイリーン、どう返せばいいのかと考えていると、耳に軽いリップノイズが聞こえて頬にキスされてしまった。

「いや、アイリーン、身体はリヴィーのだけど──ちょ、アイリーン?」

 そう、身体だけがリヴィーのものだと知ってるはずのアイリーンが、頬に軽くだけどキス?

 何で、何で俺に?

「私、リヴィーはもちろんですけど、リヴの事も嫌いじゃありませんのよ?」

 くすくすと面白そうに言いながら椅子に座りなおすアイリーン。

 俺だけか、俺だけがドッキドキなのかよっ。

 からかわれてる気分で、はぁーっと長い息を吐く。

「リヴは私が好きではありませんの?」

「いや、そんな事は──」

 無い、と言いそうになって、なら好きなのかと問われると困る。

 まで知り合って一週間かそこらで、特訓に夢中でそんな事考えた事もなかった。

「ふふっ、いいですわ。

 とりあえずお茶を飲み終わったら、あちこち見て回りましょうね。

 ちょうどリーズは忙しくて姿を見せませんから、二人っきりで」

 二人っきりで、と言われてちょっとドキドキしつつ、紅茶の残りを飲み干したが──味はちっともしなかった。



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