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第90話 ★色竜族長の加護




 晩御飯を食べ終わったところで、再びシゲ爺が口を開く。

 今回は昨日みたいに途中で退席するわけにもいかないようだ。


「さて、先ほどお前たちを屋敷に住まわせると言ったが、その前に、ちとしておくことがあってのう」


 髭を撫でながらそう言ったシゲ爺。


「しておくこと?」


「うむ。今回集まってもらった族長たちも、1週間後には元の竜の里に帰るのでな。それまでにお主たちに加護を掛てやろうと思ったのじゃ」


「加護? 加護か………すごくありがたいけど、本当にいいの?」


 僕にはすでに紫竜の加護と赤竜の加護。あと魔王の加護がかかっている。

 これ以上加護を貰ってもいいのだろうか。

 多いに越したことは無いんだろうけどさ



「構わん。加護なんて大層なことを言っておるが、気休め程度の効果しかないからのう」


 あ、そうなんだ。

 でも、塵も積もれば山となる。計8色の加護を取り入れたら、僕はどうなってしまうのだろう。

 それはもう気休めとは言えないレベルになるんじゃない?

 加護を取り入れすぎて爆発しちゃったりはしない? 大丈夫?


「では、ワシからお主たちに加護を与える。緑竜の加護。効果は“疲労耐性”じゃ。疲れにくくなるといっても不眠症になるというわけではないから、安心しなさい。むしろ深く眠れるわい」


 僕とルスカの頭にポンと手を乗せるシゲ爺。

 すると、体の中にさわやかな………何か特別な力が入り込んでくる不思議な感覚があった


 魔王の加護を受け入れた時と同じだ


「それじゃ、オレからもやろう。オレからは“熱変動耐性”を、エルフの嬢ちゃんにやろう。受け取ってくれ。」


 赤竜族長のジンからはすでに加護を受けていたので、ジンはファンちゃんに加護を掛けた。

 おそらく、僕の時と同じようにシゲ爺もすでにファンちゃんに加護を掛けていたのだろう


 ギュッとルスカの服の裾を握り締めたファンちゃんも、ジンの大きな手を頭の上にポンとのせられ、加護を受け入れていた。

 おお、すごいじゃないか! 友達になったルスカとだんだん慣れてきた僕以外でも、逃げ出すことなく受け入れているんだから!



「あ、あの………」


 絞り出すようなファンちゃんの声


「む?」


 ジンはそれに反応してファンちゃんの方を向くと、ファンちゃんは両手にちいさな拳骨当メリケンと指ぬきグロープが握られていた


「これ、ありがとう………ございました。大切に、使ってます」


 なるほど、ジンの屋敷で見た拳骨当(小)の設計図はシゲ爺のじゃなくてファンちゃん用だったのか

 それのお礼だったんだ。

 ファンちゃんはえらいよ。ちゃんとお礼が言えるんだから。


 アルンやリノンとは大違いだね。



「ふむ。大きくなったらまた新しい武器でも作ってやるからな。それまで大事に使うのだぞ。」

「は、はい!」


 最後にファンちゃんの頭をポンポンと撫でて、ジンは元の位置に戻った。



「ワタシからはオマエたちに『身体硬化』をあげるぞ! 身体がだいぶ頑丈になるはずなのだ! 鉄鉱石竜(メタルドラゴン)なんか目じゃないくらい硬くなるのだ! 感謝するんだぞ!」


 橙竜族長のアシュリーも橙竜の加護として『身体硬化』を貰った。

 ああ、加護と言っても『耐性』ばかりではないのか


 しかし、身体硬化は本当にありがたい加護だ。なにせ僕の骨はブーストを使うだけでよく折れるから。

 しかし、あの鉄鉱石竜(メタルドラゴン)よりも固くなるとは信じがたい。

 これは………盛ってると思ってよさそうだ。



「俺様からはちょっと他の連中とは一風変わったもんをやるZE☆ “電撃魔法スタンマジック”だ」


「はぁ!?」


 ニルドからは魔法を貰うことになった。

 “黄竜の加護”は耐性ではなく、魔法を授けるのか。

 それはかなり驚いた


「いやー、俺様初めて加護を与えるZE☆ ああ、電撃魔法といっても、所詮は加護で付与する程度だからNA! 黄竜の竜魔法“雷魔法(サンダーマジック)”と比べると、ビリッと来るくらいしかできないと思うZE☆ 燃費もかなり悪いはずDA」


 ああ、さすがに新しい魔法の属性を貰うといっても、他の属性に比べて落ちてしまうのはしょうがない事だ。

 それでも新たな魔法形態だ。ありがたく使わせてもらおう。


 僕とルスカの頭に優しく手を乗せて、すこしビリッとしたと思ったらニルドが手を離した。

 加護の付与が完了したのだろう。僕たちの頭から手を離すと、ニルドはファンちゃんに向き直ってひざを折り、眼を合わせる。


「ひぅ………」


 一瞬だけ怯んだものの、ファンちゃんはニルドとは何度か会ったことがあったらしい。

 ニルドは放浪癖があるので、数か月に一度はシゲ爺に現状報告をしてるんだと。

 だから意外と接点は多いってさ。


 ポンとファンちゃんの頭に手を乗せると、ニルドは口元をω←こんなふうにして優しくファンちゃんの頭を撫でながら


「ファンちゃんも大きくなったNA! 将来は美人さんになるZE! 今のうちに俺様と婚約を結んでおかないk―――」

「ロリコンですかあなたはーッ!」


 スパコーン! とフィアル先生に黄色の頭をひっぱたかれたニルドは、しょぼんと元の場所に戻った。

 まったくもうっ! と腕を組んで怒るフィアル先生。嫉妬ですか?


「フィアルさん、族長をひっぱたくとは、なかなかあなたもやりますね………」


 ぬっとあらわれたのは、藍竜族長。アドミラさんだ。

 若干、ニルドを見て「いい気味だ」とほくそ笑んでいたような気がする

 アドミラさんはニルドが嫌いなのかな?


「さて、ボクからも加護を授けましょう。“毒物耐性”です。大抵の毒はこの加護の前に無力になるでしょう。安心してください。薬になる成分は適量を残して分解されます」


「あの………」

「なんです?」

「これ、すっごく役に立ちました。コレがなかったら、僕もルスカも………キラやマイケルやミミロだって死んでいたかもしれない。本当にありがとう」


 僕がそう言って差し出したのは、藍竜族長の髪の毛である。

 これは赤竜の里に居る時に、ジンが護身用にと僕に渡してくれたものだ。


 コレがなかったら、僕は鉄鉱石竜(メタルドラゴン)に食べられていたかもしれないし、魔界に連れ去られていたかもしれない。

 だから、いつかこのお礼だけはしないといけないと思ってたんだ


「ああ、ジンさんに渡しておいた髪の毛ですか。その程度でよかったら、気にしなくてもいいですよ」

「それでも、ありがとう」

「ふふっ、魔王の子と聞いていましたが、存外いい子でびっくりしました。リオルさん。貴方にはコレも差し上げましょう。」



 そう言ってアドミラが僕に手渡してくれたのは、ちょっと分厚いけど、手帳だ。

 表紙には堂々と『毒の心得』と書いてある。


「“毒の心得”。この手帳には毒のすべてが書かれています。毒は時として薬にもなりますし、魔物を狩るときに痺れ薬を使うときもあります。その調合方法や、咄嗟の時に使える薬草や、毒草など、ボクが200年の時間を掛けて記した貴重な手帳です。コレもいつか、あなたの役に立つ時が来るかもしれませんね」


「え、でも、こんな貴重なものを貰う訳には………」

「いいんですよ。ボクは全部覚えていますし、スペアはありますから。ボクが貴方に差し上げたいのです。受け取ってください」



 そう言って、僕の頭にポンと手を乗せる。

 見れば見る程、綺麗な顔立ちだ。


 女性と間違われてしまうのも仕方がないほどに。

 スッと通った鼻。二重で大きな目。長いまつげ。柔らかそうな頬。ぷっくりした唇。

 すべてが中性的で、本当に男なのか不安になる。

 見ていると、顔が近くて自然とドキドキしてしまうほどに。



 手を離すと、今度はルスカとファンちゃんに加護を与え、自分の居た席に戻った



「次は私だな。」


 その次にゼニスが立ち上がり、僕の前に立つ。


「む、そういえばリオル達に加護を与えていなかったような」

「ちゃんと貰ってるよ! 時間にルーズすぎて忘れてるの!?」


 この紫ドリルのおねーさんは!

 長生きしすぎてボケてしまったのだろうかと疑わしくなるぞ


「ふはは、冗談だ。いくら魔眼使いで竜魔法を使えぬと言っても、紫竜の族長なのだ。加護を与えるくらいは造作もない。リオル達に掛けられた加護もしっかりと“視える”しな。安心しろ」


「むぅ………」


 どうやら踊らされたようだ。

 ゼニスはポンと僕の頭を撫でた後、ファンちゃんの方へと向かい、頭に手を乗せる。


「リオルとルスカは私にとって大事な子供なのだ。仲良くしてやってくれ。お前たちの様子を見たら、あまり心配はいらんと思うがな。」

「は、はい」

「紫竜の加護は“気圧変動耐性”だ。高所でも苦しくなくなるぞ。」


 ゼニスはちょっと茶目っ気があるだけの、子供思いの、僕たちのお母さんだった。

 ああもう、そう優しいから大好きなんだよ、ゼニス!


「うふふ、最後はわたしね♪」



 ゼニスがファンちゃんに加護を掛け終えると、最後に水色の髪のおねーさんが色っぽく歩いてきた。


 歩くたびにポインと揺れる。

 なにがとは言わない。どうせわかるだろ。それだよ。


「こんにちは」

「ええ、今からあなたたちに加護を与えるわ。受け取ってちょうだい。わたしはあなたにちょっとした恩もあるみたいだしね。加護をあげるのもやぶさかではないわぁ♪」


「恩? 僕、何かしたっけ?」


 いきなり恩があると言われても、何のことかわからなくて首を捻る。

 しかし思いつかない、なにしたっけ?



「うふふ、ジンと一緒に蛇剣ソードウィップを作ってくれたんでしょう? そのお礼よぅ。」

「ああ、あの蛇腹剣! うん、僕もあれを作るのに魔法の練習になったから、お互い様だよ」

「わたしも刺突剣レイピアよりもこっちの方が性に合っているみたいで、助かるわぁ♪」


 そっか。そうだった。あの蛇剣は青竜族長のサンディさんの武器だった。

 作るのに夢中でちょっと忘れてた。


「うふふ、それじゃあ、加護をあげるわね♪」


 サンディも俺の頭に手を乗せて、体にサラサラとしたオーラのようなものが入ってくる。


「青竜の加護は“水中耐性”よぉ♪ 水中でも息が長く持つし、水圧にもある程度耐えられるわぁ。便利でしょ♪」



 終始ニコニコと色っぽい笑みを浮かべるサンディさん。

 頭に乗っけた手を滑らせて、僕の頬を指でなぞり、最後に顎を人差し指でスッと撫でると、そこでようやく手を離した。


 なんだその撫で方。色っぽくて、なんかエロくてドキドキした!


「むー!」


 と思ったらルスカが僕の手を握って存在を主張してきた。

 大丈夫。僕はルスカが一番大好きなのはかわらないよ。


 目でそう訴えたら、コクリと頷いてにへっと笑顔になった。


「ここまで加護を重ね掛けすれば、大抵のことでは死なんじゃろう。これで心置きなくお前たちを鍛えることができそうじゃ。」



 最後の締めに、シゲ爺がそう締めくくった。


 え、鍛えるって? やっぱりシゲ爺が?



「「「「「「 …………。 」」」」」」


 急に押し黙る族長たちにも、不穏なものを感じる


「うゅ? なんでみんなおしゃべりしないの?」



 そんなルスカの声だけが、食堂に響いた。



(シゲ爺のスパルタ教育の始まりか。マイケルたちはともかく、リオ坊とルスカ嬢が死ななければいいんだがな)

(もうあんな修行はしたくないのだ! それで強くなったと言ってもやっぱりしたくないのだ!)

(俺様も一度は通った道。はたしてリオル達は生きてこの館から出られるのか………不安だZE☆)

(魔王の子や神子とはいえ、まだ子供よぅ。竜族であるわたしたちですらシゲ爺のスパルタ教育はもうこりごりだと言うのに、大丈夫かしらぁ)

(ボクは藍竜こそが最強の竜だと思っていますが、シゲ爺にだけは勝てる気が全くしません! リオルさん、ルスカさん、どうか頑張ってくださいね。ボクは応援するくらいしかできません!)

(懐かしいが、さすがの私もシゲ爺のスパルタ教育は二度と受けたくないものだ。強く生きるのだぞ。)



 本当に、不穏なものを感じる!!



あとがきちゃん


 おはにちばんわ。

 最近リハビリで描きはじめた小説が思いのほか筆が進んで、ようやく小説を楽しく書くコツを思い出せた作者だよ。



 今回はイラストを乗っけるよ!



 橙竜族長 アシュリーちゃんです!


挿絵(By みてみん)


 画像クリックでおまけがあるタイプの奴です



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