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第79話 ★いくじなしなあたしは

まえがき


 前回のあらすじ

 双子がやらかした→アルンをおしりぺんぺん→アルンM覚醒(ヘブン状態)←いまここ



 アルンが覚醒してから、しばらく投稿してなかったのにお気に入り登録件数と評価が馬鹿みたいに上がって笑いました。では本編をどうぞ。

 あとがきにシゲ爺のイラストを乗せてあります。


            ☆ ファンSIDE ★




 ここは居心地がいい。

 エルフの隠れ里から離れた大森林の奥地。


 濃い魔素と霊気の集まる聖域。


 祈りをささげて精霊の降霊を行う場所。


 居心地のいい場所と同時に、ここはトラウマの場所だ。



 そんな場所に立ち寄ることはもう二度とない。

 そう認識した時点で、これが夢であることに気付いた。



              ☆



 夢だと認識した世界の中で映るのは、過去のトラウマ。

 無知なあたしに対する、残酷な現実だ。



 祭壇の奥に、あたしの祈りに降霊された、上位精霊のイフリート。

 契約をするように言い渡されるも、幼いあたしは、その祭事のすべてを覚えていられるほど賢くもなかった。

 イフリートは実体を持たず、炎と霊体を融合したかのような半透明の炎を出して、その周囲で陽炎が揺らめいている



―――お前は我と契約を望むか



『けいやく? けいやくってなに?』



―――サラマンダーではなく、イフリートである我と契約を望むとは珍しい者だ



『しらないよ? おとーさんとおかーさんがここにこいって』



 降霊できただけで無邪気にも舞い上がり、他のすべてが頭からすっぽ抜けていた。

 もしかしたら、ダークエルフであるあたしに対する当て付けで祭事の詳しい手順を教わっていなかっただけかもしれないけれど、そんなに昔の事を詳しく覚えていられるわけがないため、今となってはもう何もわからないことだ。



――― よく見れば、貴様は古代種ではないか。久方ぶりに珍しいものを見た。


『こだいしゅ? しらない、しらないそんなの!』



――― ふむ。知らないか。だろうな。まだ世の中を知らぬのも仕方のない事だ。



『ねえ、おじさんは、けいやく? っていうのをしてくれるの? そしたら、みんなやさしくしてくれる? もういじめない?』



 幼くても、肌の色で迫害の対象になっている事には気づいていた。

 露骨に無視されたり、里の子供に石を投げられたり、かと思ったら、別の人はあたしの長い耳をハイエルフだと言って称えていた。

 どうしたら普通になるのか、わからなかった。


 ただ、お母さんと、お父さんと一緒に、普通に暮らしたかったのに。


 お父さんとお母さんは、ここで上位精霊のイフリートと契約ができれば、ハイエルフと認められると言っていた気がする。


 通常は10歳くらいになったら一人の名もなき下位精霊との精霊契約を行うのだ。


 かつて勇者と共に戦った古代長耳族ハイエルフの姫君は、上位精霊である火精イフリート・水精ウンディーネ・土精ノーム・風精シルフの四精霊との契約を果たし、その力で勇者ニルドを大きく助けたと伝えられていた。


 だから、四つの精霊との契約とはいかないまでも、上位精霊との契約を果たせないようであれば、あたしをハイエルフだと認めることは出来ないという、そういう結論に至ったのだろう


 でも、当時は契約と言っても、なにをすればいいのか全くわからなかった。



――― ああ。お前が望むなら。我を呼びたければ祈り、歌え。我を使いたければ舞え。さすれば我はお前の友だ。



『おうたをうたうの? あたしはおうたをうたうのすきだよ!』



――― ならば我と契約した暁には、この唄と踊りを其方に授けよう。




 その瞬間。イフリートの身体が揺らぎ、その姿が見えなくなると同時に、暴力的な熱量があたしの身体を襲った。

 イフリートがあたしと同化しようとしたのだ。


『いやあああああああああああああああああああああああ!!!』


 地獄の灼熱があたしの身体を焼く。



 その激痛に耐えられず、悲鳴を叫ぶ

 それは肌を焼くこともなく、その内側の肉や内臓をすべて溶かすほどの熱。


 だが、実際に焼かれたわけでもなく、ただ、あたしがそういう風に認識してしまっていたんだ


 灼熱の激痛があたしの魂をも焼き尽くさんと暴威を振るうと同時に、一つの唄と、二つの舞の情報が頭の中に―――いや、魂に刻まれていくのを感じた




――― さあ、早く“古代歌唱エンシェントリリック”『契約の唄』を唄うのだ!



『えんしぇんと? しらない、そんなのしらない! いや、いやあああああああああああああ!!』



――― !!? 唄を知らぬままここに来たのか! なんたることを! すまん娘よ! このままではお前の魂が焼け死んでしまう! 魔力をすべて解放するのだ!



『やだやだこわいよ、あついよ! うわああああああああああああああ!!!』



 何もわからず、激痛にさいなまれたあたしはパニックを起こし、正常な判断をできなくなっていた。


 イフリートの言っていることも、ほとんど理解できず、怖くなって、ただただ大声で泣き叫んだ



――― 仕方あるまい、我がお前の魔力をすべて放出してことを収める。唄を学んでからまたここに来い。その時こそ、契約してやる



 声が聞こえた直後



――― ぐう、幼子とはいえ、なんたる魔力! このままでは聖域が………!



 私の魔力が強制的にすべて炎の精霊に抜き取られ、私の魔力を燃料にイフリートが暴走、および爆発。



 聖域は粉々に破壊され、後に残ったのは、魔力枯渇で気絶したあたしと、あたしの全身に残る火傷の痕だった。




 森の一部を焼きつくし、大事な聖域を使い物にならなくしてしまったあたしは、火傷の醜さも相まって里に連れ戻された後、殺されることになった。



 あたしの親も、それに同意した。



 それも、積極的に。




 怖くなったあたしは、逃げるように里を出て行った。


 醜い醜い火傷の痕

 災厄と呼ばれるダークエルフの褐色の肌


 精霊にも嫌われ、エルフにも嫌われ


 すべての人に嫌われると思った

 あたしの住むべき世界ではないと思った



 どうすればいいのか、もうなにもわからなかった



 人の憎悪に触れた。


 何を信じたらいいのかわからなかった。



 だれか、助けてよ、あたしだけの―――





……………

………





 夢はいつの間にか、森の中から真っ暗な空間へと変わった。



 ここには何もない。



 一人の場所だ。


 誰も



 いない



 寂しくても、戻ることもできない。



 振り返っても、そこに森は無く、真っ暗な空間が広がる



『さみしいよぉ………』



 ぽつりと呟く声も、暗闇に溶けて消える


 ここには何もないし、誰もいない。

 だから、声に応えてくれる人なんか、いないんだ。



 なのに。



『大丈夫。一人じゃないよ』




 声が、聞こえた。



『僕は君の事をもっと知りたいんだ。いっぱいおはなししようよ!』



 声の方を向くと、一人の少年が手を差し伸べていた。



 少年の髪は闇を溶かし込んだかのように黒く、背中には漆黒の翼を持った少年。


 あなたは、誰?


 それは魔王の子。


 暗闇の世界の中で、その少年の場所に光がさした



『にへへー♪ ルーたちがいるの!』



 少年の隣には、飛び切りの笑顔を浮かべた少女が同じく手を差し伸べていた。



 少女の髪は、けがれを知らぬような白。背中には純白の翼を持った少女。


 あなたは、誰?


 それは神子。



 彼らはあたしを安心させるように、優しい笑みを浮かべて手を差し伸べてあたしを待っていた。


 あたしは伸ばされた手を取ろうとしても、最後の勇気が湧かない。



 そんないくじなしのあたしを、二人は嫌な顔一つせずに待ってくれた。


 あたしは、おそるおそる二人の手に触れると


『よく頑張ったね。さあ、一緒に遊ぼう!』



 陽だまりのような笑みを浮かべ、あたしの手を引っ張ってどこか遠く、ポカポカと暖かく、明るい世界へと連れ出してくれた






                     ☆





 目が覚めた。


 なぜだかいつもより気持ちよく、すっきりと目が覚めた。



「………。」



 夢を、見ていた気がする。

 どんな夢だったか、もう思い出せないや。


 体を起こすと、違和感を覚えた。



 うわぁ、すごい汗かいてた。たぶん、いい夢じゃなかったのかもしれない。

 でも、そしたらなんで気持ちよく目が覚めたんだろう?


 それに、なんであたしはパジャマで寝ていないのだろう。



 ああ、そうか。あたしはあの後―――



「――――っ!!?」



 あの後、どうなったの!?


 リオルって子とルスカって子があたしの部屋に入ってきて、何も言わず、ずっとあたしの手を握っててくれた




 その後の記憶がない



 そのまま寝てしまったのかしら



「………。」



 わるいこと、しちゃったなぁ。


 あとで謝らないと………。




 でも………


「話しかけるのは、恥ずかしいよぉ」




 枕に顔を押し付け、くぐもった声を出した



 どうしても、自分から話しかけることに抵抗がある。


 おじいちゃんは『友達になってもらうのではなく、自分から友達に誘え』と言っていた。

 『やられる前にやれ』と。



 だけど、やっぱり恥ずかしいし、勇気を出そうと思っても、自分の包帯や火傷の痕、肌の色を思い出すと、途端にその勇気もしぼんでしまうのだ



「………。それでも、礼節だけはちゃんとしないといけないわね」



 いつもおじいちゃんが口を酸っぱくして言っていることだ


 “ありがとう”と“ごめんなさい”を言えない者に、武術を習う資格なしと。



 ちゃんと、謝らないと、寝てしまったことを………

 話しかけて来たのに、何も返せなかったことを。



 ちゃんと、お礼を言わないと。お布団まで運んでもらったことを。

 あたしに、話しかけてくれたことを。



「………。」



 そして、寝てしまう前に見た男の子の顔を思い出して、顔が熱くなるのを感じた



 あたしの手を握って、あたしが怖がっても安心するように。

 不安に思う必要はないと、ただ一言。言って、やさしく手を握ってくれた



 彼と一緒にあたしの左手を握ってくれた女の子を思い出して、心が温かくなるのを感じた


 怖がってなんかないと。自分たちは味方だと言っているようだった。



 それがたまらなくうれしかったことを覚えている。



 恥ずかしがってちゃダメだ。ちゃんとお礼を言わないとっ!



「よーし!」


 あたしはベッドから飛び降りて、服を着替える。



 さっきまで来ていたのはしわになっちゃったし、かわいい恰好にしなくちゃ!

 でも、かわいい恰好ってどんなのだろう?



 できるだけ肌が出ないようにしたいけど………




 と思い至ったところで、部屋に備え付けられた鏡が目に入る。


 そこに移るのは、醜い火傷痕。

 それを隠す包帯。


「………。」


 やっぱり、この火傷の痕が醜いから、こんなあたしが近づいたら、迷惑だよね………


 うぅ………いくじなし………






……………

………





 やっぱり、いつも通りローブを羽織って行くことにした。

 ローブの下は、動きやすい運動着を来た。


 火傷の痕を隠す包帯を付け替え、頭をすっぽりとフードでおおい、顔の包帯も隠すように俯く

 そのまま屋敷から出て、庭に出ると



「おじいちゃん」

「む? ほっほ。よく眠れたようじゃの。」



 緑色の着物を着て庭先で巻き藁に向かって拳を突きだしているおじいちゃんに声を掛ける。

 道場をほとんど師範代に任せているとはいえ、おじいちゃんはまだまだ現役だ。


 今もホラ、流れるような動作でゆっくりと拳を突きだしただけなのに、巻き藁が粉々に砕け散った。

 爆散というか、粉だよ、粉。どれだけ繊細な技量を持って巻き藁を突けば、巻き藁が粉になるんだろう。


 おじいちゃんは巻き藁を破壊した後、こちらに視線を向けると、構えを解いて髭を撫でながらあたしのほうに歩いてきた




「………うん。あの子たちは………?」


「まだ寝ておるよ。」



 昨日のお礼と謝罪をするためにあの子たちの事を尋ねると、そういう回答を貰った

 そっか。そうよね。まだ薄暗いし、あたしみたいにみんながみんな早朝に修行しているわけでもないもの。

 ちょっと慌てすぎちゃった。



「………。」


「朝稽古の時間まで、ワシが型を見てやろう。構えなさい。」


 おじいちゃんに催促され、指ぬきグローブを装着し、その上にポケットから取り出した拳骨当メリケンを取り出し、右手に嵌める。


 指ぬきグローブはあたしの手を痛めないための措置だ。

 よく知らないけれど、強い魔物の素材で作られているらしい


 拳骨当メリケンは魔素を多く含んで変質した“鉄”である“魔鉄”で作られていて、あたしが思った通りの威力を発揮して、それでいて手に反動が少ない。


 護身用とはいえ、今までこれを使った経験がない。

 おじいちゃんも、命の危険が無い限り拳骨当メリケンは使うなと言っていた。


 だからといって、使わないまま腐らせておくよりは使って体に馴染ませて、いざというときの為にいつでも使えるようにしないといけない。


「ふぅー………………っ」



 力を抜いて息を吐き出し、リラックス。

 拳を構えて、どの筋肉をどう動かして拳を打ち出すかをイメージ。



「ハァッ!!」



 拳を突きだす。



 まだ6歳の身体から突きだされる突きは、あまりにも遅く、あまりにも荒く、あまりにも隙だらけであった


 イメージ通りとはお世辞にも言えない。



 長耳族エルフは魔力の扱いは長けていても、筋力はさほど強くない傾向にある


 打ち出した拳に力が乗っていないのは、仕方がない事といえた




(でも………)



 おじいちゃんから習ったことは、そういうことではない。



 ドスッと拳が巻き藁に、文字通り突き刺さった(・・・・・・)


「ん………!」



 そして、巻き藁に“魔闘気”を押し流すと


――― ミシミシミシィ!!


 巻き藁は音を立てて上下二つに割れた



「………はぁ、はぁ………」




 拳を突きだし、魔闘気を押し流すまでに極限まで集中していたからか、その一動作だけで息が乱れる



「ふむ。昨日よりも上達しておるのぅ。これをもっと上達させれば、相手を内部から破壊する拳が完成じゃな。先ほどワシがやったように、爆散させるには、族長レベルの技量が必要じゃ。先は長いぞ。」


「はい。がんばるわ」


 あたしは、力は無いけれど、魔力の扱いなら上手い。

 力が無くても、魔力や魔闘気で波や振動を作ったりして相手の内部に攻撃する術を持てば、巻き藁程度であればこの細腕でも破壊することができるようになる



 もちろん、危険な技であるため、おじいちゃんとの約束で内部破壊の技は人に使わない。

 人に対してはまだ有効な攻撃力に達していないというのもあるけどね。



 おじいちゃんに型の細かい修正をしてもらいながら200回。今度は魔力を使わずに拳を突きだす。


 それが終わった後、おじいちゃんの攻撃をいなすだけの合気柔術の組手を行い


 空もだいぶ明るくなってきた頃には道場に人が集まり出したため、おじいちゃんとの朝稽古は終わり、あたしとおじいちゃんは朝食を食べに食堂へと向かった。




            ☆




 軽めの朝食を済ませ、給仕のメイドさんにお礼を言おうと思ったのだけど、やはり話しかけるのは恥ずかしいし、あたしが良く思われていないことはあたし自身がよく知っている。


 そそくさと離れるメイドさんは気付いていないかもしれないけれど、ぺこりと頭を下げた


 コミュ障が直るまで時間がかかりそうだと、おじいちゃんは苦笑いだ。

 それでも、これが今のあたしのせいいっぱい。



 昨日だって、せっかく部屋に来て話しかけてくれた男の子と女の子に、一言も返すことができなかった



 もう一度、合いたい。会ってお礼を言いたい。

 けれど、やっぱり、どこだで人と話すことを拒否している自分がいる。


 いじめられるのではないか、火傷の痕を見て、嫌な顔をするのではないか


 そういった負の感情が心の中を埋め尽くす

 そんな時だ



「今日、ワシはバカ弟子共と大事な話し合いがある。」


「………?」



 おじいちゃんに話しかけられて顔をあげると、少し心配そうにあたしを見下ろした


「つまり、今日はこれ以上修行も見てやれなければ、一緒に居てやることもできん」


「………っ!」


 トドメを刺された



 今日は、おじいちゃんは用事であたしの相手をしてくれない


 それに、人見知りなあたしは、他の人に交じって武術の修行ができるほど器用じゃない

 なにより、この肌を見せてしまったら、どんな人であれ嫌な顔をするのは明白だ


 アルンとリノンの二人がいい例だ。

 あの二人は、あたしを見てそうそう、悪口を言ってきた


 おじいちゃんと一緒に居ることができないとわかると、気分が落ちて俯いてしまう

 醜いあたしは、誰と仲良くなることも敵わないのだから。



「じゃから、リオルたちと遊んで来い」


「は!? ちょっとおじいちゃん! なんでそんなことに」


 顔を上げると、おじいちゃんはどこかあたしを憐れむような視線を向け


「じゃあファンは今日どうやって過ごす? また一人ぼっちで泉で過ごすのかの?」

「ぅ………」


 そう言った。


 人と話すのは怖い。

 こわい、けど

 一人も嫌だ


 でも、昨日あたしの手を握っててくれたあの子達なら?


 ………。



「仲良くなれそう、なのじゃろう?」


「………。うん」


「大丈夫じゃ。古代種どうし、なにか惹かれるものもあるじゃろう。あまり気負わないように、リラックスして話しかけなさい………といっても、それができたら苦労はせんか」


 古代種………そっか。そうよね。


 突然変異的に産まれることのある魂に古代の因子を持つ者。

 色竜カラーズドラゴンにも、亜種と呼ばれる特異な色を持つドラゴンが居る。

 昨日、料理を作ってくれた紅色の髪のおねーさんがそうだ。それが古代種らしい


 あたしも、『古代長耳族ハイエルフ』の因子を持っている。


 おじいちゃん曰く、その強固な魂には記憶が刻まれているそうだ。

 前世の記憶、もしくは知識。


 たしかにあたしは、誰に教わったわけでもないのに、二つの唄を覚えている。

 もっともっと小さい頃から、ずっとずっと、一人で歌って寂しさを紛らわせていた

 そのおかげで、あたしは歌うことが好きになった。


 だからといって、それをいまさら人に聞かせる勇気もないけどね。

 ………恥ずかしいし。


 おじいちゃんによると、魔王の子も神子も古代種である、らしい。

 でも、古代種なんて言葉は誰も知らないし、そもそもその古代種っていうのは、世界中を探しても数人しかいないだろうとのこと。


 あっちは魔王の子………。男の子だ。

 女の子の友達すらいないのに、ちゃんと友達になれるのかしら。


「時間をかけてもよい。だが、待っているだけでは友達は作れんことを覚えておきなさい。いつまでも声を掛けることもできないようならば、いつかこの屋敷を出ていくときに、その日に野垂れ死ぬ事になるのう」


「………っ」



 たしかに、そうだ。

 いまはおじいちゃんに甘えているけれど、本来ならば、あたしは2年前に死んでいる。


 死んでいるんだ。


 今生かしてもらっているのはおじいちゃんのおかげ。

 一人で生きる力が付いたら、出て行かないといけない。


 おじいちゃんだって、慈善事業でこんなことしていない。


 おじいちゃんがあたしを保護しているのだって、あたしが“古代種”だからだ。


 そうじゃなかったら、養子になんかしないし、どこぞの孤児院にでも突きだしているだろう。


 今あたしが生きているのは、運が良かっただけだ。

 ただ、それだけだ。


 その事実を突き付けられた


 ならば生きるための力をつけなければならない


 強さは確かに必要だろう。

 魔物は襲って来るし、人さらいだっている。盗賊だってごまんといるんだ。


 だけど、それだけじゃ生きていけない


 強さだけじゃない。

 力がいる。

 それは権力でも財力でも、とにかく力がいる。


 そのためには………


 やはり、コミュ力がいる



「………話しかけるのは恥ずかしいし、こわい。でも………。」


「………。」



 ぽつりぽつりと呟くあたしの眼を見て、おじいちゃんは真剣に聞いてくれる



「………あたしに、できるかしら」

「ほっほっほ。まずはやってみんことには何も始まらんじゃろうて。」



 そう言ってあたしの頭を撫でつけ、おじいちゃんは食堂から出た


 その背中には、『あとは自分でなんとかしろ』と書かれているようで、これ以上の駄々はなにも認めてはくれそうになかった






                  ☆



 結局、朝食を食べに来たあの子たちに声を掛けようとしても、あとちょっと勇気が足りなくて声を掛けることができず、迷っている間にあの子たちは先にお祭りへ向かってしまった



 うぅ………いくじなし


あとがきちゃんちゃんこ


 おはにちばんわ、作者です


 前回の話でアルンにおしりぺんぺんしてM覚醒したらお気に入り登録が増えるし減らないってどういうこと?

 幼女におしりぺんぺんしたら読む人が増える?

 幼女におしりぺんぺんしたら読まない人が減る?

 はっ!(疑いの目線)


 ㌔㍉………


 ゴホン。


 さあ、みんな大好きイラストスペース!

 幼女が大好きなあなたたちの為に、用意した画像だよ!


 とくとご覧あれ!!!






挿絵(By みてみん)




 え? 幼女の話をして爺さんの画像?


 あっ やめてっ 物をっ 投げないでッ!



 画像クリックでいつもの割とどうでもいいおまけが見れるよ!



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