連絡
苦闘の果てに、接触感染で人から人へ渡り歩く、宇宙より飛来した吸血生命体を倒した。今、そいつは男の目の前で液体の状態になっている。
データでは完全に水と同じとの事。しかし一度触れれば奴は自分に憑依し、再生してしまう。どのようなコーティングの上からでもだ。
注意しなければならない。彼は暗い箱の中で四方の壁から押される様に立ち尽くしてそれを睨んだ。
結局の所、一体こいつは何なのだろう。詳細は一切知らされぬまま生き延びたのは自分一人。
夏のコンテナの中。完全な密室。狭くて今以上はそいつからは距離を取れない。更に完全に中に閉じ込められてしまった。
だがもう少ししたら救援の連中が外に出してくれるだろう。
……暑い。
喉も乾いている。必死に耐えて来たが、もう限界だ。
その時携帯が鳴った。
『救援が遅れる』
との通知。
……嫌な予感。過去に自分は今のような通知をし、隊員を一人見殺しにした事がある。
今回はそれではないのか。可能性は高い。
落胆した途端に足が滑った。水に触れる。
悲鳴。
ちまちまと書いていたものをこちらにもアップしようという事で載せました。『ショートショート、ホラーやSFで』というテーマで一時期挑戦していたものです。私が怖いなと思うものがテーマなので、好みが極端に分かれるかと。また考えて書きたいと思います。