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僕ができること。  作者: 野村 慶秀
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シュークリーム食べませんか?

開けっ放しの窓から暖かい風がカーテンを揺らして部屋に入ってくる。

そんな風に前髪を揺らされて、僕は目覚める。

携帯で時間を確認すると、もう10時だった。

けれども、布団の心地よさから逃れられず、二度寝を試みるが、母の声に起こされる。


(ゆう)!今日は委員会があるんでしょう?

そろそろ起きなさい。」


母にそう言われて、今日の予定を思い出す。

今日は11時から総務委員会の活動がある。

遅刻すれば、先輩たちに何か言われそうだ。

布団の心地よさに別れを告げて、僕は支度し始めた。

五分後、リビングで朝食を済ませ、家を飛び出した。


僕の通う長浜高校はどこにでも、あるような普通高校だ。他と違う点があるとすれば、中高一貫教育を行っていることぐらいだ。


20分程自転車を走らせて、ケーキ屋さんに寄る。

顔見知りの店員さんに、いつも買っているものを注文する。


「こんにちは、シュークリームを8個ください。」

「こんにちは、960円になります。いつもありがとう。お得意様だから、今日は一つおまけするよ。」


20代くらいの女性の店員さんに、960円を渡して、シュークリーム9個を受け取り、おじぎをして、再び自転車を走らせる。


更に20分程自転車を走らせ、長浜高校に到着する。

数年前に建て直したばかりで、校舎はとても新しい。

昇降口で靴を履き替え、2階にある生徒会室へ向かう。総務委員会の主な活動場所は生徒会室で、会議などもここで行っている。


時刻は10時50分とにかく、遅刻はしなかった、と安心してドアを開く。

メンバー全員が揃っていて、僕の方を見ている。遅刻してないのに、遅刻した気分になるのはなぜだろうか?

委員長の竹田さんが口を開く。

「おっそーーーーーい!皆揃ってるのに、なんで、君はなかなか来ないの?集合時間前でも、皆を待たせたんだよ?何か言うことがあるでしょう?」


予想していた事態になった。予想していたため、すかさず先程購入したシュークリームを取り出す。


「シュークリーム買って来たので、食べませんか?」


この一言で先ほどまで、睨みつけていた総務委員会(同級生を含む)は目を輝かせた。

竹田さんはというと、


「さっすが優君!愛してるよ~」


相変わらず、何とも調子の良い委員会だった。




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