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A quirk of fate  作者: klow
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第6話  階級審査君たちはOOだ!!

今日は朝から三人とも横浜軍基地に来ていた。分かっていたことだが道行く人が遠慮がちにこちらを見てくる。まぁこちらと言っても主に俺の方を。


「すごいねユウヤは!道行く人がユウヤをちらちらと見てるよ。すごいなぁ有名人だねこれは。」


俺の横で一人感心しているミーナ。こう言うが俺は別に有名人なわけがない。それにその言葉どう見ても分かってて言ってるよね・・・。いやこの顔を見る限り純粋に誉めてるのか?天然は怖い。


「一体どうしたらその発想が来るんだミーナ。みんな俺をてるのは否定しないが見てるのは俺の頬だ。この思いっきり手形が付いた頬。」


そう言ってミーナの逆に位置するミツキを横目でにらむ。矛先が自分に向かってきたのが分かったのかあわてて反論しようとする。


「わ、私のせいじゃないわよ。だってユウヤが朝起きたら昨日知り合ったミーナを自分の布団に連れ込んで幸せそうに寝てるのを見たら、無意識に手が出てたんだもん。」


俺のことになると考えるよりも先に手が出るという特性はどうにかして直さないといけないようだ。それよりもその言い訳は苦しいぞ。


「何をいってんだか?なぁミーナ。」


「そっそうだよ!ただ偶然にボクの寝相が悪くて優しいユウヤが布団に入れてくれたんだよ。すごく温かくて気持ちよかったよ・・・はっ!!嘘だよ今のは。んっとね・・・そう狭かった。」


俺は頭を抱えて困惑する。


ミーナに確認を求めたのが悪かった。そんな百人中百人が下手な言い訳だと見破ることを最後にとってつけたように言われても誰も信じまい。


この場合はどうしようと横にいるミツキを見ようとしたら世界が逆転した。


俺は逆頬にも綺麗な手形を手に入れた。もうなんか侵略者(ウィード)の前にミツキに殺されそうだと思うのは俺の思い過ごしなのだろうか・・・。


少ししてミーナは違う仕事があるといって別行動をとることになった。


局長の部屋を訪れて聞いたのは今日は『階級審査』というものをするらしい。俺たちの力がどれほどなのか見るらしい。いつもならすごい乗り気になりそうなミツキはまだ拗ねていた。





  *模試訓練場*





地下五階に位置するところにやってくるとそこは広大な荒地が広がっていた。この訓練場の敷地全部をすべて使って訓練場にしたというのだ。もう言葉が出ない。


「お前らが辰之助が言ってやがった新しいパイロットか?」


「はい。そう・・・で・・す。」


最初の印象は大事にしなくちゃと思っていたが後ろを振り向くと顔に大きな傷をしたすごい強面の顔をした人が立っていて言葉は段々と小さくなってしまった。


「そうよ。私たちがあなたの言うパイロット。それよりあんたは操縦できるの?」


「こいつは偉く威勢の良い女がいるじゃねーか。おう。横浜軍基地 上級大将 石山(いしやま)言蔵(ごんぞう)だ。専門は銃機器だ。」


見た目から連想できるのを見事裏切らない名前と階級だった。というよりも上級大将って普通にやばくないか・・・。その人を相手にミツキも引けをとらずに、というよりも上から目線の言葉である。


「長ったらしい挨拶ね。私の名前は鳴海美月よ。」


「その兄という立場にいる鳴海優哉です。これからよろしくお願いします。」


俺は俺で差支えない挨拶をしてお辞儀を相手にする。いったいミツキはいつからあんな行儀の悪い子になってしまったのだろう・・・最初からか。


「かっはっはっはっはっは!!こんなに兄妹そろって違う性格たぁおもしれえな。俺のことはおやっさんって呼んでくれ。俺がまずお手本を見せるからそのあとにお前らの番な。」


高笑いをしてから俺たちの頭を乱暴に撫でて機体に乗り込むおやっさん・・・でいいのか。そしてその機体は近くにあった岩山の頂上までいき寝そべって銃を構える。


『これから訓練を開始します。シュミレーション。コード1050』


この室内全体に無機質な声が反響する。その後すぐに至る所の岩山の陰から様々な侵略者(ウィード)達が出てきた。


「うわっ!」


「大丈夫じゃよ。あれはこの部屋全体で操る光が作り出した立体的な映像じゃ。まぁ生きてるように普通に動くがの。」


横からいきなり声がしたかと思えば局長がいつの間にかにいた。局長とおやっさんは歳が近そうだったから昔からの仲なのかな。そんなことを考えているとすぐに訓練がはじめられた。


総数25体。その数を10分で沈める。すべて頭を一撃で捉えて殺す。その精密性はあの感じからは想像もできそうにない。


「ちょいっと本気をだせばこんなもんよ。どうだお前ら見よう見まねで出来るだろ?」


この人は笑顔ですごいことを言ってきやがった。見よう見まねで出来たらみんな苦労はしないだろう。と思ったがミツキがその言葉に闘争心を燃やす。


「おやっさんちょっといい?」


「おお。どうしたミツキ嬢。」


「ミツキ嬢って・・・。まぁいいわ!あんたが10分ならこっちは9分よ。見てなさい。」


「ほう。」


おやっさんはシメタと言うような笑みを浮かべてミツキの言葉に耳を傾ける。この人はもうミツキの扱いを学んでる。


いろいろと悩みは抱えているもののしょうがないので用意してあった俺の専用LFAに乗り込む。

「ミツキ。準備は大丈夫。」


『もちろんOKよ。』


その返事を聞いて行動に移る。用意された銃をつかむ。


「飛んで移動するときはこの前やった垂直に飛んだのをやりながら地上の動く動作をイメージすればいいんだよね?」


『ええ。まちがってないわ。』


よしっと気合を入れて飛び立つ。少し飛んでると慣れてしまうものだ今はもう何の弊害もなく飛べる。そうしていると下で見ていたおやっさんが待ちきれねぇと言ってきたのですぐに位置についた。


「この銃は・・・フランス製の対物狙撃中PGMへカートⅡを改良して大きさともに威力を上げたものなのか。全然わからないな。」


画面に出された銃器情報を読むがなんだかよくわからない。


『これから訓練を開始します。シュミレーション。コード1050』


先ほどと同じくアナウンスが開始の合図を告げる。次々と現れる侵略者(ウィード)達。機体の画面だけでも遠くにいる物をアップできるがスコープが付くとその精度は飛躍的アップをする。


『ズドンッ』


一発の発射。まぁ実際はそん軌道をたどってコンピューターがどこにあたったかを模索するのだが、それ以外はすべて実践同様だ。


「なんだよ。この反動!!」


『当然でしょ。もっと体を銃に寄せて反動を限りなく消すのよ。支える手にも必要な時以外は力を入れちゃダメ。落ち着いていきなさい。スコープにある十字の真ん中に来たら引き金を引けばいいだけよ。』


「わかった。」


そして集中をする。二発目も外れる。続けて撃つがどうも当たらない。


『狙った侵略者(ウィード)から目を離しちゃだめよ。次にどこに動くかを予想しながら合わせていくの』


もう一度集中をし直して標的を定める。そして行動を追って行って合わさったその瞬間に撃つ!!


『一体撃破確認』

機体の中に知らせが聞こえる。そのことにより少しの感触を自分自身掴んだのか次々と撃破していく。打ち終わったら、そのとき一番厄介な位置にいる奴をミツキが指示。その作業が続いた。


『訓練終了します』


「はぁーーーやっと終わった。もう無理だぁ。」


「最初のロスが大きかったわねその後の追い上げで挽回できればよかったんだけど・・・。15分。悔しいタイムだわ。」


終了の知らせを聞いてそのまま機体から降りて地面に寝ころぶ。ミツキもそれに続いて隣に寝ころぶ。狙撃は集中力がいる分疲れるのが半端がない。それが切れたらパイロットの存在価値もなくなってしまう。


「言うだけのことはあるじゃねーかミツキ嬢!15分じゃ大したタイムだ。初めの方は実戦だったら何回も死んでるから気ぃ抜くんじゃねーぞ。」


「そうじゃな。それよりも二人のどっちかは銃の狙撃経験があったのかの?」


少し経つとおやっさんの機体の肩に乗って局長たちがこちらに来た。おやっさんの言葉にミツキは「きー!!!」と言いながら掴みかかっている。その中局長が俺のそばに近よって静かに聞いてくる。


「そんなありませんよ。向こうではまだ学生の身分でしたからね。ミツキのサポートのおかげです。」


「ほう。じゃあ二回目の搭乗にしてこのタイムを出したというのか・・・。君たちには驚かされっぱなしじゃの。」


俺の普通の受け答えを聞いて局長の眉がクイッと持ち上がる。最後の方はやれやれといった口調でいってくる。


「それじゃあ次の審査は・・・。」


それからは日が傾くまでの時間をぶっ通しで階級審査をやり続けた。出来は上々といった雰囲気で幕を下ろした。審査の結果はすぐに判断するということで一階のロビーにて仕事が終わったミーナと三人で待っているところだ。


「ああもう!おやっさんの言葉につられて全部の種目に熱が入っちゃったじゃない。それにどれも記録抜けなかったし。くやしーーーーーい!!」


一階のロビーといっても通常の勤務の人はもう帰っており夜勤交代の人も出勤して今は身心ともに仕事に集中していてここには俺たち以外今はいないので、誰もミツキの場を選ばないテンションを咎める人もいない。


「へぇーユウヤ達はおやっさんに審査してもらってたんだ。出来はどうだったの?」


「うん。まぁ基準が分からないがからどうも言えないが今の俺的には十分の出来だったと思うよ。でも最初の二十五体想定の模試戦はいろいろ手こずっちゃってな。ミツキがいなかったらすぐにゲームオーバーだったよ。」


「ああ。二十五体っていうとシュミレーション訓練のコード1050でしょ?ふっふっふ!あれ結構僕も得意なんだよね。最高タイムは12分38秒だよ!」


すぐにその具体的な練習名を当てたミーナは誇らしげに自分のタイムを言ってくる。


「その訓練の基準タイムは?」


「えっとね去年の一般パイロットの平均タイムは23分52秒。あれって本当に生きてるように動くから一発で頭を狙うの難しいんだよ。」


「それでミーナの階級は?」


「ボクはね中佐だよ。それよりユウヤ達のタイムはどうだったの?」


「15分フラット・・・。」


俺の言葉にミーナの動きがピタッと止まる。さっきまでの笑顔も急に亀裂が走ったようだ。


「ユウヤ・・・確認したいんだけどユウヤ達って一昨日のが初陣だった気がするんだけどな?違ったけ。」


「いやあってるぞ。一昨日初陣というよりも一昨日初めてLFAに乗ったんだよ。本当にすごいよなぁ。乗ってるとすごさが身に染みてわかるよ。」


「一昨日乗ったばかりでそのタイム・・・。」


ミーナは段々とテンションが低くなってしまった。「どうしたんだ」と言っても「大丈夫ですから。」の一点張り。そうしていると俺の携帯が鳴りだす。審査の結果が出たので局長室まで来てほしいとのことだ。


「ごほっ。」


一回咳払いをしてノックをする。中から「入ってよいぞ。」とこっちの緊張感をあざ笑うかのような気の抜けた返事を聞いて扉を開く。


奥には机の奥で椅子に座っている局長とその横にどっしりと立っているおやっさんがいる。今日の結果で一体どの階級をもらえるのだろうか。まぁ最初なのだから一等兵や二等兵あたりだろうか。


「ユウヤ君。美月ちゃん。今日の訓練ごくろうじゃった。二人の成績はどれも驚くものばかりだった。その結果を踏まえ総合的にワシと言蔵で協議した結果二人にはそこにいるミーナと同じ中佐についてもらいたい。」


最初何を言われてるのか分からずに横にいるミーナとミツキを見やるが二人とも俺と同じでハトに豆鉄砲のようだ。


「いきなり中佐なんておめぇーらは前代未聞だぜ!!かっはっはっはっは。まぁ階級は実力がすべてじゃないからな。いろいろな面でもっと勉強していけばすぐにでも昇進するだろうよ。」


おやっさんの無責任な言葉を聞き流しながらも少しずつ現実に戻されていく。


「俺たちが・・・」

「私たちが・・・」

「君たちが・・・」


『中佐ぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!』


三人の驚きが軍全体にその日響き渡った。









これからもよろしくお願いします。!!

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