第4話 高校生の女の子++
「ミツキお待たせ・・・怒ってる?」
「女性をこんなに待たせるなんて良い度胸してるじゃない。」
「ごめんごめん。局長が思った通り信用できる人でさ、この家に孫がいて一緒に住まわせてくれるってよ。」
と言って、さっきもらった地図をミツキに見せる。ミツキは軽く見ただけですぐにドアの方へと歩き出してしまう。
「おい。ちゃんと見なくていいのか?」
「うるさいわね!もう覚えたから別に捨ててもいいわよ!!私は早く休みたいのよ。つべこべ言わずに着いてきなさいよ。」
「お・・おう。」
あまりの迫力に反論一つできずに食い下がる。とぼとぼとミツキの後を追うのだった。
最初言った所のようにビルは密集しておらず一定間の間をおいて連なっている。それでも都会というのには申し分ないほど高層住宅やビルがいっぱいあり、車の方も昔小さい子が思い描いていたかのような地面より少し離れて、空気に浮いたまま走っている。これにはさすがに驚いてしまった。
「ちょっと。あんまりきょろきょろしてると変な目線がくるからやめてくれない。」
ミツキがため息をつきながらこちらを見てくるが、そうやすやすとなれるものではない。それから少しすると周りにある建物より一際でかいのが見えてきた。
「ミツキ・・・あの建物はいったいなんだ。」
「あれが住む家みたいよ。」
ミツキが平然とした口調で言ってくる。周りの高層マンションと引けを取らないほどでかい家だって!!もはや開いた口がふさがらない。
「冗談よ?」
「えっ!!」
「まさか本当に騙されてたの?・・・っぷ・・馬鹿ね。あそこはこの世界でも一、二を争うといわれている超大型の病院よ。」
「笑うなよ・・・自殺するぞ!!しかし、あのでかさで病院かよ!?この世界は規格外がありすぎなんじゃねーのか。」
病院の前に着くとそこはとても掃除が行き届いているのかゴミひとつない道があり、入り口の前にはいろいろな公共交通機関が入り乱れていた。
「便利そうだけこれだけあると逆に頭が混乱しそうね。」
「ああ確かにこりゃどこが自分家に導いていくれるのかわからないな。」
しばらく唖然と立っているとすれ違う中でもひときわ可愛い女の子を発見した。しかし顔は俯いていて元気がなさそうだった。その様子に俺自身も元気が奪われてしまったかのように俯いてしまう。
「ちょっとどうしたのよユウヤ!!何があったのよ。今にも死にそうな顔をして。」
隣にいる俺に気が付きミツキが肩をつかみ必死にゆすってくる。いやあなたのこのアクションで俺は死にそうでそうよ。
「悪い悪い。あまり病院はいい思い出がないからさ。こっちまでなんか気分が落ち込んじゃうんだよ。ごめんごめん早く家に行こうか。」
「・・・そうね。じゃあ行きましょっか。」
ミツキに変な気を遣わせてしまって申し訳ないが先を急ぐことにする。それから十分後ぐらい経ってようやく目的地の家までついた。
「これでも十分にでかいよなぁ。この家に局長の孫は一人で住んでんのかよ・・・ありえない。」
よく金持ちの家などで出る大きな門を背に一人で住んでるには規格外な家があった。普通の一戸建て住宅の1.5倍ほどの大きさを誇った建物を中心に左右から普通の一戸建てサイズの大きさが合体している。
「ユウヤァ。何回インターホン押しても出ないんだけど?私の力でセキュリティ解いちゃっていいかしら。」
「なに平然と犯罪起こそうとしてるんだよ!留守だから少し待ってみよう。」
「ユウヤは小心者ね。そんぐらいの年になったら普通犯罪の一つや二つするもんでしょ?」
ミツキは俺をあざ笑うかのように言葉を投げかけてくる。といようりも犯罪どうこうの前にこんな家のセキュリティをミツキなんかが解けるわけがないだろう。
「一体どこからそんな変な常識を取ってくるんだよ。どんなに年とっても普通やっちゃだめだからね?まずミツキの力でも解くのは無理でしょ。」
門の壁に寄りかかりながら家主が帰ってこないか見ながら答えていると、『ピ・・ドウ・・認証しました。』無機質な機械音が聞こえてくる。
「おい、いったい何してんだ・・・よぉ?」
「開けちゃった!」
こちらに元気よくVサインしてくるミツキ。その笑顔が一瞬まぶしかったのはちょっとした不覚だった。そのまま中に入っていこうとするミツキをあわてて止める。
「ちょっと中はさすがにまずいって!」
「まだそんなこと言ってんの?大丈夫よ。どんな防犯がされてたって私が破ってみせるから。」
「それがまずいって言ってるんだろ。少しは学習しろよ馬鹿ミツキ。」
言葉に言葉で返したら引っ張り合って相対していた力がなくなりミツキがこちらを向いてくる。その顔は怒りをこらえているような。
「馬鹿とは何よ馬鹿とは!!せっかく私がユウヤのためにロックを解除してるのに。」
「俺のためだと思うなら今すぐその行為をやめてくれ。問題ごとはコリゴリだ。」
そこから二人の終わりのない喧嘩が始まってしまった。しかしその戦いは一人の乱入者によって終わりを向かえる。
「ちょっと君達!!ボクの家の前で何やってるの。」
いつの間にかに家主が帰ってきたようだ。まぁ誰でも質問するであろう疑問だ。だけどその質問にかなった答えを俺は知らない。
「あんたこそ行き成りどういうつもりよ。ちょっと黙っててくれる。」
ミツキは興奮しているのかこの女の子が家主だとは分かっていないようだ。俺は額に手をやり大きなため息を吐く。
「ずいぶんな自己中っぷりだね。こんな礼儀知らずな人がいるなんてこの世も末なんだね。」
ミツキの言葉に乗せられて全面戦争を仕掛けた家主。この人もミツキと変わらない性格なのかもしれない。だけどこのままだと本当に野宿になりかねないので手を差し出す。
「そこまでな。ミツキ。この人は局長のお孫さんだ。それに中学生にそんな躍起になんなくてもいいじゃないか。謝りな。」
「ユウヤがなんでそっちにつくのよ!!孫なんて関係ないわよ。」
止めに入ってもまだミツキは収まりそうになかった。俺は静かになってくれた局長の孫へと体を向かす。顔を下に向けて表情は分からないが、第一印象は素直でいい子に決定だな。
「ごめんね。あのお姉ちゃんも悪気があったわけじゃないんだよ。」
「わ・・・・こう・・。」
少女が何かを言っているのですこし屈んで耳を近づける。
「んっ?どうしたの。」
そして急に顔を上げて大きな瞳がこちらを涙目でにらんでくる。一瞬のことに俺は一歩後ずさるがまぁしょうがない。
「ボクは高校生だぁぁぁぁああああ!!!」
少女の右ストレートが俺の顔面にキレイに入った。俺は女の子の力とは思えないパンチを食らい抵抗なく意識を失った。最終的にはおれなのか・・・。
(んっこのいい匂いはなんだ?家庭的なにおいがするな。)
お腹が減っていたのか良い香りにつられて目をさます。そこは俺の家のリビングよりは断然広いがその作りと相変わらない部屋作りとなっていて俺はソファーの上に寝かされていた。
「えっじゃあ今日から君たちはボクの家で一緒に住むの?」
「まぁそういうことになるわね。さっきはあんなふうになっちゃったけどあの馬鹿ユウヤも良い奴だからよろしく頼むわ。」
「ユウヤって言うんだあの人。もしかして昨日の襲撃で噂になっていたのって二人だったの?」
キッチンからなのだろうかいい匂いとともにガールズトークがらしきものが繰り広げられていたが、場面は昨日の襲撃についての話になった。
「まぁ2体倒しただけだけどね。一体はまぐれだし。」
「そっかぁ。僕もあのロボットに乗って戦ったんだよ。一体っていうけど倒すのは難しと思うよ。昨日のは大きかったから。よし完成!!ミツキはあの人起こしてて。」
窓を見れば陽はおちて暗くなっていた。夕飯の支度ができたのだろう。ミツキの足音が近づいてくる。
「ユウヤ起きなさい。って起きてたの?なら準備とか手伝いなさいよ。」
「今起きたんだ。」
そういって体を起こすし夕飯がならべてあるテーブルに着く。そこで疑問に思ったのがさっきの少女がなぜか制服だった。多分学校のだろう。
さっきの騒動とこの状況を鑑みるに少女は自分が高校生の制服をちゃんと着こなしているところを披露したかったのだろう。
『いただきます』
食べ始めたはいいが会話がない。ミツキの方も食べるのに気を取られていて静かだ。
「えっと局長に今日からここに住んでいいって言われたんですけど大丈夫ですか?」
「・・・。」
少女は知らん顔のまま食べ続けている。さっきのことで怒っているのだろうか、無視という戦法に出てきているがその姿は拗ねた子供だ。
「あっそれって高校の制服?すごい似合ってるな。かわいいし人気の的だな。」
「・・・。」
反応を示さないが顔が真っ赤になっている。これは手応えがありだ。そう確信して勢いに乗ろうとして立ち上がろうとしたらミツキが足を思いっきり踏んづけてきた。
「いってぇ!!っとお。」
『ガシャーーーン』
その痛さに足を上げようとしたら机があるのを忘れて机にぶつかり、バランスを崩して手をついた先が皿の上にあった料理の所。その料理が汁物だったのが災いして跳ねた汁が少女の制服にドバっと・・・。
『・・・・・・・・。』
一瞬の静粛が辺りを包む。その中ごちそう様と言って食器を片づける名目を掲げてミツキが退出。
「ユウヤって言うんだよね君。」
「はい。」
「ボクは君のことが・・・大っ嫌いだぁぁぁぁああああ。」
そういって部屋を飛び出してしまった。風呂場に直行だろう。そう思ったが聞こえた音はなんか違う玄関の扉が閉まるような音。
「まじかよ・・・。あのまま外にいっちまった!天然だったのか。」
俺はそこで愕然となりながらもドアの隙間からこっちをうかがっているミツキに視線を投げかける。そうするとビクッと体を跳ね上げおびえている。
「なんであの場面で足なんか踏んだんだ?」
「だって・・・。」
ミツキは下を向くと黙ってしまった。悪気はないとわかり頭を一回ポンとたたき玄関のほうに向かう。
「ミツキ。悪いけど食器とか片付けといてくれないかな?」
「あ、うん・・・・。」
俺は返事を聞いてすぐに玄関を出た。だけどこの地形など何も知らないのに探すなんて無茶だった。ポケットに入ってる局長からもらった名刺と仮携帯を出して電話する。
1コールで出てくれた局長。さすがと言うしかない。
『もしもし。』
『おお。ユウヤ君いったいどうしたんじゃ?』
『あの、お孫さんの行きそうな場所ってご存知ないですか?』
俺の問いに局長はふ~
『何かあったようじゃな。なら近くにある霊園に行ってみるといい。そこにい『ありがとうございます。』
話の途中だったがお礼をいてきってしまった。辺りを見回すと霊園の看板があり右に曲がって300メートルと書かれていた。急いで向かおうとしたら無情にも始まりは待ってくれなかった。
『ウ~~~~ウ~~~~ウ~~~~ウ~~~~』
「えっおいこれって。」
『侵略者が第四地区から第六地区に確認されました。住民の皆さんは速やかに避難シェルターに移動してください。繰り返します・・・』
「嘘だろぉぉぉぉおおおおおおおお。」
唐突の開戦にただ嘆くことしか今の俺には出来なかった。
よろしくお願いしますoAT>>>M<