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A quirk of fate  作者: klow
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第2話  パートナーの名は

男は笑顔で消えていった。見方からすれば感動の場面なんだろうがあの男に言いたいことがある。時間を動かすと元の位置に戻ってしまうことを教えてほしかった。男と喋っていたので化物が接近しているところから少し離れたので安堵していたが、この今の状況は一体なんなんだ。


「ユウヤァァァァァアアアアアア!!!!早く逃げなさいよーーーーーー。」


女の奇声ともとれる大声。化物の悪臭が漂う荒い息。さっきまでは少し距離をとっていた化物の顔は口を開き俺を先ほどと同じく正面から狙っていて、逃げようと思うが足がプルプルと震えて直立不動になっていて何もできない。


「あ・・・あ、あの馬鹿男がぁぁぁぁあああああ!!!」


俺は吠えた。最後の一瞬だけは、あの変な誓いをさせておきながらもすぐに死に追いやるシチュエーションにした張本人に悪態をついた。


それに反応をを示したのか分からないが、いきなり化物の顔より後ろにロボットが落ちてきた。いままでの音なんか比ではなかった。しかしこの世界に来てから上から降ってくる物体が多すぎる。耳も限界が来ているのかキーンと今でも響いている。


「ユウヤ!!平気・・・・じゃなさそうね。」


「ああ。精神的に死にそうだ・・・。」


身体の部分いわく腹に勢いよく者が落下したのだ。口から血やら得体の知れない液やらが飛び出してくれるのは容易に想像がつくだろう。


俺はすでに絶命した化物の上にいるロボットへと視線を向ける。夜の暗さよりも濃厚な黒光りを放つ装甲は先ほどの紅の機体と同じくらいの美しさを引き出している。


「このロボット無人だわ。」


「えっ!!」


女の驚きの発言に俺は女の方を見やる。確かにさっきから動く様子が全くないが、パイロットがいないで勝手にロボットが降ってくるだろうか?


「もしかして・・・お前があいつの言っていたプレゼントなのか。」


『プシューーー。』


俺の言葉に反応したかのようにロボットの背中から煙がいきなり噴出した。煙がだんだんと晴れてくると何が起こったのか分かった。背中の装甲が少しずれて外され、コックピットらしきところがあるのがわかる。


「ほら無人でしょ。それよりもこのロボットなんなの?まるであんた専用の機体にしか見えないんだけど。この状況になるまで私に黙ってたわけ。」


「違う。これはこの世界の神様からのプレゼントだよ。」


「神様ぁ??」


女はあり得ないと言ったふうに聞き返してくるが無理もない話だ。


「詳しいことはまた今度話してやるよ。それよりもまたのお出ましだぜ。」


俺が指を指している方向を向くとまたもや化物。


「げっ!!なんでこんな私たちの前だけにこんなウジャウジャと・・・。最悪ね。今世紀最大の不幸よ。」


女には隠れてろと一言言っておき下におろされた梯子を使って登っていく。無事に入るとまた先ほどと同じく装甲がこの空間を覆うように元に戻っていく。


「んっ何も見えない・・・電気がなんでつかないんだ。こういうもんって自動でやってくれるんじゃないの?」


「はぁ~~バカが一人で突っ走るからこうなるのよ。あんた何も分かってないのに乗り込むなんてただの自殺行為よ。もう一度言うわよ。あんたはこの世界で私がいないとすぐに化物の餌になっちゃうわ。」


「お、お前なんでついて着てんだよ!!」


暗い空間のなかに先ほどの女の声が響く。


「言い?私達は一心同体よ。」


訳のわからない女の言葉が終わると静かに明かりが着き始めた。ほんとにアニメのような部屋だなここは。3・4メートルの空間にイスが一個前の方にあり周りは360度外の景色が見えるモニターが囲むようについており科学の高さに度肝を抜かれる。


「・・・あれ?てか女がいない。」


『何言ってんの。私はここにいるじゃない。』


「どこ?」


『ここよ。』


「ここってどこだよ!!」


『ここはここでしょうが馬鹿ユウヤ!!私は今あなたの乗ってるロボットそのものよ。』


なんつったこの女は・・・・。いまとんでもないことを言っていたような。


「ってことはあれか?よく見るアニメで言うと。ロボットを動かすにはパートナーがいて、そのパートナーは機体に乗り移って主人公とシンクロ率やら、絆やら、友情やらを気づくものか?」


『あら、意外と鋭いじゃない大方当たりと思ってもいいわよ。この世界にあるロボットは私と一緒じゃないとあなたは乗ることは出来ないわ。』


「さ、最悪だぁぁ~~~~。」


なんて言うことだ。そんな重要な人材がこんな乱暴毒舌女なんて・・・。しかし不満と共に責任感がくるのがわかる。この俺が敵にやられてしまえばこの女も死んでしまうということ。


『そっそこまで嫌がんなくてもいいじゃない・・・。』


「いや・・うん・・・悪い。そうだよな。ありがとうな。」


『///!?なっなにいきなり言ってんのよ!ばっかじゃないの。』


女の反応に少し緊張がほぐれる。そしてイスに座り上から伸びているアーム部分に手をかける。そして画面のちょうど真ん中、前方にいる化物を見据える。


「初めてで操縦がわからないんだ。サポートよろしく。」


『当然それが私の役目だもの。まずは右アームの指をかける部分に細い四角ボタンがあるわねそれがアクセルよ。ブレーキは逆。腕の動きはそんな変わりはないわ。そのアームを普通に動かせばいいのよ。だけど普通に考えて可動域が狭いからうまく調整して、そういう風にプログラミングもしてあるから。』


『旋回は右まわりをしたいときは左のアームを思いっきり右側に押し出す。逆も一緒。足は頭で考えなさいそのように動くは。』


「ちょっといいか。足が頭で考えて動くならほかの動作も平気なんじゃないのか?」


『悪くない質問ね。たしかにその通り頭の信号読み取って機体は動いてくれるわ!だけどそれじゃあそこら辺にいる二・三流よ。ユウヤはそれでいいのかしら?』


たしかにそんな簡単に操縦が出来て強かったら人間だって負けやしないか・・・。俺は女のバカにするような問いかけに無言で首を振る。


『それでこそ男ね。まぁ大抵の説明は終わったわ。私も全力でサポートするから頑張りなさいよ。』


「わかった。」


返事するとともに走り出す。音は伝わってこないが足を着く地面は一歩一歩大きく陥没していく。すぐに化物との距離はなくなる。


「武器はどこ!!」


『右手の薬指の所にある薄い板をどけて押す』


取れやすい構造になっているのか使い慣れてない薬指でもすぐに外して強くボタンを押す。


「出てこないぞ・・・。」


『そして左手のアクセル部分に位置するボタンを押すと出てくるわよ。』


「おっお前、そういうことは一気に言えぇぇぇぇえええええ!なんで溜めたんだぁぁぁあああああ!!!!!」


武器をとりだす時間はなくなり向かってった勢いのまま化物に体当たりをする。ものすごい衝撃がくるがシートベルト的なものでどうにか転げ落ちずに済んだ。


『記念すべき一撃目が体当たりなんてダサすぎるわ・・・。人類の末路が見えたわね。』


「だれの所為だ馬鹿野郎!!」


化物は結構な距離を吹っ飛んで地面には強く磨ったのか摩擦が起こった跡が色濃く残っている。化物はすぐに立ち上がり頭をまわしている。人間みたいだなおい・・・。


左手のボタンを押すと左右の足の外側から頭ニ個分ぐらいのナイフがでてくる。切れ味は半端なくよさそうだ。あっちから今度は走ってくる。口裂け女のような大きな口はつり上がっていて笑っているように見えるそして赤い瞳。じっくり見てると呑まれそうになる。


『何してるのよ!迎え撃つわよ。』


「お、おし!」


女の声によって正気に戻った。すでに攻撃範囲内に近付いてきた化物に大きく腕を振り上げてナイフを下ろそうとする。


『バカ!!動きが大きい!』


慌てた声とともに迫る鋭利な爪。反射的に身構える。その次にくる衝撃。隣のビルに飛んでいき貫通をしてようやく止まる。右わき腹の部分が痛く感じる。


『あんた戦いの最中に目を閉じるなんてありえないわ。油断したら死ぬわよ。これはあんたが知ってるようなゲームでもアニメでもないのよ!!死んだら終わりコンティニューなんてのはあるわけないのよ。』


「・・・。」


なにも言い返せない。女の言うことは当たっている・・・あの時死を感じたけどそんなに恐怖はなかった。それはまた神様が助けてくれるんじゃないかとどこかで思っていたからなのかもしれない。


『いい。目を背けたら待ってるのは死だけよ。大丈夫よ一人じゃない。』


画面には右脇腹損傷と赤い文字が点滅している。俺は先ほどとは違う覚悟をする。壁に預けていた体重を戻してゆっくりと立ち上がる。


「女援護を頼むよ。」


『女って私のこと?名前で呼びなさいよ名前で!!』


「それもそだな。名前はなんて言ううんだ?」


『これから分かると思うけど私はあんたから生まれたのよ。まぁ深く考えなくてもいいわ。あんたが私に名前をつけなさい。必然的に名字は鳴海ね!』


「ここに来たらなんか何でもありだな。」


クスッと笑い女のことを考える。女の名前イコールこの機体の名前でもあるわけか、いやそれはまた違うか。だけど結びつきがほしいな。


「・・・美月(みつき)でどうかな?ほら、この今日みたいな夜でも月は暗闇を照らしてくれたろ。この黒い機体もお前がいれば美しく輝ける。どう?」


『美月・・・。しょ、しょうがないわね!ネーミングセンスのかけらもないけどそれでいいわよ!!てか言葉がクサイのよバカじゃないの?』


「へいへい悪かったよ。じゃあミツキ準備はいいか!」


『当然よ。』


アクセルを押して両手を引く。後ろから発生する強い風に機体は浮き先ほどよりも早く進む。奥に吹っ飛んだ俺らを見ようと顔を穴に近づけている化物。ビルの壁関係なく左右からナイフを振るう。


肉を切りさく感触。ロボット越しだがその感覚は生々しいほどよく感じる。一瞬顔をしかめるがそのまま化物の方に向かう。


「ミツキ援護射撃できるか?」


『銃≪ライフル≫は確認済みよ。私の意思でなら小型ぐらいならできるわ。』


「十分!」


そう言ってすぐに化物の懐に入る。左右の爪をナイフで危なっかしく防ぎきる。いまならゼロ距離だ。


「ミツキ!!」


『言われなくても。いっけぇぇぇええええ!!!!』


ロボットの肩口から銃口がでてきて物凄い勢いで連射していく。化物を貫通して後ろのビルをも原型を無くし始めている。煙が充満している中キラッと光るもの鋭利な爪だ。


「ミツキ飛ぶには!!」


『左と右のアクセルを同時に押して。垂直に飛ぶわ!!!』


今いたところを予想道理に爪が通過する。化物ものも事切れる寸前なのかふらふらと立っているだけだった。いいかげんに死ねよ。何発直撃したと思ってんだよ。


「喰らいやがれぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!!」

『消えろぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!』


俺らの叫び声とともに化物の頭に空中からの重いGがかかった踵落とし。化物は緑の液を撒き散らしながら倒れていく。


『「ハァハァハァ」』


「終わったのか?こんな叫んだのなんて初めてだ・・・。」


『これで生きてたらもう人類は何の希望もないわね。』


イスにうなだれてミツキと会話をする。俺ってなんで普通にこんなことしてんだろう・・・適応能力高すぎだな俺。まぁ悪くないな。


≪おいそこのパイロット?無事か?≫


聞いたことのある声。考えるとすぐに思い当たったさっきの助けてくれた紅の機体のパイロットだった。助けに来てくれるならもっと早く来てほしかった。


『ユウヤ。あの機体とコンタクトをとってもいいかしら?』


「好きにしてくれ。」


ミツキに質問されるがそれがどういったものか分からないのでミツキに任せることしか出来ない。ミツキは短い返事をすると画面に同じ機体の中にいる女性の姿が映る。


≪その機体もそうだが貴公はどこの部隊だ?見たことがないのだが≫


「ええっと・・・。」


≪んっどうしたのだ?≫


女の怪訝な顔。彼女はその容姿も文句なしだがその瞳に直視されると嘘がつけない雰囲気になってしまう。だけどダメだ。ここは最善の嘘をつかなくては疑われる。


「そのですね部隊は─────────」


≪うむ。≫


「─────────────無所属です。」


目線を横に動かして俺は答える。嘘がつけなかった。それと同時にミツキの盛大の溜息が漏れたのは言うまでもない。








極秘重要ファイルNO.2


名前 鳴海 美月 (女)


主人公と同年齢?

身長 160.0 体重 45キロ


瞳 黒 髪 薄いピンク控えめにツインテールになっている。


好きなこと

優哉観察・熱血ドラマ、アニメ・スポーツ全般・とにかく動かないとだめらしい


嫌いなこと

うじうじした奴を見てると殴りたくなる・弱い者いじめ・優哉が女子といるの(本人は自覚なし)・本(活字を見てると眠くなる。)


以上

横浜軍基地 局長 笹間 辰之助

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