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A quirk of fate  作者: klow
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第1話  侵略者(ウィード)《招かれざる者》

『ウ~~~~~ウ~~~~ウ~~~』


耳をつんざくような警報音が俺を起こしたてる。雨は降っていなく辺りが暗い、どうやら眠っていたら夜になっていたようだ。


「眠っていた・・・・ちがう。俺は死んだ・・・はずじゃないのか?」


手のひらを握ったり開いたりする。どこも痛いところはなかった。あの時の光景が蘇ってくる。「俺らしくない。」一言で言ってしまえばそれしかいいようがない。


『第二次避難命令が出されました。ただちに近くの避難シェルターに避難してください。もう一度言います・・・』


何を言ってるんだ?電灯の部分に設置されたトランペットスピーカーから女性の声が聞こえてくる。何も理解はできていない。


「まずここは何処なんだ?」


俺は辺りを見回した。自分が寝てたと思われるベンチがありその前には大きな噴水がありそれを中心に周りに階段が円を描くように規則的に作られている。夜で暗いせいかさまざまなライトで照らされた噴水はあまりにも綺麗だった。


どこかの公園だろうか?しかしこんな公園は来たこともない。それも周りの景色もおかしかった。所々に大きなビルがありその周りにもちらほらと家らしきものは見えるが明かりが一つもついていなかった。


「ちょっとユウヤ。はやく避難シェルターに行ったほうがいいんじゃないの?こういうときは豪に入っては郷に従えって言うでしょ。もたもたしてる―――――――。」


『ゴォォォォォオオオオオオオ!!!!!!』


「――――――ほら来ちゃった。」


後ろからの突然の声。先ほどまで俺がいたベンチの前には、俺と同じぐらい歳の気が強そうな女がいた。てかなんで俺の名前を知ってるのか?


女は俺の方を向いてはおらずに空の方に注目している。さっきの飛行機が低空飛行をしているときに聞こえる低く重い音。一体何が来たって言うんだ。


「おい一体何がき「静かに!!」」


人さし指を口の前で立てながら俺に静止を呼びとめる。


「耳を澄ませて。地面が微弱だけど揺れてるわ、だんだんと近づいてくる。」


さっきまでの興奮状態だと気づかなかったが確かに揺れている。少ししてそれが『ピタッ』と止む。さっきまであった静けさが怖くなってくる。


視界に赤く光るものが二つ見えた。そちらを見てるとゆっくりと物体は動き出す。


「─────ッ!?」


それはビルの物陰から姿を現した。ビルの四階までの体長をしていて白い毛に覆われていて雪男を連想させる。肌の色が黒く爪が鋭利にも伸びていてそこからは人間の血であろうか、赤い液体のようなのが滴り落ちている。


どこか視点のあっていないような目。だがいきなりこちらを凝視してきて目線が交差する。赤い瞳は夜においても不気味に光り生きている生物ではないみたいだ。

「な、なぁ避難シェルターってどこにあるんだ?」


「知るわけないじゃない。男ならシャキッとしてくれないかしら。」


むっとしたが女の言うことももっともである。俺は震える足に渇を入れてその得体の知れない生きものとは逆に走り出した。そのときに不本意ではあるのだが女の腕を掴み一緒に走り出す。


「そっちはもう手遅れよ。」


女は動かずにそれと連動して俺も止まる。何を言ってるんだこの女は?しょうがないので俺一人でも行こうとしたらすぐに言った意味がわかった。


「囲まれてるのか?いつのまに・・・。」


そう。もうあの化物たちが俺ら二人を囲むようにいたのだった。


「うっう・・・。」


「逃げるのユウヤ?男なら立ち向かいなさいよ。最後のあなたがやって見せたように!」


何を無茶なことを・・・。こんな化物に対する防衛策があるなら誰か言ってほしい。ダメだ、この死亡フラグは確定してしまった。


「よしわかった。一緒に死のグッハァァァァアアアア!!!!」


「何バカなこと言ってんのよ?死にたいなら一人で死になさいよ。・・・ハァーーほらもたもたしてるから助けが来ちゃった。」


そこは溜息をする場面ではなくて喜ぶ所じゃないの?とツッコミたいが今は我慢しておく。

それよりも女の言った助けというのは360度確認しても何なのか分からない。


「何処見てるのよ?上に見えるじゃない。ちょっと集中力が足りないんじゃないの。」


「うえ??」


『ドォォゴォォォォォォオオオオオンン!!!!!』


俺が上を向こうとしたら目と鼻の先に鉄の塊が墜ちてきた。凄まじい衝撃。足をついた地面は酷く陥没してアスファルトがめくりあがっている。そのため俺も風圧で後ろに返されてベンチに頭をぶつける。


声にならない悲鳴をあげて地面を転げ回る。


《なんで避難をしていないんだ!!死にたいのか!》


「ロボットォォォ!!」


その鉄の塊から声がした。接近している化け物よりも頭二個分高い大きさ。月明かりや電灯やらで異様な光を出している紅い機体。


人間の様に足や腕がありちゃんとした二足歩行。空から降ってきた。信じられないが元の世界でアニメとして描かれている空想の乗り物。


《何を言ってるんだ?よく聞け。私が道を開くからそこから走って避難シェルターまでいけ!》


腰に携えていた剣を引き抜く。乗っているロボットとたいして変わらない大きさの剣。両方に刃がついており、そこから想像される切れ味は凄まじいものだ。


「ちょっすみません!俺達避難シェルターの場所わからな─────。」


《─────行くぞ》


その掛け声と共に背中部分から風がものすごい勢いで噴射されてまるで矢のように前方にいた化け物に向かっていく。


「なにボーっとしてるのよ!!考えるより行動でしょ。」


さっきとは逆で腕を掴まれて走り出す。鈍い音とともに化物の肩から下が地面に落ちて緑色の液体が飛び散る。見ていて気持ちが悪くなってくる。


公園から出て道路に入る。左右にビルが連なっていていつあいつらが出てくるのか分かったもんじゃない。辺りには俺と少し前を走っている女の足音と苦しい息遣いしか聞こえない。まるでこの世に二人だけが取り残されたようだ。


「これからどうするの?こうやって逃げてたらまたあの化け物達が寄って来ちゃうわよ。」


「いやシェルターの位置が分からないんだからこのまま走るしかなくない。」


「はぁ~~本当に頼りにならないわね・・・。」


さっきからこの女はなんでこんな強気なんだ。女の言い草に少しムッとして掴まれていた手を振りほどく。その行動から自然と二人は足を止める。


「さっきから何なんだよ!!お前は俺の事を何も知らないし、あーだこーだと言われる筋合いもない。文句があるならこっからは別れて逃げようじゃないか。」


「あんた頭でもいかれたの?私がいなくなったらあんた死んじゃうわよ。」


「どういう意味だよ・・・・・・。」


「この世界ではあんたは私でもあり私はあんたでもあるのよ。まぁ今はそんなことどうでもいいんだけど、要するにあんたは馬鹿だからすぐ死んじゃうってことよ。」


「この世界?あんたは何か知って『ズゥドドォォォォオオオオオ』」


『えっ・・・』


俺ら二人は短い疑問詞を発してゆっくりと後ろを振り向く。全身の血が一気にひいていくのがハッキリと分かった。横の女と目が合う。


「きゃぁぁぁあああああああああああ!!!!」

「ぎゃああああああああああああ!!!!」


無我夢中で走り出す。しかし化け物の足が一歩を踏み出した所で道を塞がれる。一歩の幅がデカすぎる。


「あっちだ!!あの細い路地に入れば、時間稼ぎぐらいにはなる。」


「分かったわ。」


指示を慌てて言うが俺はそこで膝をついてしまう。


「がっ!!ぐぁぁぁあああああ!!!!」


頭が割れるように痛い。堪らず叫び声をあげ、両手で頭を押さえ込む。駄目だ・・・耐えられない。路地に逃げ込んだ女が必死に何かを叫んでいるが耳もおかしくなったのか聞きとれない。










頭の痛さが消えた。顔をあげると目の前に化け物の顔。心臓が弱かったら多分死んでいる所だった。


頭がやっと正常に動いてきたのか辺りの変化に気付く。


「時間が止まってる?」


「──────そうだよ。僕が時間を止めた。君に話をしたくてね。」


近くにあった街灯の下に学生服を着た怪しい雰囲気を醸し出した年が変わらないぐらいの男がいた。


「単刀直入に言うと君にはこの世界の未来を変えてもらいたいんだ。これは君にしかできない。」


「俺はあの時確かに「死んだ。」」


男はうっすらとした笑みを崩さずに俺の言葉に重ねて言う。


「そう。君はあの時確かに死んだんだ。あっちの世界でわね・・・・君はパラレルワールドを信じるかい?と言っても今の君じゃあ信じるしかないと思うけど。ここまで言えば僕が言いたい事は分かるよね。ここは君が生まれた世界と並行して成り立っている世界なんだよ。」


そう。俺は確かに死んだ。だけど今こうして息も吸っているし自分の足で立っている。それに時間が止まっている不可思議な現象までもが今目の前で起こっている。信じるしかあるまい。


「でもなんで俺はこっちの世界に来てるんだ?」


「話が早くて助かるよ。今のままこれからなにが起きても現実から目を背けないでいてほしい。」


男が一瞬だけ悲しい顔を見せるがすぐに表情を戻す。先程と変わらない口調で男は語りだす。


「君はイレギュラーな存在なんだ。通常は同じ人物が両方の世界に一人ずつ存在する。だけど君は向こうの世界にしか存在しなかった。まぁ並行世界といっても同じ人物がいたりするだけで、歴史がすべて一緒とは限らない。気づいてるとは思うがこっちの世界のほうがあっちより科学技術は発達しているし、向こうの世界ではいない謎の生命体に侵略されようとしている。」


「僕はいわゆるこの世界を統べる神なんだ。別に信じなくてもいい。僕はこの世界の未来が見えているんだ。いま君を食べようとしている生物がいるだろ。」


男の言葉を聞いて横にある大きな顔を見る。口の周りには赤いドロッとしたものがついているのが分かる。それが何なのかを悟り身震いをする。


「その生き物の事をここでは侵略者ウィード《招かれざる者》と呼んでいるそうだよ。そして人間 対 侵略者ウィードの勝負に人間は負ける。そんなつまらない世界になることを僕は許さない。だから君を呼んだんだよ。」


「俺を呼んで世界が変わるって言う考え方はおかしい・・・いかれてる。俺のあっちの世界での生活を知ってるのか?イレギュラーとかそんな呼び名を貰う前に俺は俺なんだ。自分がどれだけの力しか持っていないかなんてよく知ってる。」


誇れるような事なんて何もしてこなかった。そんな俺にこんな化け物達と戦えなんて無理がある。


「君は自分を非力だと思うかもしれないが、最後に人を命という大きなものを犠牲に救った。それに君は当たり前だと思ってやっていたから記憶には残っていないかもしれないが、君の行為によって助かった人物はたくさんいる。」


「そんなことはない・・・・・・。」


「僕は思うよ。君は一度死んだ、なら今日この日からまた新しい人生が始まったんだ。自分が前に誇れるものがないと思うなら今からでも遅くない。それぐらい君がこれから守る者は大き────────。」


男の身体の所々から血が流れ初めている。


「そう驚くこともない。僕はただの高校生を違う世界に送った。神を裁きする者が動くのは当然さ。ようするに僕はもうすぐ死んじゃうから。後は託したよ。」


男は近づいて手を伸ばす。その手を握る事の重さを感じる。


「俺はいまでも頭がかなり混乱してるよ。だけどあんたは俺を信じて命をはったんだろ。その気持ちは分かる・・・・・・救うなんて大層なことは言えないけど・・・出来る限り頑張ってみるよ。」


腕を通して流れた血で紅く染まる手を弱い力で握る。男は今までで一番の笑みを見せて俺の手を強く握りかえす。


「僕のわがままのせめての償いだよ。時間が動き出したらそれが分かるよ。あとあの彼女は一人の人として見てあげてね。君の大きな支えになると思うし。」


「・・・分かった。」


俺の返事を聞くと安心したように力が抜けて倒れていく。その身体を光が包み込む。まだ二人の目線は交わっている男は最後に言う。


「──────────────僕の愛した世界を頼むよ」







極秘重要ファイルNO.1


名前 鳴海 優哉 なるみゆうや


  高校二年生 17歳 (男)


瞳 黒 髪の色 黒

身長 177.6 体重61キロ


好きなこと

読書・料理・感動する話・とにかくインドア派・小型犬を愛している


嫌いなこと

学校行事・いじめのグループ・アウトドアなことは苦手・猫(昔顔を引っかかれた)

以上 


横浜軍基地  局長 笹間 辰之助(たつのすけ)

 

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