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知略戦



 トラックの屋根が震え、複数のサーペントが飛び乗ってきた。

 鋼鉄の義肢が月光を反射し、爪のように突き出される。

 屋根を突き破られれば、中のドライバーごと終わりだ。


 俺は息を整えながら、周囲を見渡した。

 廃墟ビル群が並び、曲がりくねった高架道路が闇の中に伸びている。

 そして――前方に巨大な鉄骨橋、その支柱に積まれた未処理の工事資材。


「チャンスだ……」


 俺は屋根の上にいた一人を突き飛ばし、荷台に滑り込む。

 ドライバーに怒鳴った。

「次の橋脚で急ハンドルを切れ! 資材を崩すんだ!」

「なにィ!? 死ぬ気か!」

「やらなきゃ死ぬ!」


 その瞬間、サーペントの一人が俺の肩を掴み、力任せに引き上げた。

 歯を剥き出し、刃を突き立てようとする。

 俺は咄嗟に腰の閃光弾を押し付けるように起動させた。


 轟音と閃光。

 至近距離で浴びたサーペントは悲鳴を上げ、屋根から転げ落ちた。

 その間にも、トラックは橋脚へと突っ込む。


 ドライバーが絶叫しながらハンドルを切った。

 車体がきしみ、視界が横に流れる。

 次の瞬間、積み上げられた鉄骨の山が崩れ落ち、後方の道路を塞いだ。


 轟音。火花。バイクの列が資材に衝突し、次々と弾き飛ばされていく。

 追撃していた半数が、一瞬で瓦礫に飲み込まれた。


「……よし!」

 息を荒げながら、俺は荷台の隙間から後方を見やった。

 生き残ったのはわずか三台。

 それでもなお、奴らは笑いながらこちらを追ってくる。

「逃がさねぇぞォ! 最後の一滴まで絞ってやる!」


 背筋に冷たいものが走る。

 だが、確かに数は減った。勝機が見えてきた。


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