車上戦
夜の廃墟を疾走するトラックの左右から、バイク部隊が迫ってきた。
十数台――サーペントの牙が、音もなくこちらを食い破ろうとする。
片腕が刃になってる奴、両脚をホイール化したサイボーグまでいる。
銃声が重なり、車体の外装が火花を散らす。
ドライバーが怒鳴った。
「押し切られるぞ! なんとかしろッ!」
俺は窓枠を蹴って外へ身を乗り出した。
背中に冷たい夜風、目の前にサーペントの歪んだ顔。
パルスナイフを抜き、バイクに飛び移った。
「なッ――!」
奴の首元へ刃を突き立てる。電磁パルスが走り、義眼が弾け飛ぶ。
絶叫と共に、バイクごと横転。後続の二台が巻き込まれ、鉄の山に崩れた。
だが、すぐに背後から衝撃。
別のサーペントが俺の背中を蹴り、バランスを崩す。
道路へ投げ出されかけた瞬間、必死にハンドルを掴んだ。
そのバイクの主が、歯を剥き出しに笑う。
「死ねや、ガキィ!」
奴の片腕が鋼鉄の鞭に変形し、唸りを上げて襲いかかる。
俺は咄嗟に腰のEMPナイフで受け止めた。火花が散り、腕が一瞬硬直する。
その隙に、俺は全体重をかけて奴を蹴り飛ばした。
バイクから弾き出されたサーペントはアスファルトに叩きつけられ、轢かれて消えた。
残るは半数。
だが、奴らは怯むどころか歓喜に震えている。
「おもしれぇ……こいつは使えるぞォ!」
「首を持ち帰れ、ボスに捧げろ!」
数台が同時に車体へ飛び移り、トラックの屋根を蹴り上げる。
金属が軋み、揺れる荷台。
俺は荒い息を吐き、濡れた掌でナイフを握り直した。
――ここからが本番だ。