切り抜け
夜空を裂く閃光。
ミサイルの軌跡がまっすぐこちらへ迫る。
「伏せろォッ!」
ドライバーの怒号と同時に、俺は床へ身を投げた。
次の瞬間、轟音と爆風が背後を飲み込む。
直撃――ではなかった。
ドライバーが咄嗟にハンドルを切り、トラックは廃ビルの壁際へ身を寄せていた。
ミサイルはビルに衝突し、鉄骨とコンクリートを粉々に吹き飛ばす。
飛び散った瓦礫が車体に降り注ぎ、装甲に叩きつけられる衝撃で耳がキンと鳴った。
だが、生きている。
「このままじゃ持たねぇ!」
ドライバーの声が震えている。
俺は即座にリュックを漁り、もう一つの《ジャマーグレネード》を握った。
装甲車の荷台には、次弾を装填する巨漢サーペントの姿。
タイミングを合わせ、俺は窓を開けて身を乗り出す。
息を止め――投げた。
グレネードは装甲車のすぐ上空で弾け、重低音の衝撃波が走る。
ロケットランチャーの照準システムが狂い、弾頭が暴発するように斜め上へと飛び出した。
次の瞬間、夜空に二度目の爆発が咲く。
「やった……!」
だが安堵は束の間。
後方からなお数台のバイクが迫り、銃火を浴びせてきた。弾丸が窓を貫き、シートのすぐ横を削り取る。
胸が焼けるように熱くなりながら、俺は心に誓った。
――この任務を生き抜けば、十万。
死んでたまるか。