危険な山
とある火山の守り神は、困り果てていた。
なぜなら、その山では、毎年多くの者が死んでしまうからだ。
その山には、マニアの間では有名な秘湯が湧いている。
そのため、毎年多くの、秘湯目当ての登山者がやってくる。
しかし、それと同時に、至る所に火山ガスが溜まり、そこに含まれる毒によって、登山者の実に3割以上が亡くなる程危険な山なのだ。
その守り神は、今までにいくつもの対策を行ってきた。
看板を立てたり、紐で道を作ったり、そもそも山への立ち入りを制限したり等々。
しかし、そもそも秘湯の位置する場所が危険な場所ということもあり、大した効果はなかった。
なんとか死者数を減らすことができないかと考えたその守り神は、ある一つの案を思いついた。
それは、彼の知り合いの女神に、登山者に対する注意をさせるというものだった。
その女神はとても美しく、女性でも惚れてしまうほどのものだった。
そのため、彼女が注意すれば、皆それに従い、死者が減る、そう守り神は考えたのだ。
守り神は早速、その女神の元を訪れ、この考えを伝えた。
女神はこれを快諾し、その日からその火山には女神が現れるようになった。
その結果、女神目的の登山者が増え、登山者は今までの2倍になり、死亡率は3倍に膨れ上がった。