19話
この僕、仲居雅紀は会社からの降格処分を言い渡され誠に腹立たしい事に今までの地位を剥奪された。
仕事は一気に面倒でわかりにくい物が増えたにもかかわらず、給料は大幅減額…正直やっていられないのが本音だ。
小汚い見た目の妻は僕を励ますでも慰めるでもなく口汚く罵るだけ、誰に似たのか知らないが僕が調子のいい時は都合の良い事ばかり言って媚びるくせにこう言う時は唾を飛ばしながら罵倒してくる。
何故あんなババァと結婚してしまったのか…
我ながら過去の自分の浅はかさを呪い後悔する日々だ。
そもそも今回僕が降格処分なんて訳の分からない事態に直面したのはあの使えない雌ガキのせいだ!
仕事もろくに出来ないクセに生意気な目つきで僕の事を睨んでくるのだから始末に負えない。
注意すれば溜息をつき、仕事を教えれば悪態をつく、これだから若いだけが取り柄の苦労を知らない世代は嫌なんだ。
そのクセ他人に…もっぱら男に媚びるのはやたらと上手いと来てる。
馬鹿な上司共はあのビ◯チに誑し込まれたに違いない、だから有能な僕を降格処分なんて馬鹿げた事が出来るのだ、本当に馬鹿げた話だ。
しかし最も許せないのは野村だ!
アイツはあの雌ガキにどうやったのかわらないけど異様に懐かれている。
社内でもいちゃいちゃしていてとても不愉快極まりない。
雌ガキは僕の下で仕事してる時はまるで使えなかったクセに、野村の下に付いてからは自身の有能さを見せつける様にきびきびと日々のノルマを熟し、僅か数ヶ月足らずでエース級の働きをして、上司共からの評価は見た目だけじゃ無く実務面でもやたらと高い。
コレではまるで僕があの雌ガキを指導出来なかった無能みたいじゃないか!
ふざけてる!ふざけてる!本当にふざけてる!
ハメやがったんだ!
彼奴等この僕をハメやがったんだ!!
そうに違いない!!
野村があの雌ガキに色目なんて使うから……
しかし、そもそもだ…。
野村があの女に好かれる理由がさっぱりわからない。
認めたくないがあの雌ガキ…結城咲菜は中々お目にかかれない程の美人だ。
顔も上質で猫みたいな愛らしさがある。
低い身長に不釣り合いな程にデカい胸にケツ。
そのクセ腰はきゅっと細いのだから目に毒だ。
小汚い妻とは雲泥の差だ、正直羨ましい。
あんな良い女にチヤホヤされたらさぞかし人生たのしいだろうな…。
それを野村みたいな無能が独占しているんだ…
おかしいだろ?
まちがってる…!
あれ程の美人なら男なんてよりどりみどりだろうに何故野村なんて底辺を…?
そもそも僕があの女を野村に押し付けたからこそ僕は今、こんな目に遭ってるんだ。
後悔しても仕切れない…。
野村はこの僕に感謝しなければならないのに…やつにはそんな感謝の念の一つも…誠意の"い"も感じられない。
本当にふざけている。
ふざけているといえば同僚の連中もだ、降格処分を言い渡され僕の仕事量は明らかに増えた。
今までみたいに野村に押し付けようとすると雌ガキの結城に邪魔される。
「え〜、仲居さ〜ん、それはおかしくないですかぁ?もう仲居さんは野村さんの上司じゃないんですからそんな権限ないと思いますけど〜?」
「な?きっ…君には関係ないだろ?」
「ありますよぉ〜、野村先輩が忙しくなると その部下の私にまでとばっちりが来るんですか〜」
「は…はは!なんだ結局自分可愛さに野村を庇ってたのか?大丈夫さ、安心すると良い、この仕事は野村にだけ任せるつもりだ、君は関係ないのだから気にする必要はないよ?!」
「はぁ…何言ってるんですか?」
「は?」
「そもそもソレ、仲居さんのお仕事でしょ?どうしてそれを野村先輩がやらないといけないんです?前提がおかしいですよね?」
「な、それは…」
「自分の仕事もろくに熟せないで他人を見下す事しか出来ないならそんなのただの無能ですよね?仲居さんはそんなんじゃないって私知ってますからもちろん野村先輩に縋ったりしませんよね?」
「な!?あっ…当たり前だ…いいからもう行きなさい!」
「は~い、どうもすいませーん」
ヘラヘラした態度で結城は去っていった。
(クソクソクソクソぉ!!あのビ◯チがぁ!調子にのりやがって!!どうして僕ばかりがこんな目にい!!)
それから他の社員にも手伝いを打診してみたが誰も手伝いはしてくれない。
佐藤なんかは目をかけてやっていたのに一番舐めた態度を取りやがった。
「え?え?マッ?仲居さん俺に手伝ってほしいんすか?ちょ、無理っすわw俺今日も用事あるんで、他を当てってくださいよ?野村さんとかどーすか?いつもエラソーに説教してたじゃないすか?え?無理?あ、俺待ち合わせあるんでじゃおつかれーっす!」
「はつ?」
目をかけてやってたのに…
かわいがってやってたのに…
なんだ…あの態度は…
なんだ…あの舐め腐った話し方は…
コレではまた夜遅くになる。
いやだ、残業なんて…
もうずっと残業ばかりだ、疲れた、もう嫌だ…。
誰か…助けてくれ…。




