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12/39

12話

最近たっちんが家に帰って来る時間がかなり早くなった。

以前みたいに馬鹿みたいに残業をしなくなった。

それは良い事だ。

素晴らしい事だと思う。


たっちんは上の人が変わったお陰だと言っていた。

会社の仕組みは私には解らない。

でもたっちんの前の上司はたっちんに残業ばかりさせていた。

だからきっと無能だったのだろう。

残業なんてしてもしょうが無い。

たっちんの帰る時間が遅れるだけなんだから…。


でも今は早く帰って来てくれる。 

今まではご飯食べたら直ぐに寝てしまってた。

お風呂に入らない時もあった。

いくら疲れていても清潔でいて欲しい。

ほら、不衛生だと体に良くないしね。


とにかくたっちんが早く帰って来るようになれば私との時間もまた沢山出来る。


そうすればまたたっちんが私に振り向いてくれる様に頑張る時間が作れる。

学生時代の優しくってカッコいいたっちんに戻ってくれるための時間を作れるんだ!


私はたっちんの心を傷付けた。

あの時の私は本当に馬鹿だった。

愚かだった…。


たっちんの素敵な所に気付いてあげられなかった。


うぅん、違う。

中学の頃の私はたっちんの事が大好きだった。

だからあの頃は知ってた筈なのに…。

いつかそんなたっちんと居ることが退屈に感じる様になった。


コイツいつも同じ事しか話さないな…

退屈だな…つまらないな…

私は刺激が欲しいのに…。

割り勘…?普通男が全額支払うものでしょ?

細くて華奢な体…ダサっ…

先生の方がカッコいい

大人の包容力…

頼りになる…


先生…!先生!



「うえぇっ……ハァハァ…」


気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…


あのクソ男の事を思い出すと吐き気がする。

子供の頃の私にはあの男が理想に見えた。

カッコいいと疑いなく思っていた。

とんだ勘違いだ。

大体真っ当な大人は子供に…生徒に手なんて出さない。

それを私は自分が魅力的過ぎるから仕方の無いことだと思って疑問にすら思ってなかった。

馬鹿だ。


少し周りから可愛い、美人だとモテてたから調子に乗ってたんだ。


本当にあの頃の私は馬鹿だった…。


だからあの男の本性にも気付かない。



あのクソ男は私が馬鹿でちょろい脳みそエロ女だと言った。




「少し煽てりゃ股開いてよぉ!この馬鹿女がぁ!?」




何処かでアイツはそんな事を言っていた。

信じてたのに裏切られた私はあの男を徹底的に追い込んだ。

学校を追い出されSNSで淫行教師のレッテルを貼られ拡散されたあの男に新たな勤め先なんて無く奴は詰んでいた。

それでも当時の私はあの男が好きで追いかけた。

お父さんもお母さんもたっちんの言葉も振り切って…その先に待っていたのは地獄だった。

勤め先のない中年男性の未来なんて悲惨の一言だ。

無駄にプライドが高いから自身のグレードを下げる事も出来ない。

俺にこんな仕事は相応しくない!

そんな駄々を捏ねて仕事探しすら碌にしなかった。

結果あの男は私に援交なりパパ活なりして稼いでこいなんて言った。

だから私は頑張って先生の為に働いた。

でも先生は以前のカッコいい先生なんかに戻る事はなく頑張ればその分屑に成り下がっていった。


そしてさっきのあの言葉だ。


私の心は限界だった。

あの男が壊れていた様に私の心も壊れていた。

だから追い込んでやった。 


幸い手段は沢山あった。

パパ活や援交で怖いお兄さんの伝もそれなりにあった。

だから私はそんな怖いお兄さんやパパにお願いした。


先生を潰してと…。


それから先生がどうなったかは知らない。

それからしばらくはいろんなパパやお兄さん達の元をハシゴした。

みんな私の事をチヤホヤしてくれていたけど次第に相手にされなくなった。

1年、2年と流れ歳を取るにつれ、優しかったお兄さんもパパも冷めた物をみる目で私を睨んだ。

これまで通り我儘を言えばパパやお兄さん達は私にキツく当たるようになった。

暴力を振るわれた事もあるし、暴言を吐かれた事もある。


結局男は若いメスが良いんだ。

ソレに気付かずいつまでもチヤホヤしてもらえる程甘くはない。

ソレに気付くのに私は大きな代償を払う羽目となった。


私みたいな馬鹿女はある程度実在する。

女は若ければ若い程いい。三十路を目前に控えた私に興味なんて無い。

男達の目は雄弁にそう語っていた。


結局人生の半分程の歳月を経て私の事をちゃんと見てくれるのはお父さんとお母さん…そしてたっちんだけだと私は悟った。


でも今更両親の所に戻れる筈がない。

どの面下げてだ。


これは建前…言い訳…、

本当は両親に会うのが怖いのだ。

だからたっちんに縋った。

頼った。


幸い彼は一人暮らしをしていて実家を出ていた。

私が転がり込むには最適な場所だった。


これからやり直そう。

たっちんに一途な良い女になろう。

たっちんが望むならどんなことだってやってあげよう。

そう思った。


でもたっちんは私にまったく興味がなかった。

お尻や胸を事更に強調しても彼は私を見てはくれない。高校生の時は良く私の胸やお尻を盗み見てたエロガキだった筈なのに…。

  

でも男の一人暮らし。

女と同棲してれば溜まるものもある筈。 

だから時間の問題だ。 

いつか我慢出来なくなってたっちんから私を求めて来る日がきっとくる。


最悪既成事実を作れば良い。

拒んでも彼は男だ、もっと言えば童貞だ。

女の快楽を知れば抗えない筈だ。

押し倒して私がたっちんの初めての女になればそれで良い。

 


そうすれば…子供でも孕んでしまえば……



私はきっと……うぅん…絶対に幸せになれる!


 なれるんだ!!















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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初の時点で主人公の一方的な視点だったので、 幼馴染は当時は脅迫されていた、なんて話も予想していましたが [一言] 有名なセリフをここで挙げておこう。(本来の用途とは異なるが) 「ま る…
[一言] 正直この幼馴染の目論見通り同棲からの流され脱童貞エッチで妊娠からの結婚生活が見たくないかと言えば個人的にはかなり見たい そう言う作品では無いと解っていますけどね
[一言] >それからしばらくはいろんなパパやお兄さん達の元をハシゴした。 >みんな私の事をチヤホヤしてくれていたけど次第に相手にされなくなった。 >1年、2年と流れ歳を取るにつれ、優しかったお兄さんも…
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