超夢特区デスティニーグラウンド
どこまで行けるかわからないけれど行けるところまでガンバふ。
うpしますた。
対よろデス。
「ご機嫌よう、人類の皆様!わたくしは超夢特区デスティニーグラウンドの支配人、ユウ・アソボーと申します」
七大国が治めるカント大陸。
その大陸内の住む人々の目の前に突然その映像は浮かび上がった。
どこから見ても紳士的、しかしその態度はあからさまに慇懃無礼。
そんな胡散臭い笑みを浮かべたユウ・アソボーと名乗る男がどこかの門の前から話しかけてくる映像。
「突然目の前に映像が浮かび上がって驚いたことでしょう。しかしご安心ください。この映像は完全無害となっております。また、作業中の方の前には危険なため投影しておりません。もしこれからお伝えする内容をご存知ない方がいらっしゃったらお前は仕事人だと笑ってあげてください」
ジョークを挟みつつ、楽しそうに話し続けるユウ・アソボー。
人々も理解はできずとも危険はないと安心し始めたとき、彼は度肝を抜く話を始めた。
「さて、はじめにみなさまにお伝えしたいのは七大国が一つ、『アビーク帝国』の近海に7日前に突如出現した浮遊大陸について。前提としてあれは我々が所有するものです」
この知らせに慌てたのは各国の首脳陣。
確かに7日前に突如として浮遊大陸は出現した。
そして現在、各国が連携しながらその対処について話し合っていたところだったのだ。
原因は?正体は?危険性は?様々なことが話し合われていた中でのまさかの持ち主の出現。
各国は大慌ても大慌てだった。
「突然のことで驚かせてしまい申し訳ありません。なにぶん、我々にとっても急なことだったのです。それはともかく、浮遊大陸の名は『超夢特区デスティニーグラウンド』と、申します。その正体はなんと巨大遊興施設!またの名を究極の遊園地!あ、もちろんカント大陸の皆様は遊園地をご存知ないでしょう?そこを今からご説明させていただきます!ではミュージック、スタート!」
完全に置いてけぼりな人々を置いて映像の中で音楽が流れ出す。
力強い低音から始まったその音楽はなぜだか人々をワクワクさせた。
『Ooh-ohh!』
『Welcome to the super-dream special zone Destiny Ground.(ようこそ超夢特区デスティニーグラウンドへ)』
『Ooh-ohh!』
『From now on, you will enjoy the moment of your dreams!(これよりみなさまが味わうのは夢のひととき!)』
『The door to the dream has been opened!(夢の扉は開かれた!)』
一気に高まる音楽。
照明の落とされていた門前が一際輝き、巨大な門が開かれた。
中にあったのは未だかつて誰も見たこともない煌びやかな世界。
複雑で立体的な線路を高速で駆け抜ける列車、巨大な車輪に箱がついた何か、クルクルと回る大きなティーカップに白馬たち、何と火山や雪山、滝の流れる渓谷まである。
そして何より目を引くのは絢爛豪華な城だった。
『Fun play experiences await you!(楽しい遊び体験がきみを待つ!)』
『We make you smile wonderfully!(僕らがきみを素晴らしい笑顔にする!)』
映像に現れたのは何匹ものもふもふした二足歩行の小動物。
彼らはひたすら愛らしくちょこまかと踊りながら画面内を駆け回る。
『Oops, let me introduce them! They are eminicos! They are the delightful employees of the park!(おっと彼らを紹介しよう!彼らはエミニコ!彼らは園の愉快な従業員さ!)』
ユウの歌に合わせて踊るエミニコたち。
その愛らしい姿は早くも人々を虜にしていた。
その人気たるや既に権力者の御息女たちは親にペットにねだる始末だ。
『There are still friends of ours! And there are plenty of events too!(まだまだ仲間たちはいるよ!さらにイベントだって盛りだくさん!)』
エミニコたちが走り去るといつのまにか背景は大きな劇場に変わっていた。
その壇上に立つのは奇抜ながらも可愛らしい衣装に身を包んだ丸い獣の耳を持つ美少女。
『I am Tina! The best diva in the country! I will rock everyone's soul with my music!(私はティナ!この国一の歌姫!私の音楽でみんなの魂を揺さぶるわ!)』
可愛らしい少女から発せられたとは思えない力強い歌声で人々は目を丸くし、皆等しくある欲求が生まれた。
それは彼女の歌をもっと聴きたいと言う欲である。
『Tina is our superstar. We'll be doing lots of live shows, so look forward to it!(ティナは僕らのスーパースター。ライブはたくさんするからお楽しみに!)』
未だ背景は劇場であったがティナが去った上に空気が変わったことに人々は気がついた。
当然音楽もより激しくカッコつけたものに変わる。
『Next comes our hero, Asobunger! We'll fight evil anytime to protect everyone's smiles!(続いて来るは僕らのヒーロー、アソブンジャー!みんなの笑顔を守るため、いつでも悪と戦うぞ!)』
大きな爆発と共に壇上に五色の戦士たちが現れた。
軽装の彼らは華麗に激しく壇上を舞い、駆け巡る。
そしてわかりやすく悪だと思える怪人が同じく壇上に上がり、彼らと闘い始めた。
それは命の奪い合いというよりも魅せるための舞のようにも見えた。
その神事でもなかなか見られない胸踊るの武闘は音楽の切り替わりと共に終演を迎え、なんと巨大化した怪人とこれまた巨大な鎧に乗り込んだ戦士たちとの大迫力の対決に切り替わった。
最後は怪人が大爆発!
たった数十秒の短い戦闘。
それなのに視聴した人々の心は惹きつけられてやまなかった。
『This is their hero show! Look forward to when you can support them!(これが彼らのヒーローショー!応援できるときをお楽しみに!)』
彼はまだきっと何か見せてくれるはず。
そんな期待が止まらない人々。
もはや彼らの心はユウ・アソボーの手のひらの上であった。
それでも誰一人として視聴をやめられない。
それは各国の首脳陣すらもであった。
『Do not forget! Park Food! Popcorn, churros and hot dogs! Even hamburgers and fries!(忘れちゃいけない!パークフード!ポップコーン、チュロスにホットドッグ!ハンバーガーにポテトまで!)』
気がつけば先ほどの様々な建造物がある場所に戻ってきていたユウ。
彼は屋台を押すエミニコたちから食べ物らしきものを受け取ると、それはそれは美味そうに食べた。
味の感想やうまいの一言を発してわけでもないのに、その満足そうな笑顔を見るだけで人々は涎が止まらなかった。
あの料理が食べたい!その欲求は止まるところを知らない。
『Destiny Ground has everything! Restaurants, hotels, cinemas and game centres! Adults are also invited to the casino! Come and enjoy Destiny Ground! (デスティニーグラウンドにはなんでもあるよ!レストラン、ホテル、映画館にゲームセンター!大人の皆さんはカジノにもご招待!さあ、デスティニーグラウンドを楽しもう!)』
人々はもう、一度も行ったこともないデスティニーグラウンドの虜になっていた。
『Come on, come on! Destiny Ground!(おいでよ!デスティニーグラウンド!)』
ユウ・アソボーは歌い上げる。
人々は思った、そこに行きたい!
『Come on, come on! Destiny Ground!(おいでよ!デスティニーグラウンド!)』
エミニコたちが歌い上げる。
人々は思った、そこに行きたい!
『Come on, come on! Destiny Ground!(おいでよ!デスティニーグラウンド!)』
ティナが歌い上げる。
人々は強く思った、そこに行きたい!
『Come on, come on! Destiny Ground!(おいでよ!デスティニーグラウンド!)』
アソブンジャーと怪人が歌い上げる。
人々は我慢ならなかった、そこに行きたい!
『Come on, come on! Destiny Ground!(おいでよ!デスティニーグラウンド!)』
これが最後とばかりに全員揃って歌い上げる。
人々はもはや苛立っていた。
早くデスティニーグラウンドに行きたい!
『We look forward to seeing you soon.(お待ちしております)』
本当に最後、ユウ・アソボーがそう囁くと音楽は綺麗に終わりを告げた。
何がなんだか分からず、何がなんでも行きたいのに行き方が全く分からないデスティニーグラウンドという存在に人々が絶望を感じ始めたとき。
再び門の前に一人になったユウ・アソボーは淡々と告げた。
「ご紹介は以上となります。さてさてさて、ここからはみなさまに朗報です。3日後、各国の首脳陣をデスティニーグラウンドにご招待いたします。そうして安全確認をしていただき、営業許可を得たのち、各国主要都市にて連絡船を運行いたします。そこからは毎日デスティニーグラウンドで遊び放題!各国よりお返事お待ちしております♪」
「それでは3日後、よろしくお願いします」
それを最後に映像は目の前から消失した。
各国首脳陣はただ黙々と、いつからあったかも分からないデスティニーグラウンド安全確認のための試験入場という書類にサインを書き始めた。
これより始まるは異世界遊興伝説。
しかし神の視点を持つみなさまも、まだユウ・アソボーが何者なのかご存知ない様子。
次回はユウ・アソボーという男が何者なのか、それについてお話ししましょう。
お楽しみに。
目指すはランキングの端に一瞬くらいは浮上。
欲を言えば感想が欲しい。
ぶっちゃけ何より感想が欲しい。