まさかの骨折?
森を走り抜けた佐藤は悲鳴がした場所にたどり着いた。
「「どうした!!!大丈夫か!!!」」
声が重なった。
森を抜けた先にいたのは若い娘とオーク…だけではなかった。
「「今助ける!!!」」
なぜか佐藤の来た逆方向の森から同時に飛び出してきた男と声が重なった。
「俺がやる」
佐藤は飛び出した。
チート能力を手に入れたと思ってる佐藤はご都合主義の出会い程度にしか感じていなかった。
「俺の拳を食らいな」
ただ思い切りだけでオークをぶん殴った。
「いっっってぇえええええええええええ!!!!」
拳が折れた。
その痛みは凄まじく、階段から転げ落ちた死に際を思い出す程度の威力があった。
「いてえ、いてえぇ」
佐藤は蹲りただ死ぬ瞬間を待つことことしかできなかった。
「馬鹿野郎!!!!飛び出すからには倒しやがれ!!!」
反対側から飛び出してきた男は律儀にオークを佐藤を待ってから助けに来てくれた。
男は剣を取り出し一閃
オークは崩れ落ちた。
「女にかっこつけたいだけなら他所でやれよ」
そう吐き捨てた。
「ありがとうございます!!!」
若い娘は男に駆け寄った。
「お嬢さんもお嬢さんだ、なぜこの森を一人で歩いているんだ!!!」
若い娘は言った。
「ごめんなさい!!!街へ行った帰りだったの。ちょっと街道以外も見てみたくて」
「今回はオークで良かったが、もっと強い魔物だって出てくるんだ。結界で守られている街道を出るんじゃない」
男はそれ以上叱らなかった。
若い娘が死ぬ思いをしたのだ。それで学んだはずだと。
そのころ蹲っている佐藤は思っていた。
「(あの魔物より強い魔物が出てくるのか!?!?俺のチートボーナスはどうした!?!?)」
男は佐藤に話しかけた。
「お前はなんだ???飛び出しておいてその様は、服は良いものを着てそうだし貴族か???」
佐藤は若い娘の前でこれ以上ダサい恰好はできないと返答することにした。
「助けていただいてありがとうございます。私はサトウと申します。貴族ではありません。」
男はニヤリと笑ってこういった。
「なら良かった。とりあえず礼金をよこせ」