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一章 僕は、はいだらけ
ふつう、初対面の人間に死を宣告されたならどういった反応をとるものだろうか?
ビビる? おこる? 無視する?
まあ、いずれにせよその心中穏やかならざることは間違いないだろう。ふつうは、だ。
けれども僕ぐらいのレベルになると、
公園でマイホームをこしらえた仙人みたいなルックスのおばあさんに突然呼び止められてお守り渡されたり、
片手にだけ手袋はめたまゆ毛の濃いいお兄さんに呼び止められてお祓いされたり、
ひとなつっこいチワワに逃げられたり、
そんなことが日上茶飯事な僕にとっては
またか
と思う程度でしかない、なんの感慨もわかない、なれちゃってます、正直。
だから僕は全くの無防備にその日を過ごし、帰路に就こうとしていたのです。
そして……
そして、知ってしまったのです。
彼女の予言の正しさを、
それは、これから僕の身に降りかかる災難の一端にすぎなかったのだけど……