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死神の使徒はあんまり殺さない~転生直後に森に捨てられ少年が、最強の魔狼に育てられ死神の使徒になる話~  作者: えぞぎんぎつね


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03 転生者フィル

 俺には前世の記憶があった。

 生まれおちた直後、困惑したことをよく覚えている。

 突然、自分が赤子になっていたからだ。


「いや、名前については相変わらずさっぱり」

『そうか』

 フレキは少し残念そうだ。


「フレキ。名前を思い出せない以上、絶対ってことはないけど……、俺は使徒さまの生まれ変わりじゃ無いと思うよ」

『そんなことは期待しておらぬわ』


 言葉とは裏腹に、薄く期待していることはわかる。

 俺の髪と目の色が先代使徒と同じだからだろう。


『名前以外に思い出したことはないのか? 改めて今思い出せることを全て語るが良い』

「全てか」


 俺は何度も語っている。

 改めて語らせるのは、語ることで前世の記憶を思い出すことを期待しているのだろう。


「うーん。そうだな」


 俺はフレキに語っていく。弟妹たちも大人しく俺の言葉を聞いていた。


 遠くと話す携帯できる手のひら大の板のような装置。

 人を乗せ、自動でとても速く走る鉄の乗り物。

 遠くの情景を映し出す四角くて薄い大きな装置。


 俺が語り終えるとフレキが言う。

『やはり魔法技術が発達していたようだな。古代には現代より優れた魔法文明があったというし、古代の記憶かもしれぬのう……』


 俺が前世でみた装置類を、フレキは古代の魔導具だと考えたようだ。


「未来の可能性は?」

『未来か。もちろん、その可能性もあるのじゃ。技術以外には何か覚えていないのか?』

「子供はみんな集められて集団で勉強していた。貴族がいなくて、政治のリーダーは投票で選んでいたな」

『学校に民主制か。それも古代にはあったと聞くのう』


 やはり、フレキは俺の前世の時代を古代だと推測しているらしい。


「度量衡は重さがグアム、いやグラム? 長さがメトルだがメートルだった気がする。古代の単位でそんなのない?」

『それは聞いたことがないな。そこまで思い出せても、自分の名前は思い出せぬか?』

「うん、そもそも、俺が大人だったのか子供だったのか、男だったのか、そもそも人間だったのかすらわからないんだ」


 だが、赤子ではなかったことだけはわかる。

 俺の自我に関わるところは、まったく思い出せない。


『親兄弟姉妹は?』

「それも、まったく思い出せない」

『神は?』

「神の名前も覚えていないけど、信仰される神はいたと思う。それこそ八百万とか」

『多すぎる……いや、現代でも人にあまり知られていない神を合わせればそのぐらいか? 古代は神の知識も現代よりは豊富であろうし……』


 どうやら、古代には現代以上に優れた文明があったらしい。

 フレキの言葉を聞きながら、俺はなぜ偉大な古代文明が衰退したのだろうかと考えていた。

 

フィルの前世の世界は謎ですが、地球ではないところだと思います。


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