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第七十七話

 「なんか暇だねー」

「どうしたの急に?むしろ今忙しいと思うけど」

せっせと作業をしながら答える早霧ちゃんの姿を見ながら麻衣は答えた。

「楽しみにしてた豚のお肉が思ったより早く来たから楽しみが減った」

「あれねー、おいしかったね」

 凪ちゃんと早霧ちゃんにもあの後分けたので二人は思い出してうなずいていた。

「それより麻衣たちも仕事してよー」

 空いたは体育祭なので今はグラウンドではその準備が行われていた。真面目に作業をする凪ちゃんと早霧ちゃんを眺めながら四人で座っていた。

「私たちはさっきまでしてたから休憩中でーす。仕事していないのは麻衣だけ」

「私はやる気でないからパス」

「そんなのないから」

「でもたしかに高校二年生の体育祭っていまいち盛り上がらないよねーー、目新しいわけでもないし、三年生みたいに感傷に浸れるわけでもないし」

「そう私は楽しみだけどな」

「私も楽しみだよ?」

「それは二人とも普段から体動かしてるし、運動が好きだからでしょー」

「由宇だって体動かすのは好きでしょ?」

「好きだけど最近は麻衣化してきたからこうなってるわけですよ」

 グラウンド横でだらけている私たちを見て二人は「なるほど」と納得していた。

 二人が再び作業に戻っていってしまったのでダラダラしていると加奈が話し始めた。

「なんだかんだそろそろ修学旅行だけど、なんか気分がそっちに向かない感じ」

「私も楽しみは楽しみなんだけどなんかふわっとしてるよね」

 愛理も同じように感じていたようでそう答えた。

「イベント少ない二年生に修学旅行を持ってくるのは嬉しいしわかるけど逆に浮いちゃってる感じよね」

「この時期の沖縄とか絶対暑い、溶けちゃう」

「麻衣はほっといたらずっとホテルにいそうだよねー」

 たしかに灼熱の太陽のもと海ではしゃいでいる姿より冷房の効いたホテルの部屋でくつろいでいる姿の方が容易に想像できる。

「道民が真夏の沖縄に行ったら命取りになる」

「真夏って言っても一番暑い時期ではないけどねー」

「そういえば調べたんだけど沖縄って七月が一番暑いらしいよ」

「そうなの?」

「月ごとの平均気温だとそうらしいよー。だからちょうどだね」

「ぐへー」

私たちの会話を聞いた麻衣が信じられないという顔で寝転がった。

「なんだかんだそろそろ準備しなきゃだよね」

「大きな荷物って先に送るんだよね?いつまでだっけ?」

「たしか三日前とかだったよ」

 完全に体育祭の仕事をほったらかして話を続けていた。

「水着も買いに行かなきゃだねー」

「えー、水着ー?」

「麻衣は嫌なの?」

 麻衣は愛理の体を恨めしそうに見ながら「ぐぐっ」とうなっていたので頭をなでてあげた。

「スク水の方が恥ずいと思うよー」

 そういわれると麻衣はそれはそうだと言わんばかりにうなずいた。

「他にもいろいろ準備しなきないとだけどやる気が起きないね」

「中学の時も二年生ってあんまり思い出ないよねー」

「わかる、ほんとあっという間だった」

「言われてみれば一番記憶に残ってない時期かもな―」

「そう?あんまりわかんない」

「それは麻衣はずっとぼーっとしてるからだよ」

 加奈の言葉に私と愛理がうんうんとうなずいた。

「でもさっきも言ったけど本当に麻衣化が進んでる気がする」

「私もそれ感じるー。だらけることが最優先事項になってる」

「恐ろしき麻衣」

「いや、私のせいなの?」

不満そうな麻衣に三人で「まぁね」というと不貞腐れように頬を膨らませた。


 修学旅行もいよいよ明日になったが加奈と愛理が泊まりに来ていた。

「みなさん、お話があります」

 昨日うちに泊りを来ることを急に提案した加奈が変な口調で切り出した。

「明日修学旅行なのにー?」

「なんの話なんですかー?」

 なぜかノリノリな麻衣と愛理が答えた。変なテンションにおいて枯れた私は普通に聞いてみた。

「それでなんの話なの?」

「んんっ、実はこの学校には卒業までにやらなければならないことがあります」

 咳払いしていつものテンションの加奈に戻って話し始めたのは研究のことについてのようだ。

「うん、あるけど。それがどうしたの?」

「三年に主なことをやるとはいえこの二年である程度の土台を作っておく必要があります」

「まぁ早い人だと二年で八割くらい進めちゃう人がいるって言ってたもんね」

「そうです。そしてこの学校は農家の子供が多いのでほとんどの生徒があっという間に研究内容を決めてしまいます」

 専門クラスの友達たちは早々に準備に取り掛かっているという話は私も聞いていたし、学校で作業をしているのはよく見る光景だった。

「しかーし私たちはそれぞれ案を考えたりしていたりしていましたがそれ以上のことを一切してませーん」

「うわー」

「た、たしかにそうかも」

「だからそのテンションなんなの?」

 三人のテンションはともかく内容は言われてみればそうだった。周りの友達もやることを決めている人が増えてきていたのでたしかにそろそろ本気で考えないとまずいかもしれない。

「それで私は一つ妙案を考えたんだけど」

「ふむふむ」

「聞かせてみて」

「うん、みんなでカフェを作ろうかなって」

「また急だね」

 もう変なテンションなのにつっこむのはめんどくさいのでそのまま話詩をつづけた。

「いや、もうなんか一人でやるのはめんどくさいじゃん、でも四人全く同じ内容だとだめじゃん。でもカフェを一から作れば四人でやること分けられるからいいんじゃないかなって」

「でも作ってどうするの」

「私たちの就職先にすればいいんじゃない?それか誰かにやってもらってもいいし」

「でも飲食店やるならめんどくさいこと色々あるんじゃない?」

 あんまり詳しくは知らないがなにか資格関係のめんどくさそうなものは多い。なによりお金だったり管理をどうするかの問題がある。

「そこは問題ないはず。研究のことなら学校は協力してくれるだろうし何より私たちには心強いスポンサーがいるから」

「なるほど」

 愛理がいればたしかに何とかなりそうな気がしないことはないが、思いっきり利用するつもりらしい。当の愛理は特に気にしていなくむしろ乗り気なようなのでこの辺は二人の信頼関係がなせる業なのだろう。

「それでどう?」

「まぁ、面白そう」

「たしかに、それで研究は終わるなら」

「だよねー、ただそれ以外は何も決めてないし何しなきゃいけないかわからないんだよねー」

「うん、だと思った」

 加奈の話の感じからしてそんな感じはしていたのでうなずいた。

「だからとりあえず明日の修学旅行でおしゃれなカフェを見て回って参考にしよー」

「まぁそれはいいけどどれくらい自分たちでやるの?」

「うーん、建物を建てるところからかな?」

「まじ?」

 加奈がケロっというが麻衣は想像より大変そうになりそうなのを感じて変な声を出した。

「それはだいぶ大規模な計画になりそうだね」

 いろいろなことを任せれることになりそうな愛理がいるいる想像しながらつぶやいた。

「まぁ、楽しそうではあるよね」

 みんなでどんなカフェにするか考えたり実際に作ってみるのを想像してみると意外と楽しいそうな感じがしてきた。

「それじゃあ早速行けそうなおしゃれなカフェを調べてみよー」

 明日も朝早いが今日の夜も長くなりそうだなぁと感じつつ「おー」と返事をした。

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