第七十二話
二年生になって一年生と授業の形態が変わってきた。まずはクラス内で理系と文系で別れる授業が出てきた。私たちのクラスでは私、麻衣、加奈、愛理が理系で早霧ちゃんや凪ちゃんが文系を選んだ。実習は一年の頃から少し減った。やる内容もクラスのみんなが農業と畜産を選んだので一年の頃と同じように班が組まれて実習をすることになった。
「でも結局二年生でも専門科目あるから大変だよね。」
「専門系に進む子の方が多いからね。むしろ私たちの方が異常。」
「まだ二年生だよー。もう少し気楽にいこーよー。」
放課後、私と加奈と愛理という三人で話していた。今日はそれなりに早く学校が終わったので三人で町に出てきていた。
先日音連れたばかりのお店に入るとお店の制服姿の麻衣がいた。
「本当に麻衣が働いてる!」
「もう来たの?」
「来るって言ったじゃん?」
「それにしても早くない。私まだ出勤三回目なんだけど。もうちょっと慣れてから来てほしかった。」
「まぁまぁ、いいじゃん。二人とも早く見たかったらしいから。」
「まぁいいけど。それでご注文は?」
「じゃあ麻衣のおすすめでー。」
「おすすめって言われても何が好き嫌いはないの?」
「このメニューの中には無いから大丈夫だよ。」
「それじゃあ、、、、」
麻衣に決めてもらった物を頼んで奥に入って席に座った。
「おしゃれなお店だねー。」
「だよね。制服もかわいかったし。」
「それにしても麻衣がバイトなんてねー。よく由宇はオーケーしたね。」
「うん。毎日のように行くなら嫌だったけど週に一回ぐらいだからね。私も気分替えに来れるし。」
「麻衣がバイトの時は毎回来てるの?」
「ううん。今日が初めてだよ。普段は家でお留守番してる。でも最初は行こうとしたんだよ。」
「でも行かなかったと。なんで?」
「いや、いざ学校終わって一人で行こうって思うとめんどくさくなっちゃった。」
「たしかにここにきてもずっと麻衣と一緒ってわけじゃないもんね。」
「それにしても二年生になってだいぶ時間割変わったよね。」
「本当それねー。数学と理科の占める割合がすごい。」
「特に一年の頃は社会科目が多かったから余計ね。」
「なんでこんなアンバランスなの?」
「使わない社会科目を二年生以降にやるのも大変だからね。まだ理科の方が理系っぽいからだって。」
「でも結局二年生で使わない理科習うから変わんないよねー。」
「まぁでもここから選べるって思えば理系的には楽だよね。」
「でも数学二つに理科三つは大変だよね。空いたなんて数学化学数学体育専門科目だよ。頭がパンクする―。」
「でもこれでも専門科目がある分普通の高校よりかは授業が少ないよ。」
「どっちがいいんだろうね。」
「普通の大学進むなら断然こっちは不利だよね。前提が違うから。」
「そうなの?」
「他のクラスの子の多くは卒業したら就職の子が多いでしょ。もちろん大学に行く子もいるけどほとんどは推薦だよ。とくにこの学校は部活も盛んだからね。」
「あー、なるほど。でも理系の方が多いのは意外だったな。」
「専門科目が結構理系に寄ってるからね。」
「言われてみればあの辺ってほとんど化学とか生物だもんね。」
「そうだよねー。でも入試にその専門分野が出るわけじゃないから結局勉強ちゃんとしなきゃだけどね。」
「うーー。」
残ったパンを口に入れながらうなった。
「由宇は大学行くんだよね?どこ行くとか決まってるの?」
「そうだけど特に決まってないんだよね。やりたいことも特にないし。」
「この時期にやりたいことが決まってる人の方が珍しいよ。私も決まってないもん。」
「でも行きたい大学は決まってるんでしょ?」
「なんとなくね。」
「いいなぁ。」
「どうしたの?」
進路に目途が立っている二人を羨ましいと思っていると麻衣がやってきた。
「どうしたの。さぼり?」
愛理が聞くと麻衣が苦笑いして答えた。
「違うよ。休憩時間になったから来たの。それで何話してたの?」
「進路のこと。」
「もう?気が早くない。」
「麻衣は決まってる?」
「特に。行けるところに行ければいいと思ってる。」
「なんも決まってないってことだね。」
「まぁこれから決めていけばいいし。」
話しているうちに麻衣が「そろそろ戻る」と仕事に戻っていった。
「二人は同じ大学目指すと思ってた。」
「うーん。特にそのことを話したことなかったからわかんない。私はそもそもこっちに起ころかも決めてないし。」
「そっかー。由宇は地元はこっちじゃないもんね。」
「麻衣なら全然ついていきそうだけどね。夏休みとかにオープンキャンパスとか行けば決まるんじゃない。」
「そうそう。やりたいことがないなら場所で決めちゃえばいいし。」
「そうだよー、それよりもっと明るい話しをしようよー。進路なんてまだまだ先なんだし。せっかく町に来たんだから買い物してこー。」
「そうだね。そろそろ行こうか。」
「はーい。」
仕事している麻衣に手を振ってお店から出て三人で買い物に向かった。
夜、放課後に話していた話の続きをしていた。
「麻衣はなんか大学にこだわりとかあるの?」
「特に。できるだけ私の頭で入れるところがいい。」
「やっぱせっかくなら一緒のところがいいよねー。」
「なにか迷ってるの?」
「何も決まってなくて迷ってる。そもそもこっちに残ろかもわかんないし。」
「私は別にからここから出てもいいよ。」
「んー、でもだからと言って行きたいところなーい。」
ベットに座っていた麻衣に抱きつくと頭をなでてくれた。
「はいはい。じゃぁ私が行きたいところ考えとくよ。私がいけるところなら由宇も行けるでしょ。」
「それは余裕で。」
「それはそれでむかつく。」
そういうと麻衣が急にほっぺたをつねってきた。
「うー。いたーい。」
「まぁとにかくこれから二人で決めていけばいいよ。」
「ふふー。」
「急に笑ってどうしたの。気持ち悪い。」
「ひどっ!いやぁ麻衣が頼りになるなぁって。」
「ほら、早く寝る仕度しなよ。」
「ぐへっ。」
急に麻衣が立ち上がるので寄りかかっていた私は頭から落ちた。
「ひどい。」
「しょうがないな。はい。」
麻衣が手を差し出してくれたのでつかんで立ち上がった。
「おはよー。」
「おはよー。どう?進路について何か決まった?」
学校に着くと私の顔をみて加奈が何か感じ取ったのか聞いてきた。
「うん。まあねぇ。」
「そっか。それは良かった。」
「おおよそ麻衣が決めてくれたんだろうね。」
加奈と愛理が話してうなずいていた。
「よくわかったね。」
「まぁ由宇はなんだかんだで優柔不断だからね。」
「そういう大事なところは麻衣が決めてそうだったから。」
「よく見てるねー。」
「由宇は結構わかりやすからねー。」
とりあえず心配していたことは消化してすっきりしたので「よしっ!」と気合を入れなおして教室の中に入った。




