番外編2
今回は夏休みの終わりあたりの話です。もうちょっと詳しく書いてもいいかなぁって思ったけどとりあえず一話完結でまとめてみました。
夏休みのある日に、加奈に招集を受けていつもの六人は私の家に集まっていた。
「みんな集まってくれてありがとねー。」
「んー。」
夏休みとは言っても私たちのクラスは学校で夏期講習があるので登校していた。みんなダラダラとアイスを食べたり冷えたジュースを飲んでいた。
「それにしても暑くない?北海道だと思えない。」
「暑い。二学期からは長袖だと思ったけどこの調子だと全然半袖だ。」
「溶けるわー。」
みんなそれぞれごろごろしている中加奈が花字をつづけた。
「ここにいるみんなには私のお手伝いをしてもらいまーす。」
「えー。」
「やる気ないねー。」
暑さのせいか皆加奈の話に対する文句にも気持ちがのっていなかった。
「それでお手伝いって何するの?」
加奈に一番重要なことを聞いた。
「学校紹介の動画を作るらしいんだけど、その一部を任せられたの。そのお手伝いだね。」
加奈の話によると生徒会で作っている学校紹介動画があって、その中に私たちの座学系のコースの紹介動画も欲しくてクラスの委員長の加奈に話が来たらしい。
「へー、それでどういう動画にするの?」
「何も決めてない。他のコースはそれぞれの特徴があるからネタが思いつきやすいけど、うちらは結構普通のコースだから孫案いネタがないんだよね。」
加奈が「だから生徒会も困って私に押し付けたと思うんだよねー。」と、うなっていた。
「それでみんなに案を考えるのと、動画の出演者になってほしいの。」
加奈が「どう?」と聞くとみんないいんあじゃない、と軽い感じでうなずいた。
「とはいってもどういう感じにするかは決めないとだよね。」
「うん。二学期始まったら提出したいから。」
「まぁ夏休みは特にすること無いから大丈夫じゃない。」
「参考に動画サイトに載っている学校紹介の動画見てみるか。」
それぞれ携帯を取り出して参考になりそうなものを探してみた。
「うーん。結構無難な感じなのが多いね。」
「こっちは結構面白いよ。ゆるキャラみたいなのが出てきてる。」
「この学校は映像は普通だけど編集がすごいよ。」
「編集かー。。誰かこういうの得意な人いる?」
加奈が聞くとみんな「パソコンは無理。」「完全に守備範囲外。」「、、、」と誰一人出来なさそうなので他の方法を考えることにした。
「ダンスやってるところもあるよ。」
「ダンス?あー、CMで見るような感じのやつね。」
愛理が見つけたのは学校中を駆け回りながら数人の生徒が走ってたり踊ったりしていた。こういうプロモーションビデを恋愛ソングとかでよく見る。
「でもみんなダンスやったことある?」
早霧ちゃんが聞くと愛理だけ「小さいころちょっと習ってた。」と答えて他のみんなは首を振っていた。
「でもこの動画の感じだと踊ってるのってちょっとだけだよね。教室回ったりイベントの写真をコマ送りにしてたりするから。」
たしかにもう一度見返すと踊っているの二割ぐらいしかなくそれも簡単な動きが多かった。
「これぐらいならできそう?なのかもね。」
「まー、練習すればできるのかな?」
「でもこれも結局編集は必要だよね。音楽とか写真も使うわけだから。」
麻衣に指摘されると加奈は「うん。そうなんだよね。」と少しうなって
「まぁそこは私が何とかするよ。演劇部とかの友達に協力してくれるか相談してみるよ。」
「写真は今まで撮ったの使えばいいよね。あとは音楽とダンスとどこで撮るかだよね。」
「音楽とダンスは経験者の愛理に任せるよ。撮影場所は明日の講習の後に学校を回って決めようか。」
「それはいいんだけど、音楽とダンスってどんな感じがいいとかあるの?」
ダンスの内容を考えることになった愛理が加奈に聞いた。
「できるだけ明るい曲で。それ以外には特には要求はないかなー。三日ぐらいあれば決まる?」
「多分。やってみるよ。」
「それじゃあ私たちは動画の攻勢を考えよー。」
そんなことで私たちの夏休みのお仕事が始まった。
「まずは撮影場所からだね。」
次の日、講習が終わったら愛理以外で集まった。
「取り合えず教室は確定だよね。後は実験室と一応実習場所も撮った方がいいかな?」
「そうだね。私たちも実習はしますよー、みたいなアピールは必要だよね。」
「後は学食と寮とか?」
みんながどんどん案を出していく中で一つ疑問に思ったので質問してみた。
「そういう共同な施設って入れすぎたら他の紹介動画と被んないかな?」
「たしかに。さっき見たのにまた学食だよとか思われちゃいそう。」
「あー、それなんだけど。」
加奈が言いづらそうに話し始めた。
「それじゃあ加奈ちゃん動画は順調にできそうだね。」
「そうですね。友達にも協力してもらって何とか。」
「さすが仕事が速いねー。」
加奈は生徒会の人と講習の前に話していた。
「一年生の中で一番頼りになるよー。」
加奈は交友関係が広いのでもちろん生徒会の人たちとも早い段階で仲良くなっていた。この先輩とも他の一年生より親しいので何かと頼られることがあった。
「それじゃあついでに共用スペースも任せていいかな?どこにやってもらうか悩んでいたんだよね。」
と頼られてしまったので加奈も断ることができずに
「わかりました。」
と、ついつい引き受けてしまった。
「ってこと。」
「なるほどね。この動画って全部一年生が作るんだね。」
「まぁ一年生が一番暇だからね。隔年で作り直してるんだって。文化祭とかのまだやっていないイベントの写真とかももらってきたからこれで作っていこ!」
「おー!」
「とはいってもダンスの完成を待ってからだけどね。」
結局期限通りの三日後に愛理から連絡が来て集まった。
「この歌で行こうと思う。ダンスはこんな感じで。」
愛理があらかじめ録画していた動画を見せてくれた。
「おー、いいんじゃない。後はこれを練習して撮影だね。」
「どれくらいで踊れるようになるかな。」
「ちょっとずつやっていけばいいよ。」
「だねー。」
それから家だったり愛理の家の広いスペースでみんなで練習を始めた。
「意外と難しいね。」
「というかあの二人はなんであんなキレキレなの?愛理はまだわかるとして由宇はダンス経験ないんだよね。」
麻衣が言うのでみんな見ると愛理に教えられながら踊る由宇がいた。
「すっごい。由宇は運動神経いもんね。」
早霧が言うと凪が確かにとうなづいた。麻衣自身は運動神経はたいして良くないけどリズム感はそれなりにあるので人並みにはできているので満足しているけど、凪と愛理は運動部なだけあって覚えるのも早く動きにキレがあった。加奈は何でもそつにこなすので二人と遜色ないぐらい踊れている。
「もっと練習するかぁ。」
「急にやる気出してどうしたの?麻衣にしては珍しい。」
「人に見られるものだと思うとみんなと同じぐらい踊れるようにしておきたい。」
「十分踊れてるけどねー。」
「でも確かにいろんな人に見られると思うとかっこいい方がいいよね。」
凪もやる気を出したので麻衣はうなづいて練習を再開した。
家に帰ると練習をやりすぎたせいか疲れが押し寄せてきた。
「麻衣ー。洗濯もの出して―。」
「なんで由宇はそんなに元気なの?」
一番踊っていたように見えた由宇は家に帰ってもピンピンしていて家事をこなしていた。
「疲れてるけど楽しくて。久々に体動かしたけどやっぱいいよね。」
もともと運動部で結果を残しているだけあって根っこは運動系の由宇らしい。
圧倒的に体力が少ない麻衣としてダンス自体は楽しいけど体がついてきてなかった。
「はい。よろしく。」
洗濯ものを渡すと「かしこまりー。」と洗濯機に行ってしまった。
ご飯を食べ終え、お風呂に入った後も疲れが抜けずにベッドの上でうなっていると由宇が声をかけてきた。
「まだうなってるの?」
「疲れが蓄積してる。」
「それじゃあマッサージしてあげるよ。中学の頃部活でよくしてもらってたししてたから。」
と言って麻衣の上に乗っかってきた。
「うぐぅ。重い。」
「うそー。重くないよー。それより動かないで。」
うつ伏せで寝ている麻衣の上に由宇がのっかって足を揉み始めた。
「痛っ!」
「ほら、あんまり動かないで。」
「むりむり。めっちゃ痛いんだけど。」
華奢な由宇の腕からは考えられないほどの力でマッサージされるので悲鳴が止まらなかった。
「も、もうちょっと優しくして。」
「優しくしたら意味ないじゃん。」
「むしろこの痛さが悪影響だよ。」
「そう?しょうがないなー。」
麻衣の必死さが伝わったのか流石に由宇も力を弱めてくれた。
「はい。終わり。」
「うん。ありがと。」
心なしか体が軽くなったような気がした。
「それにしても麻衣は本当に体力がないねー。」
「別に困んない。」
「現在進行形で困ってるけどね。それで社会人に萎えるか心配だよー。すぐ過労で倒れそう。」
そういわれるとホウン等にそうなりそうなので言い返せずに「んー」と言っていると由宇が
「これからはたまに一緒に運動しようか。」
と提案してきた。
「やだ。」
「んー。気が向いたらでいいからさ。」
「考えとく。」
由宇はなんだかんだ麻衣が嫌がることは強制してこないのでそういうところも好きだけど、今回は由宇の言うことがもっともなので考えとくことにした。
「夏休みは結局みんなと会ってるね。」
「夏休みなはずなのに全然家でゆったりできない。」
「麻衣はいつも家でゆったりしてるじゃん。」
由宇がおかしそうに笑いながら笑っているのでついつい麻衣も笑って抱き着いた。
「もう。急にどうしたの。」
「いや、こういうのも高校生っぽいのかなって。」
「層かもね。夏休みに学校に行って皆で何かするっていいよね。私休みの学校好きなんだよね。」
「なんで?」
「いつものにぎやかな学校と違って音が遠い感じがするじゃん。人が少ないから遠くで部活やっていると音だったり会話の声が聞こえたりする感じ。白い雰囲気って感じがして好きなんだよね」
「まぁ人少ないから音が響くよね。白い雰囲気って?」
「アニメとかでたまにあるじゃん。なんか背景から白い光が差してくる感じ。」
由宇が頑張って説明してくれるけどわかったようなわかんないような感じがしたけどとりあえずうなづいた。
「とりあえず明日からも頑張ろうか。」
「うん。」
体はほぐれたけど疲れはあるのであっという間に眠ることができた。
それからは練習をしては撮影する日々が始まった。
「それじゃあやってみようか。」
演劇部の人達と協力しながら撮影をしていった。教室で授業を受けてる風景や実習している感じを撮ってはちょいちょい間にダンスを挟んで撮影をしていた。
「この感じだと由宇と愛理を中心にした方が映えそうだね。」
加奈が映像を確認しながら調整を繰り返した。
大体一週間かけてようやく映像が完成した。
「お疲れー。完成だよ!」
と加奈が言うとみんなから「ふー」「疲れたー」と声が上がった。演劇部の人たちには撮影とエキストラを手伝ってもらったので結局常に二十人ぐらいで撮影をしていた。
「生徒会から差し入れでーす。」
タイミングよく生徒会の人たちが来てアイスとおにぎりを持って来てくれた。みんな疲れておなかが空いていたのであっという間に飛びついた。
「それじゃあ早速できた映像をみんなで見てみましょうか。」
そういって手早くプロジェクターを用意していた。
「楽しみだね。」
アイスを持った由宇が近づいてきていうので「うん」とうなずいた。
「いつの間に麻衣そんなに持って来てたの?」
麻衣の手元にはおにぎりが四つとアイスが置かれていてそれを見た由宇が驚いていた。
「疲れたから。エネルギー補給。」
「もう。そんな食べて家でご飯食べられなくなっても知らないよ。」
由宇としては夜ご飯の心配をしているようだった。
「うん、大丈夫だよ。」
と麻衣は力強くうなづいた。麻衣としてはどんなにおなか一杯でも由宇のご飯ならいくらでも食べられる自信があった。いつも由宇のご飯を食べられるのは一緒に住んでいる麻衣だけの特権で、麻衣にとっては由宇と一緒に由宇のご飯を食べる時間は何よりも大切に感じていた。
「あっ、始まる!」
動画が始めると軽快な音楽から麻衣たちが一週間かけて撮った映像や写真をうまくつなぎ合わされていた。
動画が終わると拍手が起きたり「すごかったねー。」と声が聞こえてきた。
「これはかなりいいのができたんじゃない?」
由宇が満足そうに聞いてきてので
「そうだね。」
と答えた。麻衣も最初に加奈に話を聞いたときに想像したよりもずっと大作ができたので満足していた。
「由宇のダンス凄かったね。」
「でしょー。すごい楽しかったな。」
由宇はこの一週間を思い出すようにつぶやいた。
「これで夏休みもほぼ終わりだね。」
「だねー。後は家でごろごろして終わりかね。」
「うん。だけどもう一回ぐらいどっかに遊びに行ってもいいかもね。」
「そういうことなら今度花火祭りがあるよ。」
近くで話を聞いていた加奈と愛理も話に混ぜってきた。
「花火祭り!いいね。」
由宇がテンション上がっているのを見て
「それじゃあ夏休み最後はそれで決まりだね。」
と言うと嬉しそうにみんなうなづいた。




