第六十七話
朝ご飯を食べて釣り堀に移動するとそこそこにぎわっていた。
「それじゃあみんなで勝負だね。」
「勝負ならなんか賭けようよ。」
「何にする?」
「まぁ釣りながら考えればいいんじゃない?」
とりあえず道具を持って移動した。
「この辺でいいかな。」
「えっとー、先の針に餌を着ければいいの。餌はどれ?」
「これだよ。」
加奈が早霧ちゃんに餌箱を渡した。
「ひっ。なかなかに見た目だね。」
中にはブドウムシと呼ばれる虫が入っていた。早霧ちゃんはひーひ―いいながら針の先に着けていた。
「なんか愛理が喜びそうだね。食べちゃダメだよ。」
「ひどいよ麻衣。私そんなにはしたない子に見える?」
「見える。」
「うー、ひどい。」
「魚じゃなくて愛理が釣れるかもね。」
「由宇までひどいー。加奈ー、二人がいじめてくるー。」
「はいはい。泣かないの。」
加奈が雑に愛理をなだめていた。
「それでここは何が釣れるの?」
「ニジマスとかヤマメとかだって。」
「あれ?もう私のこと無視してる?」
ずっと加奈に寄りかかっている愛理を無視して話を続けた。
「由宇は有利そうだから班でつけようよ。」
「なんでよー。」
「静岡の人って釣り上手そうじゃん。得点半分とかどう?」
「さすがにむりだよ。そもそも私釣りなんてほぼしたこと無いし。」
「そうなのかー。じゃあハンデはなしだね。」
話をしながら始めると数分でみんな連れ始めた。
「おー、釣れたよ。」
「私も!結構簡単に釣れるんだね。」
みんなが釣れ始める中私の竿だけは一切反応がなかった。
「なんか全然つれないんだけど。」
「あれー由宇は連れてないの?」
「ここの釣りは結構簡単らしいよ。」
「凪ちゃんと愛理はお昼ご飯この虫ね。」
「ぶーぶー。」
「由宇が負けたら一緒に食べるんだよ。」
「自分たちが食べるのはいいのか。」
と麻衣が突っ込んだ。
嫌味を言ってくる二人に言うとブーブー言いながらも釣りあげていたので私も頑張って二人に勝てるように集中し始めた。
「そろそろ終わろうかー。」
加奈の掛け声でみんながぞろぞろ引き上げ始めた。
「それじゃあ何匹釣れたか発表していこうか。」
それぞれバケツの中に入った魚の数を数えて発表した。麻衣と凪ちゃんが五匹、早霧ちゃんと愛理が六匹、加奈が七匹で私が二匹だった。
「結局由宇がビリかー。」
「ハンデいらなかったね。」
これ見よがしにからかってくるのでデコピンをして黙らせた。
「罰ゲームは何にしようか。」
「お昼ご飯作るのと片付けでいいんじゃない?」
加奈が提案すると他の人が「まぁいいんじゃない。」「もうちょっとkびしくてもー。」と言っていた。もともとお昼ご飯の担当は私だった気がするけどそこは加奈の優しさだろうから黙ってうなずいた。
釣りあげた魚をお昼ご飯分だけ持って帰って準備を始めた。
「麻衣はみんなと行かないの?」
「うん。手伝う。」
他のみんなは川で遊んで温泉に入りに行くらしくさっそくそっちに行っていた。
「由宇は魚さばけるの?」
「うーん。とりあえず見様見真似でやってみるよ。」
何回か見たことはあるけど自分ではやったことないので調べながらやることにした。
「じゃあ麻衣も手伝って。一緒に鱗取って。」
持っていた魚の鱗を取って腹を開いて内臓を取った。
「うげぇ。」
「袋に入れて固く縛っといて。」
処理が終わった魚は焼くために串刺しにして、残った魚はご飯と一緒に炊くことにした。
「後は待つだけだよ。ありがとね麻衣。」
「うん。」
「キャンプ楽しかった?」
「うーん。まぁまぁかな。」
「そうか。」
「でもみんながいたから楽しかった。」
「たしかに。大切だよね。」
「たまにならいいかも。」
もともとインドアなので積極的にするのは無理そうだけど確かにたまになら楽しめそうだ。そんなことを話しながらご飯ができるまで麻衣とゆっくり過ごしていた。
「由宇―。麻衣ー。起きて―。」
声をかけられて目を開けるといつの間にかみんなが戻ってきていた。
「おはよ。ご飯どうなったの?」
「あっ!」
急いで確認するとちょうど食べごろになっていた。
「あっ危なかったぁ。」
「んー。」
慌てる私の横で麻衣が寝ぼけながら目を覚ました。
「みんな戻ってきたんだ。」
「二人ともぐっすりだったよ。」
早霧ちゃんが寝ている私たちの写真を撮っていて見せてくれた。私たち二人が支えあうように寝ていた。麻衣が「今日は早起きだったから。」とつぶやいた。
「それじゃあこれも焼こうか。」
串刺しにした魚を焼き始めた。焼きあがるまでにできた炊き込みご飯をよそってみんなに配った。
「それじゃあいただきまーす。」
「おいしー。」
「やっぱ由宇に任せてよかったねー。」
「こっちも焼きあがったからたべよ。」
みんながおいしそうに食べてくれるので一安心した。自分でも満足する出来なので味わって食べていた。
「あー、帰りたくない。帰ったらまた部活だよ。」
凪ちゃんが名残惜しそうに言った。
「かえってベッドで寝たい。」
「わかる。部屋でゴロゴロした。」
とインドア組が言った。
「もー、キャンプ楽しくなかったの?」
「いや、楽しかったけど快適さは家にはかなわないよね。」
「それはそうだけどー。」
凪ちゃんがほほを膨らませていうとみんな笑っていた。
「またくればいいよ。いつかはわかんないけど。」
「だよね!また絶対来ようね。」
「いつかねー。」
話しながらご飯を食べていた。
食べ終わった後は結局みんなで片づけをした。料理道具を洗ったりテントを片付けなきゃいけないのでみんなが手伝い始めた。
「それじゃあ帰ろうか。忘れ物はない?」
「大丈夫。」
車に乗り込んで確認をして出発した。帰りの車ではみんなぐっすりだった。私はさっき寝ちゃったから目が覚めていたけど麻衣はそんなこと関係なく寝ていた。
結局加奈と私以外は家に着くまで寝ていたので二人でずっと話していた。
「ほら麻衣着いたよ。」
「んん。」
寝ている麻衣を起こして荷物を持って車から降りた。
「送ってくれてありがとね。」
「それじゃあまた今度。」
「ばいばーい。」
まだ車に乗ってる四人に別れを告げ家に帰った。
「ほら、洗濯するから荷物片づけて。そしたらお風呂入っちゃいな。煙臭いよ。」
「うん。」
まだ寝ぼけながら麻衣が着替えを洗濯機にいれて風呂場に向かっていった。麻衣がお風呂に入っている間に洗濯を済ませ、入れ替わりで私もお風呂に入った。
お風呂から出ると麻衣が着替えの途中でベットの上に力尽きていた。
「もう。風邪ひくよ。」
声をかけても起きそうな雰囲気がないので起こさないように服を着させてあげた。
「まぁ麻衣にしては頑張ったほか。」
インドアで普段からのんびり屋な麻衣にしては随分活動的な二日間だったので疲れが一気に来たのだろう。
「お疲れ様。おやすみなさい。」
麻衣に声をかけて私も布団に入り込むとすぐに眠気が襲ってきた。




