第六十六話
温泉から上がると夕焼けがきれいだった。
「いい景色だね。」
「せっかくだし写真撮っとこ。」
「それじゃあ始めようか。頼んだよ由宇。」
「とりあえず道具を組み立てようか。」
焚火で火をおこしたり、バーべーキューで使うような網焼き台を取り出して準備をした。
「結局カレーでいいの?」
「うん。よろしく。」
「ちゃんと手伝ってよね。」
「わかってるよー。」
洗ったお米を入れた飯盒と、切った野菜とお肉と水を入れた鍋を焚火にかけた。
カレーとご飯ができるまではみんなで話していた。
「そろそろできるんじゃない?」
「じゃあ、できる前にいろいろ焼き始めようか。」
クーラーボックスに買ってきた食材が入っているので取り出した。
「こんなに食べきれるかなぁ?」
「まぁ余ったら持って帰ればいいよ。」
カレーにある程度使ったけどまだたくさん余っているので加奈と心配していると
「大丈夫だよ。」
「うん。お腹空いたから一杯食べるよ。」
と運動部の二人組が自信満々に言った。
「この三人がいれば大丈夫だよ。」
麻衣の方を見ながら愛理が笑った。
「それじゃあ凪ちゃんと早霧ちゃんと麻衣はカレーを任せた。私たちはこっちをやろうか。」
火をつけてその上に網を置いて買ってきたフランクフルトやお肉を並べた。
「あー、おなかすいた。」
「カレーいい感じじゃない?」
出来上がった料理をお皿に盛り付けて机の上に置いてくれた。
「みんなで分ければ意外とこんなもんなんだね。」
「それじゃあ食べようか。」
「「いただきまーす。」」
ご飯は飯盒に慣れてないせいかちょっと固かったり柔らかったりしたけどカレーは申し分ないぐらいおいしくできていた。
「さすが由宇だよ。おいしい!」
「ね。思ったよりおいしくできてよかったよ。焚火汚秀作るのって元雄難しいと思ってたけどこれぐらいならいろいろできそうだよ。」
焚火の日は常に一定じゃなくて風が吹いたり木の感じで強弱が変わった来るので調整が少し大変だったけどこの出来なら成功で間違いない。
「やっぱ外で食べるとおいしいよね。」
「お肉も焼けたよ。どんどん食べよ!」
食べ始める前は多すぎるかもと心配だったけど気が付けば買ってきた食材のほとんどを食べつくしていた。
「あー、おなか一杯。」
「凪は食べすぎだよ。」
大半は食いしん坊の三人が食べたけど気づいたら私もいつも以上に食べていた。
「もう眠いよ。」
「まだ八時前だけどね。」
周りにある光は他のキャンプしている人たちの光ぐらいなのでそれなりに暗くなってきていた。
「とりあえず先に片付けしちゃおうか。」
「だね。」
使い終わった食器や鍋を近くの水道で洗って、出たごみを一か所にまとめたりして一通りの片づけが終わった。
「キャンプは楽しいけどそれなりに人数がいるね。」
「慣れてないからやることが多く感じるよね。」
道具を持って移動して、テントを立てて料理をしてやることがとても多く確かに一人とかだとかなり大変そうだ。
「ソロキャンとかはだいぶ上級者になってからじゃないと無理そうだね。」
「一人とか暇そうだよね。寂しくなっちゃいそう。」
「まぁ凪ちゃんは無理そうだよね。ウサギみたいに寂しくて死んじゃいそう。」
凪ちゃんが「そんなことないもん。」というとみんなが笑っていた。
「四月から二年生だね。」
「一年あっという間だったけど、二年になってもクラス替えがないからそんなに変わんないよね。」
「そうだけど気分的な問題?もう高校生活半分なんだっていう。」
「まぁ言いたいことはわかるけど。」
「このままあっという間に三年生になって大学生を過ごし、気が付いたらおばあちゃんに。」
「それはさすがに気が早いよ!」
加奈がしみじみというと早霧ちゃんが笑いながらつっこんだ。
「まぁそれは冗談として二年生は修学旅行もあるしね。研究も始まるし。」
「修学旅行あるじゃん。楽しみだなぁ。」
凪ちゃんが言いながら「ふぁ」とあくびをした。
「そろそろ寝ようか。明日も遊ぶし。」
「そうだね。向こうで歯磨きしようか。」
水道に行って皆で歯磨きをしてからテントの中の寝袋に入った。
「意外と暖かいね。」
「寝返りが打てない。」
麻衣がもぞもぞしながら体勢を変えていた。
「それじゃあ明かり消すね。」
「うん。おやすみ。」
明かりを消すとみんな疲れていたのかあっという間に眠りについてしまった。
「あれ、今何時だ?」
目が覚めたので携帯で時間を確認すると三時前だった。
「みんなは、、、寝てるよね。」
当たりを見渡すと暗いので顔をはあんまり見えないけど寝息が聞こえるのでぐっすりのようだ。
「どうしようかな。すっかり目が覚めちゃった。」
とりあえずみんなを起こさないようにゆっくりと入り口を開けて外に出た。
「うわぁ。」
外に出るとさっきまでと違い人の気配が一切なくて、月と星の明かりだけが輝いていた。
「すごいきれい。」
とりあえず寒いので火を起こしてお湯を沸かした。椅子を取り出してゆっくり星を眺めていると後ろのテントから麻衣が出てきた。
「あれ、由宇?何しているの。」
「目が覚めちゃったから何か飲もうと。麻衣は?」
「トイレ。」
そういって麻衣はトイレに行って戻ってきた。
「コーヒー飲む?」
「うん。」
麻衣も椅子を広げて隣に座った。
「見て麻衣。星がきれいだよ。」
「本当だ。」
麻衣が「せっかくなら月がきれいですねでいいのに。」と小言でつぶやいてた。
「こんなに星がきれいに見えたの初めてかも。」
「家でもこんなには見えないもんね。」
「プラネタリウムみたい。こんな時間に起きたおかげだね。」
「あれ眠くていつも最後まで起きてられないんだよね。」
「まぁ眠たくなる空間だもんね。」
「でも久しぶりに行きたいかも。」
起きてきたときは眠そうにしていた麻衣だったけどすっかり楽しそうに話していた。
「すっかり目が覚めた。」
「コーヒー飲んじゃったからね。」
こういう時はよく眠るためにカフェインはとるべきじゃないけど他に飲み物がなかったのでしょうがない。時計を見ると四時半になっていた。
「あと三十分で温泉が開くはずだから散歩がてら向こうに行こうか。」
私も麻衣も二度寝する感じじゃなくなっていたのでこのまま朝まで過ごすことにした。
丘の上の展望台に行って戻ってくると五時になっていたので温泉に向かった。
「さすがにこの時間は人が少ないね。」
さっき男湯に向かっている人は何人か見かけたけど女湯には私たちしかいなかった。
温泉から上がると建物内にあるお店が開いていた。
「なにこれ、ようかんパンだって。」
「由宇は知らないの?」
「うん。初めて聞いた。」
「ほら、看板に北海道ご当地って書いていあるよ。」
「そうなんだ。給食とかで普通に食べてるからみんな知ってるものだと思ってた。」
「じゃあ私これ食べよう。」
「私はカニクリームコロッケサンド。」
「朝ご飯もあるのに大丈夫なの?」
「歩いて運動したから大丈夫。」
注文すると見た目はチョコパンのようなパンが出てきた。
「見た目は完全にチョコだね。」
食べてみると昔ながらの素朴な味という感じがしておいしかった。
「おいしいね。食べたことないんだけど懐かしい気持ちになる。」
「こっちもおいしい。」
想像よりボリューミーなサンドを食べている麻衣が満足そうに行った。
食べ終えてテントに戻ると加奈と愛理が起きてきた。
「あれ?二人してどこに言ってたの」
加奈が眠たそうに顔をこすりながら聞いてきた。
「温泉に入ってきた。」
「いいなぁ。私も行きたかったー。」
「二人ともぐっすりだったからね。」
ぼちぼち朝ご飯の仕度を始めた。
そのあと寝ていた二人も起きて、みんなで朝ごはんを食べた。網で良く売っているお惣菜のパックサンドを焼いてみた。
「これはおいしいね。」
「焦げた感じがいい。」
みんなおいしそうに食べてくれたので私も満足していた。
「今日はどうするの?」
「釣りしてそのおさかなで昼ごはん食べたら終わりかな。」
「そっかー。そえじゃあここはもう片付けちゃう?」
「んー。それはお昼ご飯食べた後でいいんじゃないかな。」
午後の予定を話しながら朝の時間をゆっくり過ごしていた。




