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第六十一話

「あけましておめでとー。」

「おひさー。」

さっき実家から帰ってきた麻衣と一緒に愛理の家に向かった。まだ年が開けて三日目だけど表の旅館には多くの人がいた。

「明けましておめでとう。いらっしゃい。久しぶりだね。」

ドアが開くと愛理が出迎えてくれた。言っても二週間ぐらいしか空いてないけど、今ではほぼ毎日会っていたのでそういわれると久しぶりな気がした。

「加奈は?」

「もう来てるよ。」

愛理の後に続いて部屋に上がると、中で加奈がくつろいでいた。

「あけおめ。」

「久しぶり。おめでとー。」

「とりあえずお昼ご飯食べようか。」

愛理がそういうと机の上に続々とご飯が並べられた。

「この時期一杯貰い物が来るからどんどん食べてよ。」

たしかに机に並べられた料理は一貫性がなくておせち料理もあればお歳暮とかでよく見るハムに、駅弁まで置かれていた。

「そういえば私も持って来たんだった。はい。」

「ありがとう。さっそく食べようか。」

私が持ってきたのはマグロのお刺身だった。いつもお正月に食べているのだが買いすぎて余ったので持ってきた。

「すごいうれしい。貰い物ってお肉とかおせちが多くて飽きてたからちょうど食べたかったんだよね。」

「私も。愛理の家でお肉がっつり食べるの愛理だけだから全部回ってきてたから私も一緒に食べてたけどそろそろ飽きてきた。」

加奈が「毎年同じものが多いし違うのが食べたくなるよねー。」とつぶやいていたので毎年恒例ようだ。

「いいな、こんなのずっとっ食べられるよ。」

早速麻衣が食べながら羨ましそうに言った。

「まだまだ余ってるから持って帰っていいよ。」

「ほんと?どうする由宇。どのくらい貰う?」

「食べられる分だけにしておいてね。」

興奮している麻衣を見てなだめるように言った。このままだと大量に持って帰って無駄にしてしまう未来が見えたので自重するように促した。

「そういえばこれ。」

麻衣が思い出したようにお土産を渡した。クリスマスに遊びに行ったときに買ったプレゼントだ。

「ありがと。いつのまに行ったんだね。」

「クリスマスに。」

麻衣が答えると二人が「「おー、なるほど。」」と納得したようにしていたので不思議に思っていると

「どうだったの?」

と聞かれたので

「楽しかったよ。」

と答えると二人が「「あー」」と息を漏らした。私が「?」と困惑していると麻衣が答えた。

「満足した。」

「あれ?意外と好感触だったの?」

「うん。」

麻衣の言葉に二人が「そっかー。」と満足そうにうなずいていた。

 「そういえばみんな初詣行った?」

ゆっくりご飯を食べている中愛理が聞いた。全員が首を振って答えると

「じゃあ目的地行く前にちょっと行かない?最近行ってなかったから久しぶりに行きたい。」

私も本当は家族と行く予定だったけど両親ともども年末まで仕事で疲れ切っていたので今年は行かなかった。なのでうなずくと他の二人も「いいよ」と答えたので愛理が嬉しそうにしていた。

 「それじゃあ行こうか。」

一通り出された料理が食べ終わった(半分ぐらいは麻衣が食べた)ので、お手伝いさんが運転する車に乗って近くにある大きな神社に向かった。車で二十分ぐらいで到着して降りると意外と人がいた。

「意外と人いるね。」

「うん。混んでるのって初日だけだと思ってた。」

境内はそこそこの人がいてにぎわっていた。そうはいっても参拝するのに並んだのは十分もかからなかった。この辺のマナーや作法はしっかり畳み込まれている愛理をまねて参拝を済ませた。そのあとみんなでおみくじを引いてから今日の目的の場所に向かった。

 目的地に到着して車から降りると比較的嗅ぎ慣れた匂いがした。

「こんにちは。お話させてもらっていた鳥山です。」

「はい。聞いてますよ。早速こちらにどうぞ。」

愛理が近くにいた人に話しかけた。案内された先にいたのは豚の親子だった。

「こちらの子たちになります。」

「うわー。」

視線の先にはまだ子犬よりも小さい子豚が何匹きもこっちを見て鳴いていた。

「お金をすでにいただいておりますのですぐにお渡しできますがどうやって運びますか?うちで運んでも大丈夫ですよ。」

「車の後ろのケージに入れて行くので大丈夫です。」

「そうですか。それじゃあこれと一緒に連れて行ってあげてください。」

愛理は豚たちの健康などが書かれた資料を受け取った。

「それじゃあ早速連れて行こうか。」

「そうだね。」

私たちが子豚を連れて行こうとすると親豚も子豚も鳴きだした。

「ううー、そんな声出すなよぉ。」

加奈がその様子を見てあたふたしていた。

「まぁいきなり子供取られたら怒るよね。」

麻衣が冷静に言うと加奈が「うぅ。」と腕に抱えている子豚をじっくり眺めていた。

「鳴いてますけど育てる際はどっちみち親と子は話して育てるのであんまり気にせず。」

加奈の様子を見た職員の人が気を使って声をかけてくれた。

「そうなんですか。でも可哀想に見えてしまいますね。」

「もちろん寂しいだろうけど、うまれてからできるだけ人の手で育てて親から離れる時にできるだけ寂しくないようにはしてるから。」

加奈もその言葉で一応納得したようで、渋々だけど車に運び込んだ。

 車に入れて動き出すとはじめはみんな鳴いていたけど少し経つとみんなぐっすりしていた。畑の隣にある小屋に着いた後はみんな探り探りでうろちょろしていたけど安全だとわかると昼寝を始めたり走り回ったりしていた。

「とりあえず安心だね。」

「うん。よかったよ。」

今も加奈がミルクを上げているけど元気よく飲んでいた。これから半年弱かけてこの子たちを育てていくので心配のことも多くあるけど楽しみだ。

「私が頼んだ魚はまだ―?」

「今いい雰囲気だったのに台無しだよ麻衣。」

「なんのこと?」

麻衣が全く何のことかわからないという顔出来てきたのでついつい笑ってしまった。

「もう少し時間かかるよ。設備を整えるのにも魚を買うのにも。」

さっきまで子豚にかまっていた愛理が答えた。

「えー。」

「すぐ来るから我慢してよ。」

「はーい。」

とりあえず今日の目的である豚の受け取りは完了したのでここで解散となった。

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