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第六十話

 「飛行機って本当にどこまで行くの?」

クリスマスイブの朝に私たちは近くの空港にいた。

「これチケット。」

麻衣から渡されたチケットには成田空港行きと書かれていた。

「東京に行くの?本当に?」

「本当に。ほら早くいくよ。」

確かにチケットに書かれている時間だともう搭乗までそんなに時間がないので向かう必要があるけどいまいち状況が呑み込めないでいた。

 結局そこから先は麻衣の指示通りに連れられて飛行機で成田空港に着いた後、バスに乗って目的地に到達した。

「ここだったのか―。」

「うん。せっかく遊ぶならここがいいって書いてあったから。」

「何に?」

「それは秘密。」

長時間の移動でそこそこ疲れていたのでそれ以上には追及はしなかった。着いた先は東京だけど東京にないが結局東京のテーマパークだった。

「久しぶりに来たよ。中学の時に卒業旅行で来た以来かな。」

「私は小学校の修学旅行以来。」

「北海道からだとすっごい遠いもんね。」

「とりあえずホテルの受付。」

麻衣に連れられてホテルの受付をすまして部屋に向かった。

「今日はこの後どうするの?」

「夜ご飯食べに中に入る。」

「中に入るんだね。」

「そう。」

 ホテルをでてテーマパークの中に入った。すでに夕方なので遊ぶのは明日するとして今日は雰囲気を楽しみながらゆっくり回った。

「人いっぱいいるね。」

「うん。あそこで写真撮ろ。」

クリスマスイブなだけあってイルミネーションでパーク内は彩られていて人もたくさんいた。その中を麻衣に引っ張られて大きなツリーの下に行って二人で写真を撮った。

「今日の麻衣はなんかすごい行動的だね。」

「うん。楽しいから。」

いつも以上にはっきり伝えてくれる麻衣に嬉しくなってついつい抱き着いてしまった。

「どうしたの?」

急に抱き着かれて慌てているので離れてから

「いや、私も楽しいよ。連れてきてくれてありがとうね。」

と言うと麻衣もうれしそうに笑っていた。

「うん。でもまだ来たばっかりだから。」

「そうだね。どんどん見て回ろー。」

 そのあとも特にアトラクションに乗るわけでもなく二人で歩いてはお店に入ったり、写真を一緒に撮ったりしていた。夜ご飯はパーク内にある予約できるお店でご飯を食べた。座った席はテラス席で外でやっているショーがご飯を食べながら見ることができた。

「はい、クリスマスプレゼント。」

ご飯を一通り食べ終わってデザートを食べていると麻衣が渡してくれた。

「ありがとー。今開けるね?」

聞くと麻衣がうなずいたのでプレゼントを開けて中を見ると私が前に欲しいと言っていたトートバックが入っていた。

「あっ!これずっとほしかったやつだ。麻衣ありがとうねー。」

「うん。私も色違いでお揃い。」

麻衣も私にくれたやつと色違いのを見せてくれた。

「本当は料理道具とか包丁を渡そうと思ってたんだけど、空港で止められると思ってやめた。」

「思いとどまってよかったよ。すっごいうれしいよ!。」

麻衣からもらったので私もさっき麻衣がトイレに行っている間に買ったお揃いのキャップを渡した。

「じゃあ私もこれ。」

「ありがとう。これさっきのお店で売ってたやつじゃん。」

「うん。もともとケーキを家で作って、遊んだ時に麻衣と一緒に考えてプレゼントを選ぼうと思ってたけどまさかここに来るとは思ってなかったから。これなら明日お揃いで遊べるから。」

当初の予定とはだいぶずれてしまったけどこれはこれで麻衣が喜んでくれたので良かった。

「すっごい大人みたいなクリスマスの過ごし方だね。」

テーマパークでディナーを食べながらゆっくり過ごすなんて思ってもいなかった。

「色々調べてこういうのがいいって書いてあたから。それに私も来たかったし。」

「うん。麻衣に任せてよかったよ。ありがとうね。」

お礼を言うと麻衣は嬉しそうに笑っていた。

 食べ終わった後、再び歩いて回ってはお土産を考えたり、写真を撮ったりして、ホテルに戻った。

 次の日開園に合わせて入れるように少し早く起きた。

「あれ、少し雪が降ってる?」

「晴れてるから風花だね。」

確かによく見ると雪っぽくはなかった。

「はい、今日はこれ着ていく。」

そう言って麻衣からわたされたのは制服だった。

「どうして?というかわざわざ私の分も持ってきたの?」

「これがいいって書いてあったから。」

「だから何に書いてあったの?」

「それは秘密。」

結局麻衣に押し切られて二人で制服と昨日買ったキャップをかぶってホテルを出た。

 外は良く晴れているけど風花が舞っていて周りの人は「雪だー。」「ホワイトクリスマスじゃん」とはしゃいでいた。それにしても昨日以上に周りはカップルであふれていた。今日は遊びつくす予定なのでさっそくアトラクションに向かった。

「さすがに混んでるね。」

「これくらいは想定範囲内だけど、暇だね。なんか食べ物勝ってくればよかった。」

「確かに朝ごはん食べてないもんね。これ乗り終わったら何か食べようか。」

麻衣と話しながら列を並んでいると前の人が急に振り返ってきた。

「よく知ってる声がすると思ったらゆうゆうだ。」

「「あっ!!」」

「のんのんだ。こんなところで会うなんてすごい偶然だねー。」

前には家族と一緒に遊びに来ていた望ことのんのんがいた。麻衣から「げっ」と変な声がした気がしたけど気のせいだろう。

「文化祭に来てくれた以来だね。叔父さんとおばさんもお久しぶりです。」

よく家に遊びに言っていたので両親とも顔見知りだった。「こんにちは。」

「由宇ちゃんね。大きくなったね。」と返してくれた。

「一緒に卒業旅行に来たよねー。あれからまだ一年たってないのにすごい前に感じるよね。」

「わかる。全然会えてないからかもね。」

のんのんが時折麻衣の方を見ながら楽しそうに話していた。

「それよりゆうゆうはなんで制服なの?」

私たちの格好を見てのんのんが聞いてきた。すると黙って話を聞いていた麻衣が答えた。

「二人で制服デート中だからですー。」

のんのんの親がいるせいか微妙な喧嘩口調で答えた。のんのんのお母さんが「あらぁ」と口を押えて驚いたようにしていた。

「ふん。デートって言っても二人で遊びに来てるだけじゃん。」

「そんなことないもん。デートだもん。」

「どうなの、ゆうゆう?」

「「うーん、デートかな?」

二人で来てるしデートと言われればそうなので答えるとのんのんが膨れて「別にいいけどぉ。」と言っていた。

 結局順番を待っている間、二人はずっと張り合っていた。

「いやー、まさかこんなところで会うとはね。」

アトラクションを乗り終わりのんのん達と離れて言うと

「別に会いたくなかったけどね。」

と麻衣が答えた。

「でもずっと楽しそうに話してたじゃん。」

「楽しそうじゃないよ。これからはできるだけ合わないようにせねば。」

「まぁとりあえず朝ごはん食べに行こうか。」

「わかった。あっちに行ったから私たちはこっち行こ。」

のんのん達が歩いて行った方とは逆の方向に麻衣が指さして私の手を引いて歩きだした。

 それからテーマパーク内を遊びまわってると二回ほどのんのんと遭遇したけどそのたびに二人は「きー。」と猫のように威嚇しあっていた。そういえば今回は猫たちは家で暇そうにしていた愛理のところに預けていた。

 パーク内では麻衣はあまり詳しくないということなので私が結構先導することが多かった。家族旅行でよく来ていてパーク内は地図がなくても歩けるくらい位には熟知していた。麻衣が行きたいという場所に連れて行ってあげたり、私が行きたい場所にも二人で向かった。

 パーク内を歩いているとまぁ麻衣は美人さんなうえに私とお揃いで制服とキャップをかぶっているのですれ違いざまに「今の子かわいかったね」という声を何度も聞いた。それを聞くたびに「こんなかわいい子とデートできてうらやましいだろう。」と嬉しくなってついつい一緒に写真をいっぱい撮ってしまった。

 今日もホテルに泊まって明日の朝市で北海道に帰るので、今日一日はずっとパーク内で過ごしていた。閉園時間ぎりぎりまでお土産を選んでホテルに戻った。

 一日中歩き回っていたのでお風呂から出てくると私も麻衣もさすがにぐったりしていた。

「楽しかったー。のんのんとも会えたし。」

私がそういうと最初は嬉しそうにしたけどすぐに「むぅ」とほほを膨らませた。

「今日一緒に遊んだの私だし。」

と拗ねたように言うので、その姿がかわいくてついつい抱き着いてしまった。

「そうだよね。ごめんね。麻衣と一緒に遊べてすっごい楽しかったよ。」

「うん。私も。」

麻衣も嬉しそうに私の胸に飛び込んできて「前はあいつのだったかもしれないけど、今は私の由宇だもん。」と言ったけど胸にうずくまっているうえに声が小さくてよく聞こえなかった。

「ん?なんて言った?」

「何でもないよ。このまま寝る!」

「しょうがないなぁ。」

二人で寝てもベッドの大きさ的には余裕なので今夜は麻衣と一緒に寝た。

 次の日、再びバスに乗って空港まで行って飛行機に乗って北海道に帰った。昨日の疲れがまだ残っていて二人とも到着までぐっすり眠っていた。

 家に帰ってからは洗濯や掃除をして、翌日私と麻衣は「良いお年をー。」と、実家に帰った。

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