第五十五話
次の日からまた再び実習のために朝早く起きた。
「うー、きっつ。体重いよ。」
「目が開かない。」
みんな体を引きづるように実習に向かった。だんだん作業になれて、新鮮さがなくなり疲れもあって作業中におしゃべりすることも少なくなってきた。
あっという間に時間が過ぎていき、気が付けば金曜日になっていた。
「じゃあこの放課後の実習が最後だからなー。最後まで頑張るぞー。」
先生の緩い言葉にうなずいて作業を始めた。
「あっという間だったね。」
「うん。疲れて黙々と作業してたらすぐだった。」
体中筋肉痛だけど最後だからと言い聞かせて作業に取り組んだ。
「この子たちのお世話もひとまず終わりかー。寂しくなるね。」
「そうだね。でもこの前出荷を見送った時平気そうだったじゃん。」
二日目にちょうど出荷に立ち会っていた。立ち会うと言っても豚たちを誘導してトラックに載せて運ぶのを見ていただけだけど。
「あの時も悲しかったけど、まぁこういうもんだからしょうがないよなーって気持ちだった。」
「加奈にしてはざっくりしてるね。」
「そんなもんよ。あんまり感情移入しすぎるのも違うじゃん。ペットじゃないんだし。食べるために育ててあげてるんだから。」
「その割には初日豚肉食べるのためらってたじゃん。」
「頭ではわかっててもついついお肉見るとこの子たちの顔が浮かんできちゃうんだよー。」
加奈の心の叫びにみんな「わかるー。」「やっぱ加奈は繊細だね。」と笑いながらうなずいていた。
その後も一つ一つ丁寧に作業していった。
「よーし、ここまでだね。一週間お疲れ様。」
「「お疲れさまでした。」」
「じゃあとりあえず寮の前にある広場に向かって。」
先生に言われた通り広場に向かうと実習を終えたクラスメイトが勢ぞろいしていた。
「あ、加奈たちも来た。」
愛理が私たちを見つけて近づいていた。
「みんないるじゃん。何するの?」
私が聞くと
「知らない。とりあえずここに集合させられた。」
と麻衣も答えた。どうやら他のみんなも何も知らされていないようだ。
「みんな一週間お疲れ様。今回の実習でだいぶこの学校の生活を知れたと思うから、来年からの専門科目を何にするかの参考にしてくださーい。」
担任の先生が拡声器を持ってそう伝えた。
「そして一週間頑張った君たちにはご褒美がありまーす。ではどうぞー。」
先生の合図ともに寮の中から大きな機材やクーラーボックスを持った先生や先輩たちが出てきた。
「せっかくだから今からみんなでバーベキューです。」
「「おおおーー!!」」
みんな嬉しそうに声を上げていた。特に早霧ちゃんや凪ちゃんの運動部組は一番声を出して喜んでいた。
「うおーーー。」
後ろですごい棒読みだけど大声で喜んでいるの人がいるので振り返ると麻衣がいた。
「うわっ。麻衣が聞いたことないくらい大きな声出してる。」
「本当だ。でもあいかわらず声の大きさに表情とテンションが追い付いてない。」
先生たちが準備をしているので私たちも手伝った。こういう時いつもはさぼる麻衣も率先して準備に参加していた。
「この前出荷した豚もあるからねー。」
「さっき取ったばかりの野菜だぞー。肉だけじゃなくて野菜も食べろよー。」
「こっちは魚だよ。今度は水産の実習だからよく味わっておけー。」
先生たちが食材を持って大きな声で伝えて、みんなで焼き始めた。
「忘れてたけど寒くね。」
みんなバーベキューに盛り上がっていたけど日が沈みかけてきているのでだいぶ気温が下がっていた。
「た、たしかに。でも火があるからここであったまっていれば。」
「そうだよ。どんどんお肉焼いて火を大きくしよう。」
網の上にお肉や野菜をいっぱい並べて焼きあがったものから食べていった。
「うーん。おいしい。この寒い中食べる焼きとおもろこしも乙でいいね。」
「このお肉おいしい。さっき言ってた豚だよね。」
「これからこの魚や貝を育てるのかー。」
「そういえばまた実習の内容が変わるんだよね。」
さっきの先生の言葉を思い出した愛理が言った。
「そうだよ。寒い中水を使うから大変だよね。室内で育ててるのもあるけど外で作業するのもあるからどっちになるかでだいぶ違うよ。」
「それは重大だね、、、」
今日はまだ寮に泊まるのでゆっくりみんなで食べながら話していた。
「とりあえず明日は寮から家に帰ったら畑見に行こうか。」
「そういえばそうだった。」
一通り食べ終わった後はみんなで片づけをして部屋に戻った。




