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第五十四話

 目覚まし時計が鳴っているのをとめて時計を確認すると五時ジャストだった。

「おはよ。」

「おはよー。」

三人とも眠そうだけどすでに起きていて準備をしていた。

「さっむ。」

「降ってはないけど、だいぶ寒いね。」

窓の外を見るとまだ日が出ていないので暗くて見えづらいけど、雲は無さそうなので確かに降ることは無さそうだ。

「準備して行こっか。」

眠い中無理やり体を動かして着替えを済ませて部屋から出た。昨日は人も多くてにぎわっていた廊下もこの時間はさすがに人も少なくて静かだった。

 建物から出ると予想以上に寒かった。

「あー、眠い。」

「朝だと寒いね。」

「まだ日が昇る前だからね。気温が上がり切らないんだよ。」

寒さで目が覚めてきた中、寮から直接実習の建物に向かった。

「おー、おはよ。全員揃っているなー。」

「「おはよーございまーす。」」

建物の前に待っていた先生に挨拶をした。先生から軽く説明を受けてから、消毒をして中に入った。

「ここはここで相当なにおいだね。」

鶏舎は初めてなのでまた牛舎とは違う匂いがした。

「餌やりと、卵の回収が終わったら声かけて。最後に掃除するから。」

「はーい。」

先生に言われた通りエサ台に餌を入れて、卵を回収していた。

「結構地味な作業だね。」

「加奈はこういう単調な作業苦手なの?」

「作業っていうか鶏が無理。この見た目に動きといい一生好きになれる気がしないわー。」

「そっちかー。まぁ牛とか馬とかに比べるとね。」

「でしょでしょ。」

「私もわかるかも。鶏だけじゃなくて鳥全般苦手かも。」

二人も同意していた。たしかに鶏を見てなでてあげたいとは思わない。

「なんかさー、小さいときはそこそこかわいいからそのままでいてほしいよね。」

餌を食べる姿を見てもかわいさどころか若干怖さを感じる。

「ほらー、手も動かして―。」

しゃべっていると先生に言われたので再び作業に戻った。

 朝の作業が終わって寮に戻って制服に着替えてから食堂に向かった。

「あー、疲れた。」

「これが一週間かぁ。結構大変だね。」

「しかもまだ放課後も残ってるもんね。」

私を含めて皆すでにぐったりだった。運動部で体力にも自信がある早霧ちゃんだけど朝早いのでそれなりにきつそうだった。

「いやぁ、作業自体はシンプルだけど朝早くからで一時間以上作業しているからね。」

早霧ちゃんがあくびをしながら言った。

「とりあえずご飯食べて学校行こうか。」

「まぁここも学校だけどねー。」

 朝ご飯を食べてから教室に向かった。他の皆も同じように朝実習をしているので眠そうだった。

「絶対授業寝る。」

麻衣が自信満々に言った。

「麻衣朝起きるの得意って言ってたじゃん。」

「違うよ加奈。朝得意だけど作業したせいでもう体力ゼロ。」

「二人のところは何したの。」

「馬のお世話と馬小屋の掃除。掃除がすごい重労働で体中が痛い。」

「へー、こっちはそういう意味では結構楽なのかな。」

二人の様子を見るとましな気がしてきた。

 授業が終わり再び実習に向かった。私たちの班は放課後は豚の世話と豚小屋の掃除だった。

「なんで朝とやる作業が違うの?」

「色々な実習をやるのが目的だからね。日にちで変わることはないけど朝と放課後は違うものやるんだよ。」

相変わらず色々知っている加奈が答えてくれた。

「今度は作業着かー。」

「まぁジャージは朝に使っちゃったし、体育着じゃ寒いからね。」

「洗濯するのも大変だね。」

「ただでさえ疲れてるのにー。私この後部活もある。」

早霧ちゃんがこの先を思うとつらそうにしてた。

「洗濯なら私がしとくよ。」

「本当?ありがと、助かるよ。」

「由宇は親切だねー。」

「まぁ自分の分もしなきゃだからついでだよ。それに寮なら他に家事することもないからね。」

「とりあえずこの実習を頑張るか―。」

「だねー。」

基本的な作業は牛や鶏と変わらなかった。餌をあげて体を洗ってあげて、掃除をする。牛や馬は枯草を運んだり重い器具を運ぶので大変だからしれよりは楽だけど、朝やった鶏よりは作業が大変だった。

「豚はかわいいなぁ。」

「うんうん。今までで一番かわいいかもー。」

「あっ、その子たち力強いから気を付けてねー。」

先生が思い出したように言ったけど少し遅かった。

「痛ー。」

クラスメイトの子が豚に頭突きされて尻もちをついていた。

「かわいいから油断した―。」

「大丈夫?」

「うんありがとう。」

加奈が差し伸べた手につかんで立ち上がったので平気な様だった。

「それにしても大きいね。」

「私も犬ぐらいかと思ってた。」

「成長が速いからね。三か月ぐらいで大人になるからね。」

「えー、そんなすぐなんだ。あっという間だね。」

「赤ちゃんから育てたら愛着沸いちゃいそうだよね。お肉食べられなくなりそう。」

「でも確かにかわいいよね。でもおいしそうだけど。」

「由宇が麻衣みたいなこと言ってる。似てきたんじゃない。」

「うそーん。そんなに食い意地はってるように見えた?」

「ほらー、作業するー。」

加奈と話しているとまた先生に注意されたので「はーい」と答えて作業に戻った。

 また一時間ほど作業をして一日目の実習を終えた。早霧ちゃんとクラスメイトの子が部活に行ったけど、私と加奈は洗濯をして部屋に戻った。夕食の時間まで二人で勉強したりおしゃべりをしてて、食堂に向かった。

「あっ、おつかれー。」

部活帰りの同室の二人と麻衣たちと合流してご飯を受け取って席に着いた。

「夜ご飯は生姜焼きだ。それに紅ショウガが入った卵焼き。」

「うっ。」

「どうしたの加奈?」

麻衣がご飯に喜んでいると加奈がうめき声みたいなものを出した。

「あー、ちょうど実習で鶏と豚のお世話したからね。」

私が言うと愛理達は「あー、なるほど。」と納得した。

「私たちは馬と畑仕事でよかったー。」

「畑仕事もやったんだね。」

実習は今やっている畜産系だけだと思っていた。

「うん。人が多いからね。そっちにも人手が回されたんだよ。」

皆が「いただきまーす」と言って食べ始める中加奈だけためらっていた。

「うう、豚たちがぁ。かわいかったのにー。」

「食べないならもらうよ。」

麻衣が横取りしようとすると

「それはダメ―、私が食べるもん。」

「ぶー。作業してお腹空いてるのに。」

「それならお代わりしてきなよ。あっちでもらえるよ。」

「じゃあもらってこよー。」

「本当に行くのかい。」

「じゃあ私もー。」

運動部の二人も麻衣についていった。

「ううー、いただきます。」

「あっ、やっと食べた。」

食べるのを渋っていた加奈がようやく食べ始めた。

「やっぱ、おいしいよー。」

「それはそうだよ。皆で一生懸命育ててるからね。」

「だよねー。でも絶対解体作業は見ない!それを見たら絶対食べられなくなっちゃう。」

「ふふっ。確かに加奈は無理そうだねー。」

加奈の言葉に愛理が反応するとみんな笑っていた。

「とりあえずこれから一週間頑張るかー。」

加奈がそういうとみんなが「おー。」「おー?」「うん」「だねー」とバラバラに返事した。

 ご飯を食べ終わった後は部屋に戻ってからダラダラしていた。それからお風呂に入って戻ってくると急に眠気が襲ってきた。

「おー、眠い。」

「急に睡魔が来たなー。」

「ね、机四人分必要ないでしょ。絶対この時間から勉強とか無理だよ。」

皆目が半分閉じながら話していた。明日もまた朝早くから実習があると思うと一秒でも早く寝たほうがいいと持ってきた。

「じゃあもう寝ちゃおうか。」

「だね。じゃあおやすみー。」

消灯時間よりだいぶ早い時間だけど皆眠りについた。

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