第四十九話
文化祭が終わって普通の学校生活にひとまず戻った。
「この時期って文化祭終わっちゃうと結構暇だよね。」
「たしかに一年だとあんまりイベントもないもんね。」
みんなでお昼ご飯を食べながらそんなことを話していた。
「二年生なら周博旅行あるし、三年になったら進路のこと考えないといけないけど、一年は何もないよねー。」
愛理が学食のご飯を食べながら言った。私の隣で私と同じお弁当を食べている麻衣が
「楽だからいいけどね。イベントばかりは疲れるし。」
と言った。加奈は「たしかにねー。準備が大変だもんね。」と先日の文化祭の忙しさを思い出して苦笑いしていた。
「前言っていた課外実習っていうのはどうなの?」
「えっとね、本当はそれぞれのコースで専門の職場に行くんだけど。例えば食品加工かならそっち系の企業に言ったり、飼育系は実際に動物園に行ったり、まぁ職業体験だよね。」
「じゃあ私たちのコースって何するの?」
加奈の説明通りいくと私たちはぱっと思い浮かぶ場所がなかった。
「私たちは専門とかないから、大学見学なんだって。他のコースは泊まり込みで行ったり、複数日実習があったりするけど私たちは一日で終わり。」
「いいじゃん、楽で。」
「でも麻衣もせっかくならたまには授業以外にもイベント会ってもいいと思わない?」
「大学行くのも十分イベントじゃん。」
「えー、でもすぐそこじゃん。」
この高校からほど近くに農業系の大学があって、この高校から大学進学する人の九割はその大学らしい。遠足と言えるほど遠くもなく、特に私たちもそこの大学に行くとはまだ決めていないので加奈としてはもっと違うものが良かったらしい。
「後期はあとテストぐらいか。」
「そうだね、あと一回実習が変わるけどまぁいつも通りだね。」
加奈がそう言って愛理と食べ終わったお皿を返しに行った。
二人が戻ってきて又話し始めた。
「そういえば愛理、前に何飼いたいっていってたけどなにかいいのあった?」
文化祭の時に話したことを思い出したので聞いてみた。
「うーん、実習やってたら牛とか豚もいいなぁってなってきて。」
「どうれくらいで買えるの?」
麻衣が聞くと
「どうだろうね。ペットとかよりは全然高いんじゃないのかな?それに野菜とか育てるのもいいなぁって。」
「それは私も思ってたんだよ!」
以前に実習をしてた時、同じ班の子が家庭菜園をしている話になって結構気になっていた。
「由宇も同じこと思ってたんだね。動物をいきなり飼うのはやっぱりたいへんだけど、野菜なら結構手軽に始められそうだよね。」
「そうだけどこれから冬だから雪とか大変そうだし、家の中だと結構種類限られるし、意外と難しくて困ってたんだよね。」
「それならあそこ使えばいいんじゃない?」
加奈が「ほら、あそこだよ。」と愛理に言っていたけど「どこ?」とわかっていないようだった。
「ほら愛理の家の裏庭と由宇たちが住んだいるアパートの裏にある土地。あそこって愛理のところの土地でしょ。」
「あー、そういえばそうだったかも。」
愛理が思い出したようで手をポンとたたいた。
「たしかおじいちゃんがゲートボール用の広場作ろうとして買ったのに放置してた場所ね。」
「あそこってそういう土地だったんだ。」
麻衣はあの場所を疑問に思っていたようで納得したとうなづいた。
「たしかに裏庭なら何か飼えるかも。」
「裏庭もあるんだね。」
「裏庭というか、旅館の裏の住居スペースの庭だから裏庭って呼んでるだけで、普通の庭だよ。でも鳴き声とか匂いとか気になりそう。」
「その辺は飼う動物にもよるよね。それに最近は匂いにも対策はあるって授業でやったし。」
加奈が「その辺はゆっくり考ええばいいんじゃない。」と言った。
「とりあえずおじいちゃんにあの土地貰えるか聞いてみるよ。」
「そんなに簡単にもらえるもんなの?」
「どうせ使ってないんだし、それに野菜育てるなら今後にも使えるかもしれないから。」
愛理が「楽しみだなぁ。」とすでにもらえることを確信しているようだった。
放課後、家に帰ってダラダラ麻衣とぴゃつを食べながら過ごしていると愛理から「おじいちゃんからOKもらえたー。何育てよー?由宇も考えといて!みんなで一緒に育てようねー。」と早速連絡が来た。
「私も含まれてるのかー。」
麻衣がおやつを咥えながらつぶやいた。
「たまに手伝ってくれるだけでいいよー。いきなりそんなにやらないと思うし。」
「そっか、それなら手伝うよ。」
「ありがとー、何がいいかなぁ。」
持っていた携帯で早速何を育てようか調べ始めた。麻衣もそれなりに興味があるようで「せっかくならお鍋の具材になるような野菜がいいなー。」と言っていたけど、「さすがに今から育ててお鍋の時期に間に合うかな?」と聞くと「こっちの冬は長いから大丈夫だよー。」と返してきた。これからの楽しみもできて色々妄想しながら二人で話をした。




