第四十八話
自分たちのクラスのお店を抜けてのんのんとお母さんの三人で色々回りながら話した。
「のんのん急にこっち来てどうしたの?」
「おばさんが文化祭あるよって教えてくれて、それでゆうゆうの通ってる高校も見てみたかったから飛行機で飛んできたわけよ。」
「のぞちゃんに教えたら来るっていうから連れてきたのよ。本当にあなたたちは仲いいのね。」
小学校のころから引っ越すまでよく遊んでいて、しょっちゅうお互いの家を行き来していたのでお互いの家族も認知済みだ。私ものんのんとはたまに連絡を取っていたけどお母さんも連絡を取っていたようだった。
「さっそく友達もできてるし、こっちにはもう慣れたみたいだね。」
「うん。楽しくやれてるよ。」
「由宇はその辺の心配がないから楽だわー。」
お母さんもみんなと仲良くやっているのを見て安心してくれたようだった。親の都合で急に引っ越すことになったのを申し訳なく思っている節もあったかもしれない。たしかにのんのんや他の友達と離れるのはさみしかったけど、まぁ私としてはみんなと仲良くなれたので結果オーライ。
「それにしても凄すぎない?」
のんのんが見渡しながら言った。始まって時間が経ってさらに人が増えていた。体育館でもステージが始まりそっちはそっちで盛り上がっているようだった。
「ねぇ由宇、どこがおすすめなの?」
「うーん、こっちの方かな。」
後でみんなとも回る予定もあるので、その時に行かなさそうなところを回ることにした。動物のふれあい体験や、体育館でやっている演劇を見たりした。
「そろそろ戻る時間じゃない?」
お母さんが時間を確認しながら言ってきた。
「本当だ。そろそろ行かなきゃか。」
「えー、もうちょっといいじゃん。」
「のんのんはこのあとどうするの?」
「これ見て回ったら向こうに帰るよ。明日も部活あるし。」
のんのんは「もうちょっとゆうゆうと一緒にいたーい。」と腕に抱き着いてきた。結構身長差があるのでだいぶ収まりがよかった。
お店の前に戻ると結構繁盛していて忙しそうだった。
「戻ってきたよー。」
「お帰りー。」
三人が作業を一旦中断してこっちに来た。
「どうだった?」
「楽しかったよね?」
のんのんが私の方を見ながら聞いてきたので「そうだね。」と答えると嬉しそうにしていた。
「久しぶりにゆうゆうと会えて楽しかったよ。夏休みも帰って来なかったから寂しかったんだよ。」
「ごめん。こっちの夏休み短くて。」
「また冬休みになったらこっちに遊びにおいで。またうちに泊り来ていいから。」
どうやら昨日はうちに泊っていたらしかった。お母さんが「もうちょっち見て回ったら帰るね。」と言ってのんのんを連れてどっか見に行ってしまった。
そこからお昼までお店番をして私たちのお仕事は終わったので四人で回ることにした。
「まずはお昼ご飯だね。」
加奈がパンフレットを見ながら愛理に何食べたいかを聞いていた。三年生がやっている屋台でお昼ご飯を買ってステージの前にある席に座って昼食にした。ステージでは目玉のミスコンが行われていてよく名前を聞く先輩たちが壇上で特技を披露していた。
「わざわざこっちまで遊びに来るなんて相当仲いい友達なんだね。」
愛理がご飯を食べながら聞いてきた。
「うん。小、中学が一緒で部活も一緒だったから、無効だと一番仲良しだったかな。しょっちゅう遊んでたから多分遊びたくなっちゃったんだろうね。行動力がある子だから。」
「たしかに文化祭とはいえ長期休みでもないのにわざわざ会いに来るなんてすごいよねー。」
加奈が感心したようにつぶやいた。麻衣はミスコンに興味があるのか会話に参加せずにご飯を食べながらぼーっとステージを見ていた。
ご飯を食べ終わった後は屋台を中心にいろいろ見て回った。クラスごとの出店は食品関係のお店が多くて、部活でやっているのは体験系のお店や展示が多かった。乗馬体験ができたり、飼っている動物たちに餌をあげることができたりした。
「きゃーかわいい。」
加奈が手のひらにハリネズミを乗せて興奮していた。小動物が何匹かいて他にも小さいサルやウサギがいた。
「私もこういう系何か飼おうかなぁ。」
「愛理は何か飼いたいとかあるの?」
「うーん、せっかくだから珍しいのがいいよね。海外とかだと虎飼っている人とかうらやましいよね。」
「思ったより大物だったわ。もっと小さいのを予想していたよ。」
話しながら再び文化祭を見て回った。
夕方には文化祭が終了したのでみんなで片づけをしていた。さっきまで一応三十分ほど後夜祭が行われていて売り上げの成績が発表されたりミスコンの優勝者が発表された。余興ではバンドが歌ったり、ダンスをしたり結構盛り上がっていた。片づけが終わった後は加奈は「もう一仕事あるから先帰っててー。」といってどっかに消えてしまい、愛理は「今日はお食事会なの。」と言って先に帰ってしまった。
二人とも用事があっていなくなってしまったので私たちも家に帰った。
「文化祭すごかったね。よくドラマとか漫画とかでみる感じで楽しかったー。」
「たしかに人もいっぱい来てたし。」
麻衣が反応薄めにうなづいた。
「どしたの?」
「いやー、今日来た子と随分仲良さそうだったなぁって。」
どうやらのんのんのことがだいぶ気になっていたらしい。
「そうだねー、もう十年も友達だからね。」
と言うと麻衣が「うっ。」と声を出した。
「ふーん。加奈と愛理みたいだね。」
「あそこまでずっと一緒じゃないよー。」
仲がいいと言ってもお互い他にも友達はいたし、家もそこまで近いわけじゃないからあの二人程かと言われてしまうと微妙かなって感じだった。
「どっちかというとのんのんは妹って感じかなー。」
「本当に?」
「うん。一緒にいる時間なら全然麻衣の方が長いくらいだよ。」
いくら仲が良くても一緒に住んでいたことはないので一番時間を過ごしているのは多分麻衣になるはずだ。
「じゃあ私が一番だ。」
「うん?そうだね。」
一緒にいる時間を考えるとそうなのでうなずくと麻衣は満足したように笑って「夜ご飯にしよ。」と言ってきたので、私は急にどうしたんだろうと思いつつも準備を始めた。
週明け、学校に行くと愛理と加奈が
「あれ、麻衣なんか機嫌いいじゃん。もしかして?」
「うん。私が一番だって。」
「良かったねー。」
と謎の会話をしながら二人が麻衣の頭をなでてていた。多分文化祭で三人の時に何か話していたんだろうと思ってその様子を見守っていた。




