第四十五話
それから学校全体で文化祭の準備が始まり、だんだんお祭りの雰囲気が出てきた。体育館からはバンドの練習だったり、屋台の枠組みができてきたりしてきた。実習終わりに教室に向かって歩いていると
「グラウンド凄いことになってるじゃん。」
と麻衣が言った。みんなでグラウンドを見ると区画ごとに分けられて、すでに屋台がいくつか建てられていた。
「本当にお祭りみたいだね。」
「あっちは何?」
「あそこは動物が入るところじゃないかな。飼育科が飼ってる動物もたぶん展示されるんじゃないかな。」
「そういえば二人っこの高校近いけど文化祭来たことないの?」
中学の頃私も友達と一緒に高校の文化祭に行ったことがあった。二人の会話の感じから来た事なさそうだから聞いてみた。
「うーん、ないね。」
「そんなに活動的じゃないからねー。」
と言われて納得した。
「そういえば週末に買出し行くから手伝ってくれない?」
「いいけど何を買いに行くの?」
「売る時のラッピングとか飾り付けを買いに行く。あと学校で調達できない食材も。」
「そういえば衣装がなんとかって言ってたけど、どうなったの?」
麻衣が「そんなこと話してたよね?」と首意をかしげながら聞いてきた。
「あーあれね、生徒会に話したらダメになったから制服かジャージになった。」
と加奈が心底残念そうにつぶやいた。
「なんでダメになったの?」
「それがね、売り子にぬいぐるみを着せようとしたら拒否された。」
「ふー、あぶなー。生徒会よく止めてくれたよ。」
麻衣が安心しように胸に手を当てて言った。さすがに私も愛理もそれは想定外だったので顔を見合わせて深く息を吐いた。
その週末、みんなで電車に乗ってショッピングセンターに向かった。
「そういえばお金ってどうするの?」
愛理が心配そうに聞くと加奈が
「それはもらえたから大丈夫だよー。」
と答えた。事前に何を買うか生徒会に申請していたようで「じゃーん」とお金を見せびらかした。
「それにしても買出しに来るの早くない?文化祭って二週間後でしょ?」
来週もあるからそこでもいいんじゃないかなと思って聞くと
「来週から屋台の組み立てだったり、メニューの作成みたいな本格的な作業が始まるから忙しいんだよ。さすがに食材は前日に買いに行くけどね。それに私たちは前日部活あるし。」
「そういえばそうだった。」
「準備ってどれくらいするの?」
愛理が聞くとこれも加奈が答えた。
「来週は六時までで再来週は七時までやっていいことになってるよ。もちろんそんなにやる必要もないけど。」
「そんなに学校に残ってやることあるるの?」
「屋台に色塗ったり飾り付けたりすることもあるけど 演劇やるところとかは道具の準備に演技の練習もあるから。」
「でも演劇やるクラスってそんなにあるの?」
「ないよ。」
「じゃあなんで?」
「うーん。多分だけど、そもそも部活とクラスでそこそこやることあるけど、そんなに急いでやるわけじゃないじゃん?みんなで作業してるから話したり遊んだりしたくなるから結局みんな遅くまで残るんじゃないかなって。」
「たしかに文化祭の準備で遅くまで学校に残るなんて楽しそうだもんね。」
漫画とかで文化祭の準備でわちゃわ茶しているのを見て楽しそうだなぁと思ってた。
買い物を終えて翌週から放課後にクラスで準備が始まった。すでに屋台は組み立てられていてこれから色を塗ったり飾り付けたりする。
加奈の言う通りみんな部活に行ったりゆっくり作業していたのであっという間に二週間経ってしまった。
明日から文化祭で今日は久しぶりに部活で明日のお弁当の準備だった。
「いやぁ、これはつくりがいあるね。」
用意する数は前回に比べれば半分以下だけど一つ一つの量は多いのでそれなりに大変そうだった。なので今回は料理のレベルで机が分けられていて私は加奈と、愛理と麻衣のペアで作ることになった。
「準備間に合ってよかったね。」
「うん。まぁ本当はもっと余裕があったはずなんだけどね。」
加奈が笑いながら答えた。加奈はスケジュールを作っていてだいぶ緩く設定していたようだったけど予想以上に苦労したようだった。
「まぁ私たちも結構遊んでたしね。」
「そうなんだよー。テンション上がっちゃって気づいたら時間なくて。」
私たちは普段遅くまで学校に残ることがないので、それが新鮮でついついみんなとのおしゃべりに熱中してしまった。試作してみたクレープを片手におしゃべりで終わった日なんかもあった。
「それにしてもすごい規模だよね。」
「この学校お金はあるからね。」
調理室の窓からグラウンドが見えるけど入り口には大きな門があって、たくさんの屋台が並んでいた。座ってご飯を食べられスペースも完成していてそこには小さなステージも出来ていた。
「今日は一回帰ってから家来る?」
「いや、荷物もってきたからそのまま行くよ。」
今日は二人が私たちの家に泊まりくることになっているので確認した。話をしながらも私たち二人はテキパキ作業を進めたけど、向こうの二人はだいぶゆっくり作業しているようだった。
ノルマのお弁当が完成したので四人で私たちの家に向かった。




