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第三十六話

 準備ができて話していると校内放送のチャイムが鳴った。

「料理部です。今年も差し入れができたのでぜひ本校舎前のテントがある場所まで来てくださーい。」

と部長の声のアナウンスが流れた。

「どれくらい来るんだろうね。」

「これ全部無くなるのかねー。」

と悠長に話しているとどかどかと言う地響きが聞こえてきた。

「うわぁ、めっちゃっ来た。」

麻衣が向いている方向を見ると部活の格好をした生徒たちが走ってこっちに向かってきていた。

「何があるのー?」「これください。」「一人一個までですよー。」「飲み物はこっちに野菜ジュースと牛乳があります!」

そんな声が飛び交う中、迫りくる人たちに一つ一つ配りながら私たちも対応をした。

「あっ、加奈たちじゃん。」

「おー、凪ちゃんに早霧ちゃんだ。おつかれー!」

また加奈の知り合いかと思ったら運動部に入る数少ないクラスメイトの二人だった。さっきまで顔の広い加奈が色々な人たちと挨拶をしているので二人に最初気づけなかった。

「これみんなが作ったの?」

早霧ちゃんが「いただきまーす」とほおばりながら聞いてきた。私が「そーだよ。」と答えると麻衣が

「すごいでしょ。」

「麻衣も本当に作ったの?由宇ちゃんが作ったんじゃなくて?」

「それは私が挟んだのだよ。」

「挟んだだけかいっ!」

凪が笑いながらつっこんでいた。

「飲み物も向こうにあるよ。」

「じゃあもらってくるか。」

「そうだね。」

テニス部の二人は運動部なだけあって元気いっぱいで明るかった。戻ってくると二人とも野菜ジュースを持っていた。

「二人ともそっちなんだ。牛乳もあったのに。」

愛理がそう聞くと

「いやー、私たち寮に住んでるじゃん?寮の食堂だと結構牛乳出てくるんだよー。」

「そうそう。給食みたいな感じだからね。」

「へー、寮のご飯ってそういう感じなんだ。」

麻衣がご飯の話なので興味を持ち始めた。

「そうだよ。一応寮に住んでない人もお金払えば食べに来れるよ。」

「だって由宇。今度行こ。」

「そうだね。私も食べてみたいかも。」

「それにしてもこれおいしいね。」

早霧ちゃんが言うと凪ちゃんもうなずいていた。

「いつでも作って持って来てくれてもいいよ。」

「余った持って行ってあげるよ。」

「本当に?いつでも待ってるからねー。」

「ばいばい、おいしかったよー。」

二人がテニス部の練習着をひらつけなせながら戻っていくのを手を振って見送った。

 結局先輩たちが追加に持ってきたものも全部無くなってしまった。

「いやぁすごかったね。」

「なんか運動部の熱量を感じた。」

片づけをしながら話していた。さっきまで大勢がいたのでまだ熱が残っているように感じた。

「じゃあ今から勉強会だね。」

「今日は私の家でいいよー。せっかくだし夜ご飯も食べていきなよ。」

愛理がぜひぜひ、と言ってくれたので私も麻衣もそうさせてもらうことにした。

「うー、今から勉強か。」

麻衣がすでに疲れ切ったようにつぶやいた。

「まぁあの二人は部活の終わった後にやるんだし、それに比べれば。」

「私も今部活したし。凪は私よりできないもん。」

「でも早霧ちゃんとはほぼ変わらないじゃん。」

「そーだよ、負けないように頑張ろ!」

駄々をこねる麻衣をやる気にさせながら愛理の家に向かった。

 それから週に何回か誰かしらの家で集まって勉強会を行った、たまに、凪ちゃんや早霧ちゃんも参加することがあった。

「加奈の説明すごいわかりやすい。」

「ねー。先生よりわかりやすいかも。」

二人が加奈の説明を聞きながら真面目に勉強していた。

「二人が来ると麻衣はまじめにやるよね。」

「さすがに二人に負ける訳にはいかない。」

「いやぁ、このまま行けば勝てちゃうかもねー。」

凪ちゃんが言うと麻衣が一層やる気を出した。

こんな生活を半月ほど行ったおかげでみんなそれなりに自信をもってテストに臨むことができた。

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