第二十三話
「はー、びっくりしたぁ。」
この数日、図書館にこもっていて話しかけられることがなかったので麻衣に抱き着かれたときに思わず声が出てしまいそうになるほど驚いた。麻衣は初日こそついてきたけどあんまり本に興味がないのか次の日は来なかったので今日も来ないと思って油断していた。
「それにしてもかわいかったなぁ。」
さっきの麻衣を思い出して小さな声で雑誌をしまいながらつぶやいた。一人で寂しかったのか私にかまってほしそうな猫のようだった。頭をなでてあげると満足そうにしているのもたまらなくかわいかった。
「おまたせ。帰ろうか。」
麻衣のもとに戻ると麻衣はいつも通りに戻っていた。それも猫みたいだなぁと感じた。帰る時にたまに麻衣の腕に抱き着くといつもは、しょうがないなぁという感じの顔をするけど今日は少し嬉しそうだった。本当に寂しい思いをさせちゃったなと思いさらに抱き着くとさすがに「思い」と言われてしまったけど腕は振りはわれなかった。
「作るもの決まったの?」
「うーん、加奈にも相談しながらなんとなく。」
「それで何にしたの?」
心なしか麻衣がいつもより積極的に話しかけてきてくれている気がしなくもない。
「えっとねー、やっぱジビエ料理かなぁって。」
「ジビエって鹿とか猪とか?」
「うん。そもそもの意味は狩猟で撮れた野生の動物の肉って意味みたいだけど。大体はその辺だよね。」
「その材料もこの学校にあるんだ?」
「うん。本来は野生のお肉だから衛生面とか気にしなきゃいけないんだけど、そういう処理はしてくれた状態のお肉があるよって加奈が教えてくれたんだ。食品加工の授業でやってるクラスだあるんだって。」
「それで加奈に相談してたんだね。」
「加奈ならそっち方面にも友達いると思うし、ついでに調達もお願いしてきた。」
「なんでそんなとこに友達いるの?」
「さすがだよね。コミュ力の塊だよ。」
他のコースなんて実習で同じになるか、部活が同じにない限り関りを持つことなんてない。加奈の交友関係がどうなっているのかは全く想像できない。
家に帰るとこの前頼んだものが届いていた。
「あー、荷物が届いてる。麻衣もちょっと持って。」
「うん。」
そこそこ頼んだので麻衣と半分こして部屋までもっていった。
部屋に入って届いたものを開いた、
「そういえばせっかく買ったのにあんまり使う機会なさそうだよね。」
「まぁまだ実習一回しかやってないからね。それにまだそんなに汚れることしてないし。」
「実習始まったらもっと忙しいと思ってたのに、あんまり変わんないし。」
「実習の授業自体は週に一回しかないからね。感覚的には体育と変わんないよ。でも今後は課外実習だったり特別実習もあるから使うことになるよ。」
「それって何するの?」
「課外実習はそのまんま、工場見学とかかな。特別実習は講習を聞いたり、普段あんまりやらない実習に参加するやつだって。」
「よく知ってるね。」
「全部加奈から聞いた。」
「またかい。」
麻衣が珍しく突っ込んで「お風呂に入ってくる。」とお風呂に行ってしまった




