第十八話
「見て、由宇、私たち結構いいところになったんじゃない。」
「ほんとだ。五月は追肥で、六月に収穫かぁ。重労働はなさそうだね。」
加奈がプリントを指さして教えてくれたところを見ると私たちは春作のじゃがいも担当だった。
「収穫は朝早くて大変そうだね。」
農家と言えば早朝から収穫の作業をしているイメージがある。さすがにこっちでも六月になれば朝とはいえ寒いことはないだろうけど、朝が弱い私にとって少し大変そうな作業だ。
「そんなことないよ。もちろん朝早く収穫しないといけない物もあるけど、これに関しては多分朝から収穫する必要はないと思うよ。」
加奈が「そーだよね?」と専門の二人に聞くと二人とも「たぶんそうかな。」と反応していた。
「そーなの?」
「うん。朝早く収穫するのは売り出すために輸送のことを考えてのことだから。できるだけ新鮮な野菜を朝にとってそれを出荷したいっていう思惑があるわけで。でも高校で作っている野菜の多くは高校で使うから朝早く取る必要がないんだよ。」
「おー、さすが加奈。」
加奈をほめると満足そうにうなずいていた。
「一応何割かは出荷している分は私たちがやることになってるよ。」
と専門の子が説明してくれた。私たちは期間限定のお手伝いみたいな形なのでそういうところには参加することはないらしい。
教室での話が終わり実際に外に出て自分たちが担当する場所を見に行くことになった。
「私たちはここだよ。」
すでに実習をしている専門の二人が案内してくれた。畑は区画ごとにビニールテープで区切られていた。
「思ったより広く無くて安心した。」
「確かにこの畑の広さを見ると不安になるよね。」
さすがの加奈も担当する広さまでは知らなかったよなので安心して胸をなでおろしていた。
「コースは二つあるし、先輩たちもいるからこんなもんだよ。」
区画の場所にはすでにじゃがいもの葉であふれていた。
「まだたまに肌寒いのにこんなに出来てるんだね。」
加奈が感心したようにじゃがいもたちを見ていると専門の子が説明してくれた。
「本当はね寒いからこの時期に植えることも多いんだけど、この品種は寒いのに強くなるように品種改良されてるるから普通の春作と同じタイミングで収穫できるんだよ。」
「へー、すごいね。それってもとからあるの?」
私が質問すると丁寧に教えてくれた。
「うん。それ自体はよくあることだけど、これはもともとこの高校オリジナルで作った品種を改良したやつなんだよ。」
「改良した物に改良を加えたのかぁ。すごい技術だね。」
品種改良のやり方も知らないので全く想像ができないけどすごい知識と技術の結晶であるだろうものを高校でやっていると思うと、改めてこの高校の凄さを感じた。
「じゃがいもの蕾ってこんな感じなんだね。初めて見た。」
緑の葉っぱの中にちらほら鮮やかな蕾が着いていた。
「えー、資料集に載ってたじゃん。」
「そうだっけ?授業でやったっけ?」
それなりにまじめに授業を受けているつもりだけど思い出せなかった。
「んー、やったっていうか、ちらって見たじゃん。追肥について習った時に乗ってた写真。あれじゃがいものっ蕾だったじゃん。」
加奈はあれあれと言っていたけど
「いやっ、さすがにそこまで覚えてないって。」
「そうー?」
加奈は不思議そうに「結構目立ってたのになぁ。」とか言って首をかしげていた。




