第十七話
「うん。麻衣でいいよ。こっちが愛理。よろしくね。」
「えっとぉ、よろしくお願いします。」
いつもと違いはきはきとしゃべる麻衣を見て愛理が後ろでもごもごとしながら挨拶をした。
「なんか久しぶりに麻衣がしっかりしているところ見た、、、」
「愛理はなんかいつもより縮こまってたねー。」
麻衣はさっさと自己紹介を済ませて、自然と二人と会話を弾ませていた。そういえばであった当初はこんな感じだった気もするけど、最近のマイペースな感じの印象が強すぎてすっかり忘れていた。
「この感じだとあっちの二人とは結構別々になりそうだね。」
「うん。授業外の実習もあんまりかぶってないし。」
「でも今回の農業系の実習だからあんまり放課後の実習少ないからね。」
愛理はこの前加奈に教えてもらったことを思い出した。
二人が遊びに来た日、夜ご飯後に一緒にお風呂に入っている時に実習について話していた。
「そういえばさ、さっき話した実習って実際に何するの?」
湯船に向かい合って入りながらさっき気になっていることを聞いた。
「愛理って真面目そうな感じなのに、意外と先生の話聞かないよね。五月から七月までが農業、九月から十一月が畜産、十二月から二月が水産業だよ。」
「どれが大変とかあるの?」
「うーん、内容ってより環境の問題だけど冬の水産はきついらしいよ。手が死ぬって言ってた。」
「あー、確かに。大変そうだなぁ。それで来週から始まるのはどんな感じなの?」
「担当する物にもよるなぁ。種類によっては収穫する時期かもしれないし、逆に耕作がメインになるかもしれないしね。」
加奈は「こればっかりは始まってみないとわかんないよね。」と言って、顔の半分近くまでお湯の中に沈んだ。
「建物の中で育ててるものもあるんじゃないの?」
たしか学校紹介の時だかに最先端技術を使って育てている野菜がある、みたいな話をしていた気がする。
「あー、あれね。あっち系は多分やらないんじゃないかな。管理はロボットでしているらしいから、メインは機械の管理になるから。」
「なんだぁ。あれなら外に出なくて住むと思ったのにな。」
「まぁ、農業は授業外で実習に駆り出されることはほとんどないらしいから。畜産はそういうのが多いらしいからね。」
「加奈はほんとよくそういう話知ってるよね。やっぱ友達から聞いたりするの?」
「そーだね。私話すの好きだから自然と情報が集まるんだよ。」
「へー。」
「ん?嫉妬しちゃった?私が他の友達としゃべってるのに。」
さっきの返事が素っ気なかった愛理に対して加奈がにやにやしながら聞いてきたので
「別にそんなじゃないしぃ。」
「うんうん、大丈夫だよ。そんな心配しなくても私の一番はずっと愛理だから。」
「言われなくてわかってるもんね。」
愛理は少しそっぽを向きそう答えた。幼稚園時代(あの頃)から愛理の中でも加奈の存在が一番だった。また加奈が同じように思ってくれているのは、今まで一緒に過ごしてきた時間が物語っている。
「愛理はツンデレだね。」
「ばかっ、ほらもうお風呂あがろう。」
「はいはーい。」
加奈は早希に湯船から出て愛理に手を差し出してくれた。あの頃からいつも差し出された手を握り愛理も湯船から出た。




