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第十三話

 家の中に上がると意外とモダンな感じで愛理の部屋も広いけど和室とかではなく普通の洋室だった。

「愛理さん。お菓子とジュースをお持ちしました。」

「ありがとね。」

エプロンを着た人がトレーの上にお菓子やらジュースやらをのせて持って来てくれて愛理が受け取っていた。

「今のってお母さん?」

私が聞くと愛理は笑顔で首を振って

「違うよ。今のはお手伝いさんだよ。」

と、答えた。

「すっご。」

麻衣も私と同様に驚いていた。家に友達が来てナチュラルにお手伝いさんがお菓子を持ってくるなんて物語に出てくるお嬢様みたいなことを体験したのでさすがにあっけにとられてしまった。

「そういえばテスト返ってきたね。」

加奈が早速今日返ってきたテストの話題を持ち出した。

「順位もはっきり出されて驚いたよ。」

愛理が言ってるように答案用紙とともに、各教科と総合のクラス順位が書かれていた個表が入っていた。

「みんなどうだったの?」

みんなの学力はなんとなく聞いていたけど実際にテストだとどんな感じなのか気になったので聞いてみた。

「私はねー、じゃーん!」

加奈が自信満々に個表を私たちの前にたたき出した。

「えっ!?」

麻衣がびっくりしすぎて変な声が出ていた。

「おー、さすが次席。」

加奈の個表には総合のところの順位が一位になっていた。そのほかの教科もすべて一桁順位だった。

「いやー、良かった。主席の子が別の学科で。」

嬉しそうに加奈が話していた。この点数ならその子がいても勝てそうだけど。

「私はね、これ。」

愛理も続けて個表を出した。総合と半分ぐらいの教科で一桁順位だった。

「愛理もすごいね。」

「加奈と一緒に勉強してるからだよ。」

「へへー。」

加奈が嬉しそうに笑った。

「由宇は?」

「こんなもんでしたー。」

私も個表を取り出した。

「おおー。愛理と結構近いね。」

「いやー、そこまでじゃないけど。」

得意科目こそ一桁順位のものもあるけど、総合を含め多くの科目は十番台の中盤だった。クラスが四十人なのでまぁまぁ納得の出来だった。

「麻衣は?」

すっかり元気がなくなってしまった麻衣に聞くと、ゆっくりと出してくれた。順位は全体的に私より五番から十番ほど下だった。

「おっ、思ったより良い。」

「本当だ。」

加奈と愛理は麻衣の様子から相当やばい点数が出てくると思ったのか拍子抜けという感じだった。

「三人が高すぎなんだよぉ。」

麻衣がふてくされたようにつぶやいた。

「私はそこまでだけどね。」

と私が言うと

「由宇も高いよ。私一個も勝ってない。」

「ちょうど平均ぐらいなんだね。」

「うん。これ以上は上がる気がしないけど。」

テスト結果の見せあいに満足したので話はそろそろ始まる実習に移った。

「そろそろ実習始まるね。」

「ようやくだよねー。今まではほとんど普通の学校と変わんなかったからね。」

「そういえばさ、みんなはなんでこの学校に入ったの?加奈とか愛理なら普通の進学校も行けたでしょ?」

今回のテストを見て特に気になったので聞いてみた。私たちのクラスは座学よりとはいえ農業高校なのでそれなりに理由があるのかなぁと気になっていた。

「うーん、私は多分将来は家を継ぐからどこでも良かったから、家から近い学校から選んだって感じかな。今いるコースなら学力的にもちょうどいいからね。」

「私は愛理と一緒のとこって決めてたから。それにこの学校実習もできるし、人多いからイベントも豪華だし。」

「二人はいつから知り合いなの?」

「幼稚園で一緒になってからかなぁ、それで家が近いから遊ぶようになった感じだよ。」

「愛理は可愛いし、お嬢様だからすごい目立ってたんだよね。それで一人でいることが多かったからね。それで二人でいることが増えたんだよね。」

「じゃあもうほんと、ずっと一緒なんだね。いいなぁ、うらやましいよ。それで麻衣は?」

「もともと行こうとしてた学校の授業見学行ったらすごいつまんなさそうだったから。」

「あー、わかるかも。私も静岡むこうで何校か行ったけど、高校の授業でどれも眠くなりそうに見えるよね。」

「たしかに。」

加奈も愛理もうんうんとうなずいて納得している様子だった。

「実習って何やるの?」

「一年はねー、林業以外は一通り全部やるはずだよ。」

加奈が覚えていたので教えてくれた。

「じゃあちょっとずつやるの?」

「うん。二か月ずつぐらいかな。」

こう見ると加奈と話している時の愛理は心なしか言葉遣いが緩くなってる気がする。私たちとは過ごしている期間が違うからだろうけど、小さいころ浮いていた愛理と仲良くなった加奈との関係を思うとほほえましかった。

「実習って大変?」

麻衣の質問にも加奈が答えた。

「うーん。多分そこまでじゃないかな。それぞれの学科でやっている実習のお手伝いみたいな感覚かなぁ。」

「ふーん。」

大変じゃないとわかって安心したのか再びお菓子に夢中になっていた。


「そろそろ帰るー。」

「もうこんな時間か。」

思った以上に話が尽きなくて気が付けば日が暮れていた。

「私はもうちょっとゆっくりしてくー。」

ベッドの上で寝転んでいた加奈がそう言って動く様子がないので私たちだけ先に帰る仕度を始めた。

「じゃあ、また遊びに来てねー。」

「うん。じゃあまた明日。」

「ばいばーい。」

愛理に見送られて、眠たげな麻衣の手を引いて帰路についた。

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